ようかんのちょっとひとくち
セピアな色に染めないで

何も無い原っぱで子供達は遊んだ
土だんごをつくり
たんぽぽの綿毛を飛ばして
オケラを探した原っぱは
硬く冷たいコンクリートになった


 抗菌グッズなど無かった時代。
今のようにありとあらゆる種類の洗剤もない。
蝿を見ればハエたたきで叩くか、蝿取り紙を吊り下げた時代。

 子供は大人の邪魔にならないように外でどろんこになって遊ぶもの。大人たちも少々のことで「汚い!」とか「ばい菌が!」なんてこと言わなかった。幼馴染みの中には棒つきのアイスキャンディーを食べていて、棒からするりとアイスが抜け泥道に落ちたのを勿体無いからと四つん這いになって食べたツワモノもいたくらいだ(念のために言うけれど私のことじゃないわよ)。

 10円玉を握り締めた遊び仲間が集まり駄菓子屋へ出かけた後、原っぱへ行っては思いっきり遊んだ。雨の日には傘を差して出かけ、お互いの傘を組み立てテントのようにして、その中にぎゅうぎゅう詰めになって暗くなるまで遊んだ。雨が上がると柔らかい土の感触を楽しみながら泥団子を作る。晴れの日には穴を掘ってオケラを探した。ずんぐりとした頭のオケラは茶色でビロードのような毛に包まれていて、「穴掘りが得意なんですよ」と言わんばかりに大きく発達した前脚の先がモグラのようで可愛い虫。

 オケラ探しに飽きると缶けり、テバ入れ(箱入れ)や、ゴム跳び、ドッチボールなど原っぱを目一杯使って遊んでいた。ドッチボールをしていると、受け止めれなかったボールが横にそれて草っ原に転がっていき、運が悪いと犬の落し物の上に。当然のことながら原っぱには水道が無い。・・どうしたと思う?
今だったら考えられないかも知れないけれど、地面にボールをこすりつけて汚れを取り「砂で洗えばきれいになるね。」と言いながら、平気な顔してドッチボールを続けていたのよ(笑)。
 外遊びから帰ると服はドロドロ。爪は真っ黒。服の汚れは大目に見てくれた母だけど、爪を汚くしているのだけは我慢ができなかったようで、爪が汚いと途端に口うるさくなり、爪が伸びていると汚れがたまるのでこまめに切るように言われていた。
 ある日、いつものようにうちの大きなつめきりで爪を切っていた私に母親がつめきりを買いに行こうと言った。姉が自分用のつめきりを持っていなかったことを考えると、大きな爪切りを使って爪を切る私がどうにも危なっかしく見えたらしい・・。理由などどうでもよく小躍りして母と買い物に出かけた。
 アルミのお弁当箱から数年後、自分で選ぶ自分だけの持ち物・第2弾!!
選んだものは表の裏返す部分に浮き彫りになっている薔薇と葉が付いていて、それが硬化プラスチックのようなものに閉じ込められている小さなつめきり。
白地に映える赤い薔薇と金色の葉がおしゃれで一目で気に入ってしまったの。
 姉の前で自分だけのつめきりを使い爪を切るときの嬉しさ。勢いあまって深爪になったりもしたけれど、自分の持ち物を姉に『貸す』気分もいいものだった。

 以来、ずっとこの薔薇のつめきりを使っている。使った後は例のネイルケアセットと一緒に空き缶に入れて机の上に置いていたのでなくすことも無かった。外遊びから帰り、砂の入った爪を砂ごとジャリジャリと切ったにも関わらず、未だに切れ味は落ちていない。足の爪も平気で切れる。この調子なら一生使えるかも知れない。残念なことは私の手指が幼い頃と何ら変わらず、その爪も丸っこいままで成長を止めてしまったということだろうか・・。

薔薇のつめきり

−− 手の小指の長さは僅か4、5センチ(笑)
これは『つめきり』のせいではないらしい −−
よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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