ようかんのちょっとひとくち
日中は暖かくって、コートを羽織らなくてもいいくらいだけれど体は正直。
気がつけば頬はカサカサ、踵には軽石が欠かせなくなった。
こうなると本格的な冬はもうすぐ、いつもなら重い腰をあげ嫌嫌冬支度を始める頃だけど今年は違う。
なんてたって火鉢がある生活だから部屋の冬支度などさっさと終わらせ、火鉢で遊びたい(笑)。

ちょっと早い大掃除も兼ねて畳を上げ(これが重労働)、一年分の埃を払い畳を元に戻し入れ、敷居や畳の間に出来ている隙間に細長く折った新聞紙を詰め込む。
その上にゴザを敷き、キャンプ用シートを敷いたらホットカーペットを乗せる。
ホットカーペットの上にマルチカバーを掛け、小さなストーブを押入れから出したらお終い。

トイレ暖房の演出 例年に無く勢いが付き、今年の冬支度は自分でもびっくりするくらいにはかどった。
ストーブの点火は後回し、火鉢に炭火と豆炭を入れる。木製行火には豆炭をひとつ。

木製行火は本来は寝具に使うものらしいけれど、布団をかぶせなくても豆炭を入れればほんのり暖か、トイレに試し置きしてみるのは贅沢? ううん、試すだけだもの。
そうそう、トイレに置くのなら頂きっぱなしになっている「お香」を使ういい機会かもしれない。
せっかく頂いたのに香炉なんて洒落たものうちには無かったので箱に入ったまま残してある。

トイレの灯り 豆炭の横に火をつけた「お香」を忍ばせると辺り一面にいい香り、うーん、なんて雅なの。
昭和を通り越して平安時代へひとっとび、「薫物合(たきものあわせ)」でもしている気分。
自慢じゃないが我が家のトイレは御不浄と呼びたいくらいの趣きで、灯りもご覧の通り。
木製行火もすっかり馴染みの顔をして昔からそこに居たような感じに収まった。
なにより豆炭がひとつ入っているだけで足もとがほんわりあったかいのが嬉しい。

・・火鉢の炭火も赤味を増し、早く早くと私を誘う。
曖昧な母の記憶に翻弄され、その使用を危ぶまれた「土無し」火鉢も一日中焚いて様子を見た結果、火鉢の底まで熱くなることなく使えてまずは一安心。
火消し壺という仲間も加わり、これで心置きなく火鉢を楽しむことができるようになった。

マシュマロ二兄弟 手始めに以前から食べてみたかった焼きマシュマロを試そうと、この日のために買い置きしておいたマシュマロを取り出し、小枝代わりの割り箸にお団子のように刺して五徳の上に置いて焼いてゆく。
ときおり返しながらゆっくりと焼き、割り箸からマシュマロが離れ落ちそうになったところをぱくり。

うぅ〜〜ん、なんて美味しいの、パリッと焼けた外側に相反して中身はとろ〜り、焼かずにそのまま食べるよりも味が濃厚になったような感じ、なめらかな舌触りに感動すら覚える。
立て続けに焼いては食べを繰り返し、ハッと気づけば残りはわずか。
初日にこんなに食べてしまっては明日からの楽しみが半減してしまうじゃないの、あわててマシュマロを片付け、火鉢の五徳に小さな急須代わりの薬缶を乗せる。

火鉢に薬缶 文机の隣に置いた火鉢の薬缶は沸騰するかしないかの微妙な感じを保ったまま、微かな音を立てている。
静かに静かに私だけの時間が流れてゆく贅沢さとお茶のお代わりがすぐに飲める幸せを感じつつ、文机に向かい本を目で追いながら憧れの暮らしに近づいた嬉しさを噛み締めている。

小ぶりな火鉢にちょこんと乗った小さな薬缶、火鉢用におろした丸い焼き網もぴったりのサイズ。
そろそろ「特用お餅」が店頭に並ぶ頃だから、焼き網に切れっぱしのお餅が乗る日も遠くは無い。
心躍らせながら始めた私の小さな冬遊びはまだまだこれから。

−− マシュマロは火が通った瞬間に崩れるものだと悟った日 −−
よ

招きます 筆者紹介:ようかん
日本生まれ、国内在住。
図書館で出会った「貧乏神髄」に惹かれ、会長のサイト見たさにパソコンを覚え今に至る。
猫好きだが借家のため飼う事が出来ず、
二匹の招き猫と暮らしている。

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