ようかんのちょっとひとくち

[耳元で囁かれるのは嫌いなの付いてこないで部屋の中まで]

 夏の裏庭はやぶ蚊の宝庫。夏の裏庭に出るときには、季節はずれの重装備で挑む。首にタオルを巻き、手に軍手、割ぽう着に身を包み、靴下も履く。そのお陰で庭仕事中に蚊の餌食になることは滅多にないのだけれど、私の出入りにあわせ勝手口から部屋に侵入してくる蚊に悩まされている。この夏はトマトの様子を伺いに、頻繁に裏庭へと出ているのでその分、入り込む蚊が増えているらしい。手足を刺されるだけならまだ我慢できるけど、寝しなに耳元に来てプ〜ンと羽音で囁かれては我慢ならない。安眠を得るために買ってきた蚊取り線香。雰囲気のある蚊遣りが欲しかったけど、ふと思いついて以前に実家から持ってきた、回転式の木製行火を使うことにした。木製行火の蓋をはずして蚊取り線香を仕掛ける。木枠を閉じて床の間に置けば純和風、レトロな雰囲気たっぷりの蚊遣りに早変わり。これでもう、布団に座り両腕を囮に差し出して蚊をおびき出し、罠にかかった奴を仕留めるまで起きていなくてもすむ。貧者の行火は夏にも働き、わたしは朝までぐっすりと眠れるのだ。ただでさえ蒸し暑く寝苦しい夜には、羽音の囁きより他に聴きたいものがある。


[あら探し昨日はマグロ明日はタラ魚売り場を行ったり来たり]

 スーパーの魚コーナーの片隅で、魚のアラが今日も私を待っている。待ちくたびれて他の家に買われていった場合には深追いもできず、納豆や豆腐を買う。運よくマグロのアラが待っていてくれれば、その日はご馳走だ。マグロのアラはパックに「加熱用」と書かれていて刺身で食べられないのが残念で、生では噛み切れそうにない白く太い筋が目立つ。だけど下味をつけて天ぷらなんかにすると、その筋がぷるんぷるんになり美味しく食べられる。使い道と魚の種類によって、根性を出して小骨とか皮とかを取り除く必要があるけれど、味はまともな切り身と何ら変わりがない。大きさや形が不ぞろいなだけで、アラも立派な魚なのだ。最近では、まともな形の切り身を買うのさえ贅沢に感じられ、魚が食べたくなったら新鮮なアラを求め、スーパーの魚コーナーを行ったり来たりしている。レジ籠にもやしを入れたら魚コーナーでアラ探し。若い頃は他人のアラを探すのが上手な、嫌な女だったけど、今の私に他人のアラ探しをしている暇はない。


[エコバッグ持つ手で買うのゴミ袋エコバッグとはエコ暮らしとは]

 ナイロン製で小さく折りたたんでホックで留めコンパクトに持ち歩けるものと、布製で折りたたむとちょっとかさばる物。二種類のエコバッグを貰った。喜んで持ち歩いているかというと、そうではない。ふたつのエコバッグを前に複雑な心境だ。スーパーのレジでマイエコバッグをこれ見よがしに出し、レジを通ってから食料品をエコバッグに詰めるとき、店に置いてあるビニールの小袋を何枚も巻き取りそのまま持って行く人を知っている。ホームセンターでレジ袋と同じ形をしたビニール袋を買い、エコバッグに入れて帰る人を見かけると何か変な気がする。結局のところ、みんなゴミ袋が必要なんだ。たまに見に行くデパートでは、何色もの、何種類ものエコバッグを売っている。テレビで得た情報では、エコバッグもファッションの一部なんだとか。服装にあわせ、その日持ち歩くエコバッグを決めるらしい。行きつけの店のレジ袋が全て有料になってしまったら、カーテン生地の残りでエコバッグを作ろうと思っていた私は、橙色の生地に赤い花、緑の葉を散らした布を手に取り、ますます複雑な心境に陥る。おそらく、これからも量産されていくだろうエコバッグ。売れ残りの行き先はゴミとなってしまうのだろうか。お洒落なエコバッグがゴミとなってしまうのなら、それが一番もったいないことだと心から思うのだ。
よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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ようかんのちょっとひとくち 耐乏PressJapan.
発行:全日本貧乏協議会
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