ようかんのちょっとひとくち

 『貰い物』。貧乏人にとって、これほど嬉しい響きは他にありません。居ながらにして収穫物のおすそ分けを頂戴できる恵まれた季節がやってきました。

 何かが戴けそうなとき、事前にさまざまな形で打診されることが多いものです。例えば、さつまいもが戴けそうなときには、さつまいも食べる?とか、さつまいも買ってある?などと聞かれるわけですが、この打診時の応対こそ、あなたの貧位の見せ所。決して、がっついた姿を見せないように、自分を押さえる努力をしなければなりません。間違ってもこちらから先に、えっ!お芋くれるのっ?なんて、先走って喜ばないようにします。さつまいもの天ぷらをよく作る方なら、さり気なく芋の天ぷらが好物であることを伝え、次に、さつまいもっておやつにしても美味しいよね、と一言付け加えるのを忘れないようにします。すると、何日後かには紙袋にどっさり入った泥つきのさつまいもが、あなたの元へと届けられるはずです。その日は、お礼の言葉も控えめに。

 喜びを顕わにするのは後日、何かを戴いた人に出会った時。この時には、とびきりの笑顔で挨拶をし、充分すぎるくらいに御礼を言います。 「銀杏と一緒にかき揚げにして食べたんですけど、あのさつまいもは甘いですね。」など、具体的にどんな形で食べ、いかに美味しかったかということを伝えるようにします。後日のお礼は一度きり。その人と会うたびに、二度三度と繰り返し礼を言うのは、ともすれば物欲しげに見え、あなたの貧位を損なうかもしれません。

 戴きものの中には足が早い食べ物で、あれこれ手を加えて保存するよりも、生食したほうが美味しく食べられるものがあります。一例として『柿』が挙げられますが、足が早いものに限って打診が重なるもの。あちこちから食べきれぬほど貰い過ぎないように、時には断ることが必要となってきます。断るのはとても勇気が要ることですが、欲張って手に入れた柿を必要以上に食べた結果、冷えてお祭り騒ぎを興したお腹を抱えて、お手洗いにうずくまる破目になっては元も子もないのです。いい大人が、欲の皮を突っ張らせたあげくに己が腹をこわし、トイレにこもることなどは恥ずべきものだと知ることです。貧者といえども貪欲であってはならないのです。

   また、運良く同じ相手から、ワンシーズンに三回目の打診があった場合。この場合には、三度目の何かが届くまでに何がしかのお礼を用意しておくと、あなたの好感度はぐ〜んとアップ。ちょっとした心配りが明日の糧へと繋がります。三度目の何かが来たときのみならず、折を見て心をこめ礼を尽くすならば、嬉しい打診が恒例の行事となり、旬の野菜が絶え間なくあなたの台所に届けられることでしょう。

よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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