ようかんのちょっとひとくち

[見知らぬ手触れ合う指先棚の上同じ仲間と思えぬけれど]

 つま先立ちになり、手を伸ばす棚の一番上。同時に伸びてくる見知らぬ手。触れ合う指先に、此処が図書館ならば恋のひとつも芽生えそうだけれど、場所はスーパーの酒コーナー、カップ酒の棚。見知らぬ手の持ち主は昼間なのに何だか酒臭い。そそくさとカップ酒二本を手に取り、レジ籠に入れながら移動するわたし。以前、上等な日本酒を頂いて有頂天になり、買い置きしてあったパックのお酒と飲み比べ、自分の限界以上の量を飲んでしまったことがあった。あの失態を繰り返すまいと、あれから大きなパック酒を買い置きするのを止め、キリのいいカップ酒を買い置くようにしている。でも、女だてらにカップ酒を一本だけ買うのは気恥ずかしい。誰かに頼まれて、もしくは誰かと飲むのよ、といった体を装うために一度に二本、安いときには三本買う。二本、三本と買ってきても、一度に飲むのは一本きり。それ以上は決して飲まないことに決めた。連日連夜飲むわけではないけれど、どうしても飲みたくなる日があるのは事実。加筆するなら、昼間から酒の香漂う女ではない。休肝日はたっぷりとっている。


[黒珈琲淹れて楽しむこだわりも別腹うるさく甘味よこせと]

 コーヒードリッパーが手に入り、日に一度だけこだわりの珈琲タイムを楽しむようになった。珈琲代の足しになればとクリーミーパウダーを使うのを止め、見事ブラック珈琲派に転進。違いがわかる大人になった気分だ。当然、以前に書いたことがある、ようかん風リッチコーヒーから卒業した訳だけど、甘いものから卒業というわけにはいかず。甘いものが何も無いときには、別腹がここぞとばかりにうるさく騒ぎ出す。怒りを静めようと、サツマイモの甘煮の残りをつぶして栗きんとんのように絞ったり、食パンを小さく切って焼いたものに砂糖をまぶしたのを珈琲に添えている。ときおり、カロリーや血糖値が気になったりするけれど、そんなこと私の別腹はお構いなし。別腹にするりと入る砂糖パン。軟弱なあるじに似合わず、別腹だけは強靭なのだ。


[あと二割下がるの待つわバーゲンよ半額程度じゃ腰も浮かせぬ]

 去年は気に入るものが見つからずに買うのを断念したので、今年こそ外出用の襟付きシャツが欲しい。最終バーゲンの終盤、七割引きの広告が入るのをじっと待っている私。運がいいと九割引きのコーナーにも気に入るものが残っているけれど、なかなかそんな幸運には恵まれない。やはりボーダーラインは七割りなのだ。知らせが入り、いよいよ決戦のとき。戦場と化したスーパーの二階、衣料品コーナーへと向かう。レジ籠に押され、足を踏まれながら二枚のシャツを選ぶことができた。
 「もう、剥げてるなんて言わせない、明日からはこれを着て堂々と外を歩くことができるのだ。」
そう思うと戦い抜いた嬉しさがこみ上げてくる。バーゲンや限定品に弱いのは女に限ったことではないけれど、レジを待つ人々の、籠から溢れんばかりのバーゲン品を見ていると虚しくなるのは何故でしょう。得した気分になって増やすのが、箪笥のこやしでなければいいのですが。


[脱水時悲鳴をあげる全自動次をどうする選択のとき]

 毛布などの大物が洗える、それだけの理由で買った全自動洗濯機。専用の水道もなく、稼動時には台所からホースを使って水を確保。最初の「洗い」には残り湯を風呂場から汲み出して使うという半自動的な扱いをし続け、洗濯機側から見れば随分と不本意な扱いを受けたと不満が残っていることだろう。昭和の香りでいっぱいの我が家においては、宝の持ち腐れ的な全自動洗濯機が、脱水時に、きぃ〜っとか、ひぃ〜っとか悲鳴にも似た音を立てるようになりました。すすぎの回数も間違え始め、機能の衰えも隠し切れません。全自動の機能を全うさせぬままお別れするのは辛いのですが、そろそろ買い替えの時期が迫っているようです。いっそのこと、次にはたらいに洗濯板を買ってしまおうか、とも思うけど洗濯だけで一日の体力を使い果たしてしまわないだろうかと不安になったり。一歩ゆずって懐かしい二層式洗濯機に戻そうか。二層式なら水も洗剤も体力も節約できそう、再度、全自動を買うより安く済みそうだし、と洗濯機の選択に悩んでいる。一番の不安は今、二層式洗濯機が店に並んでいるのかということ。

よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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