ようかんのちょっとひとくち
セピアな色に染めないで

鍵付きの部屋 独りきりの食卓
暖かな部屋に居ても
ぬくもりを知らない子たち
綺麗なものばかり追いかける者たちには
顔に刻まれた皺の哀しさが見えない
やがては自分の顔に刻みこまれるものを


 昨年の秋から火鉢を使うようになり、今更ながら驚いたことがある。
何を驚いたっていうと、実家の倉庫で何十年も眠りつづけていたのに、我が家へ持ってきて直ぐに使えたってこと。雑巾で拭いただけなの。
メンテナンスも何にも要らなかったわ、灰は必要だったけど(笑)。
前から家にある小さな石油ストーブでさえ、点火用の乾電池がいるし、時折、芯の交換もしなくてはならないのに、火鉢にはそんな余計なものは要らない。
はじめに土やら砂を敷いて灰を入れたらずーっとそのまま使えるの。
火鉢と一緒に実家から持ってきた木製行火(正しくは回転式木製行火)もメンテナンス要らずだった。ザッと洗って直ぐに使えた。
長年倉庫で眠っていたから、ネズミの齧りあとがあったのはご愛嬌。
単純な仕組みの物が長持ちするって本当なのね。

 家電の寿命は約10年と聞いたことがある。事実、我が家にあった家電たちもそれぞれ10年を境に次々と倒れていった。それでも機能が単純なもの達はそこそこ生き残り、ゴミパックの要らない掃除機やトースターを巨大化したような電気オーブンもかなり長期間働いたあげく、その命を全うさせた。

 今、我が家の家電の中で一番の古株なのが赤いミキサー。
元々、コーヒー牛乳やミルクセーキなど牛乳をベースに色々混ぜて飲むのが好き。余談だけどブランデーのミルク割りやカルーアミルクも大好きな私。このミキサーを手に入れてからはバナナやいちごなど果物と牛乳を使ったジュースも難なく作ることができた。粉ふきいもやカボチャの煮物などが残った時にも牛乳と一緒にミキサーにかけてから鍋に移し、暖めながら味を調えポタージュスープを作ることも覚えた。
さつまいもの甘煮の残りもミキサーで牛乳と混ぜると、とろりとした口当たりの美味しい飲み物に変わる。これは氷を浮かべておやつに。
ミキサーのお陰で料理の幅がうんと広がり、食材も無駄なく使えるのが嬉しかった。

 思い切って白状するとこの赤いミキサーが現役にもかかわらず、新しく出た真っ白なジューサーミキサーに目が眩み、浮気心で手を出したことがある。

・・浮気の後に必ずと言っていいほど出てくる『後悔』の二文字(笑)。 新参者の白くて綺麗なジューサーミキサーは直ぐに使い物にならなくなり、自ら私の手元を離れていった。それでもこの赤いミキサーは機嫌を損なうことなく私に使われるのを待ちつづけ、20年以上経った今も傍にいてくれる。
スイッチを入れたり、切ったりするだけ、ほかの機能は全くない。

 某バーガーショップではじめて飲んだシェイクに感激し、何とか手作りできないものかと赤いミキサーに冷凍庫の氷を入れ、ガリガリまわした時にも耐えてくれた。水気の無いものを入れて使ってはいけないことを知っているのに『ゆかり』を作るときには、カリッカリに乾燥させた梅紫蘇をいれて稼動させてしまう。あるときには少し悲鳴を上げ、モーターを空回り(?)させることも・・、それでも未だに動いていてくれる。
コードも薄汚れ、本体の色変わりもあるけれど、元気に動く赤いミキサーを見るたびに「もう、浮気はしないから」と心に誓う私なのでした。

赤いミキサー。浮気にも寛容。

−− 赤いミキサーが壊れたら新品のミキサーを
迎えるかどうかが目下一番の悩みどころ −−
よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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発行:全日本貧乏協議会
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