ようかんのちょっとひとくち

 花粉アレルギーはある日突然、何の前触れもなく襲ってきます。今まで何ともなかった人々に突如あらわれる諸症状。痒みに負け目頭を掻いて、まぶたまで腫らす人。止まらない鼻水にティッシュペーパーが手放せず、ティッシュの箱を首から下げたいくらいだと嘆く人。鼻がつまり、口での呼吸に喉を痛めてしまう人。拭きすぎた鼻が赤くただれて痛々しい姿になる者もいます。

 私も数年来、この症状とつき合ってきました。花粉まみれで飛ぶ蜂を見て、「蜜蜂には花粉アレルギーが無いのか!」と、毒づきたくなるくらいに辛い時期もありましたが、花粉症にはヨーグルトが効くらしいと聞いた一昨年からは、花粉が飛来する一ヶ月ほど前から半額ヨーグルトを見つけるたびに買い求め常食した結果、確かに症状が半減し、快適な春を過ごす事が出来ました。

 けれど、今春は逆戻り。必要にかられて眼鏡を買ってしまったので、花粉ごときにヨーグルトを購入なんていう贅沢は財布が許してくれません。たとえ半額になっていようとも、二の足を踏んでしまう現実がここにあります。今年は暖冬が追い風となり、早くも花粉特有の症状が出始めてきました。せめて目薬だけでもと薬局に出向いても、抗アレルギーのものは高値で何一つ買えずに帰ってきてしまうのです。今年は以前のように、顔が痒い時には顔を洗い、鼻がむずむずする時には塩湯で洗う。目が辛い時には濡れタオルで抑え、と症状に併せて対処しなければなりません。

 すすってもすすっても次から次へと流れる鼻水。所かまわず“つつ〜”と湧き出てくるのです。目の痒みは気合で何とか我慢する事が出来ても、鼻水だけはお構いなしに流れてくるのですからたまりません。いつでもどこでも“つつ〜”ですから、二枚重ねを一枚にして使っていてもティッシュペーパーの一箱なんてあっという間になくなってしまうのです。
 こんなとき、頼りになるのは路上で配られているポケットティッシュ。これは花粉症の貧者にはとてもありがたいものですから、往復してでも二個三個といただきたいものです。配られる時間と場所を調べておくのも良いでしょう。知人の中には、花粉の季節に備え、箱に貯めておく人さえいます。ポケットティッシュもペーパーが二枚重ねになっていますから、そのまま使っていてはすぐに無くなってしまいます。人前では見栄を張り、二枚重ねで使っても、家で使う時には一枚ずつにして大切に使いましょう。痒みも手伝って、つい強く擦りがちな鼻の下。擦ってしまっては折角の化粧も台無し。押さえるようにそっと拭くのがコツなのです。

 普段は当たり前のように息をさせてくれる鼻。元気な時にはその存在すら忘れているほどです。ところが、いざ風邪をひいたり、見ることが出来ないくらい小さな花粉一粒で、とんでもない存在感を示し始めるのもまた、鼻なのです。花粉アレルギーにおける鼻の撹乱は、健康時のありがたみを思い起こさせてくれているのかもしれません。

 医者に通えず、薬も高価で手が出ない。半額ヨーグルトには二の足を踏み・・となると、貧者に残された道は、ただ一つ。『忍』の一文字しかないのです。古いマスクを洗濯して使い、こまめに掃除をして家から花粉を追い出し、むずかる鼻をなだめるために塩湯で洗ったりしながら、じっと花粉の時期が過ぎ去るのを待っているしかありません。
 あとは神頼み、天から雨が降るのを待つことにしましょうか。

よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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