ようかんのちょっとひとくち

 何かの折に、高級感あふれるビロードのような手触りの厚手のタオルをいただくと、嬉しいには違いないのだけれど、正直、ほんの少しだけ、がっかりしてしまう自分がいる。

 この手のタオルはどこかのブランド品のことが多く、見た目どおりの高級品。自分からは買い求めることの無い贅沢品です。この贅沢なタオルを我が家ではトイレ用として使っています。
 どちらかというと、さらしの『手ぬぐい』が似合いそうな我が家のトイレ。そのトイレには不相応なくらいのやわらかな手触りのタオル。ブランド品ならではの使い心地、色落ちも少なく、長持ちする、という具合に好いことずくめ。ところがこれが、使い込んだあとが実に厄介。

 大方のタオルの末路が『雑巾』なのは周知のこと。けれど、このタオルは高級ゆえに、使い込んだあとも雑巾になるのは嫌だと駄々をこねる。無理やり雑巾にしてみても厚ぼったく、床の隅が拭き取りにくい。しぼりにくく乾きにくい、と、どうにも雑巾の役目を果たしてくれない。
 この「雑巾として再生できない」ということが、高級タオルを貰った時の私をがっかりさせる最大の要因なの。で、結局のところ、使い込んだ高級タオルは、洗面台やガスレンジなどの汚れ落としにと小さく切り刻まれ、トイレからゴミ箱へと直行することになってしまう。

 逆に粗品として配られるような薄手のタオルは、私好みの扱いやすさ。中でも、体を洗うために作られている温泉タオルは、薄手で絞りやすく、また、乾きやすくて意外と丈夫。
 旅行帰りの知人が、使わずに持って帰った温泉タオルを私の前に並べ、好きなだけ持っていってよ、なんて言ってくれるとそれだけで嬉しくなる。自分でも笑っちゃうくらいなんだけど、温泉タオルが手に入れば他のお土産なんて眼中にないくらいなの、温泉せんべいはちゃんと見えるけど。
 ふふっ、やっぱり、いただくなら飾りものより実用品よ。

いただいてきた温泉タオルは、殆どをふきんに縫い上げる。タオルを半分の長さに切り、それを二つに折りたたんで雑巾の形に縫う。手縫いをしたり、ミシンで縫ったりと、こつこつ作りだめをしておき、台所の棚に置いてあるふきん用のカゴに入れ、新しいうちは食器を拭くときに使う。カゴに入りきらないくらい縫ったときには箱に入れてとっておく。こうすれば新しいふきんが何時でも使える。

 そうそう、ふきんは湯のみ茶碗についた茶渋を取るときにも重宝するの。
 昔、実家の近所に住んでいたおばあちゃんに教わった「茶渋取り」のやり方は、ふきんに水をつけて固くしぼり、指に巻きつけてから塩をつけ、湯のみ茶碗についた茶渋を、きゅっ、きゅっと音がするくらい力をこめてこする方法で、こうすれば大抵の茶渋を取ることができる。
 漂白剤が普及していなかったころの話らしいけれど、とても理に叶った方法だと思うの。漂白剤を使わずに塩を使うので口に入れても安全、すすぎ残しも気にならない。少しの水できれいになるし、雑だけどふきんで拭うだけでもいいくらい。もっとも、おばあちゃんの時代はタオルじゃなくて晒し木綿のふきんだったそうだ。

 ふきんが薄汚れ、くたびれてきたら今度は台拭き用におろす。台拭き用のふきんは、ちゃぶ台代わりの炬燵はもちろんのこと、食器棚や冷蔵庫など食品関係の場所を拭くのに使っている。
 そして、台拭きのあちこちから、切れた繊維が飛び出すようになるとタオルが古くなった証拠。飛び出した繊維が目立ち始めた台拭きには最後のお勤め、雑巾が待っている。ふきんになって、台拭きとなり、雑巾となる。よれよれのへろへろ、破れるまで使われる温泉タオル。最後の最後にきれいに洗ってからゴミ箱にいれる。ご苦労様、と呟きながら。

 温泉タオルを使っていて残念なのは唯ひとつ、タオルがよれっとしてくる頃が一番手になじみ、使いやすいということでしょうか。ふきんから台拭きへと移行する頃、そんなころが一番使いやすいのです。

−− 我が家のタオル選びにブランドは関係ない、
雑巾になるか否か、それだけが基準 −−
よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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