コーヒーは日に三杯。
ブラックが苦手な私はインスタントコーヒーを飲む時にはクリーミーパウダーが欠かせない。
クリーミーパウダーは茶色のガラス瓶にクリーム色の蓋が付いているものを選んでいる。
瓶と蓋の配色もよく、その空き瓶がうちの台所にある棚に良く似合うと思っているから。

もとは台所用ではなかった棚だけど台所に置いてみたらとても使いやすかったので、合板丸出しを隠すためペンキを塗り、昔、実家にあった足踏みミシンの引出しだけ残っていたものを棚の深さに合わせて作り直し、同じ色のペンキを塗って収め、中央に掛けるカーテンも縫ってみた。
愛着のあるこの棚にクリーミーパウダーの空き瓶に砂糖や片栗粉をいれて並べるのがなんとも可愛らしく、また、そのチープさ加減が私らしくて気に入っている。
システムキッチンに憧れないかと問われれば返答に困ってしまう。
綺麗に整えられた見た目の良い都会的(?)なキッチンに興味があるのも否めないけれども、以前に知人宅でお茶をご馳走になった時にキッチンの壁側に作りつけられた見事な高さの棚に圧倒され、知人(推定165センチ)と自分の身長差を比べてしまい、苦い思いをしたことはある。
身長150センチの私には天井まである高い棚は必要ない・・上まで届かないもの。
踏み台なしで手の届く範囲、私にはこの半手作りの棚で充分。

棚の一番上にはトースターがひとつ。
その下の段には調味料とラップ類。
棚中央、カーテンの中には小麦粉やパン粉、乾物がぎっしり。
また、その下段にはいざ!という時のための缶詰とふきん。
最下段には野菜かごを置き、その横には梅干とお漬物。

にせもののにんにくをぶら下げ、飾り付けたりはしない。
軒下には本物の玉ねぎをぶら下げ、その隣にはイカ足のように切った大根が揺れている。
出窓には貰ったばかりのりんご、流し台で出番を待つこれまた貰いたてのほうれん草と買ってきたなばな。
ちんまりとまとまった小さな私の台所には、ちらちらとおいしそうなものが見えている。
チン!という華やかな音の代わりに鍋はことこと、くつくつと物の煮える音を立て、使い込んだ中華なべからは醤油の香ばしさと熱々の天麩羅の香りを教えてもらう。
ガスの火に夏は汗を流し、冬には手をかざし暖を取りながら、様々な食材から醸し出される良い香りに幸せを感じる場所、それが私の台所。
窓に雪がちらつく日には湯気までおいしそうに見えてくる、私が一番好きな場所。
この場所に今日も私は入り浸る。
−− 知人宅からの帰り道、思い出した言葉は「身の丈を知る」だった。
これって本当は身長も関係あるんじゃないだろうか −−