冬こそが、貧乏人最大の試練
皆様、寒くなってまいりました。
でも、まだまだ冬は始まったばかりでして、来年の2月くらいがいちばん寒いわけです。
まだ12月なのに灯油の減りは早く、ストーブをつけていたって、風呂にでも入らないと何もできないくらいに凍えてしまうのです。煙草を吸っていなくとも、煙のように白い息が。
寒いって、イヤですね。
寒くて寒くてたまらない冬を、少しでも快適に過ごそうとすれば、灯油が大量に必要ですし、たとえ灯油使い放題を覚悟して望んだとしても、貧乏で大きなストーブなど持っていませんので、なんだか薄ら寒いのです。
しかしながら、熱い味噌汁がたまらなく幸せに感じられる季節でもあります。確かに、熱いものを飲んだり喰ったりしているときは、しばらくは体もほかほかとして、その時だけは冬を忘れられる気がしますね。
そんなわけで、今月の特集は、ただ灯油を燃やすだけでは勿体ないので熱いものを喰ったり飲んだり呑んだりしながら過ごそうという魂胆です。
常になにかを煮続けろ、ストーブ
石油ファンヒーターをご愛用の皆様、残念でした。
石油ファンヒーターは力強く部屋を暖めてくれますから、それでいいじゃありませんか。昔ながらの石油ストーブ、しかも四畳半がようやく暖まる程度の小さいやつで心細く暖まっている人、こんにちは。
石油ストーブでお湯を沸かしておくのは、貧乏を自認されている皆様でしたら当然と思われます。常に、白湯を飲みながら、または焼酎やトリスのお湯割りをちびりと呑みながら、暖まっていることでしょう。
石油ストーブの説明書などを見ますと、上に物を置かないでくださいなんて書かれている場合もありますけれど、どう考えたって、薬缶がベストマッチな形状をしています。乗せずには居られません。
ひっくり返すと大変なことになりますけれど、注意してお湯を沸かしましょう。
また、鍋に湯を沸かし、日本酒の入った徳利を静かに暖めるなんてのは最高です。
これなら、冬の寒い夜を暖かく過ごせます……けれど、これではついつい呑み過ぎてしまって肝心の作業がはかどらなくなる場合もしょっちゅうです。
仕方がないので、大根鍋を静かにことことと温めておくことにしましょうか。
芯まで煮えきった大根で熱燗……これでは、結局呑んでしまいますか。
では、御飯にしましょう。
普通に米を炊くのは、ストーブでは難しいというか危険です。ふきこぼさずに作る御飯といえば、お粥になります。
米一握りと、米に対して5倍の水を鍋に入れ、蓋をしたらストーブの上に。1時間ほど何もせずに火にかけておけば、全粥の出来上がりです。小さなストーブですと、あまり大量の水を沸かすには不向きですので、欲張って大量に作ろうとかは考えないようにしましょう。また、土鍋ですと加熱に時間がかかりますので、ガスコンロで沸かしてからストーブに移す方が賢明です。
とにかくこのお粥、口に運び、ふーふー言いながらのみ込むと、食道から胃袋へ、粥の温もりがゆったりと伝わっていき、胃の中でも熱を持ち続けてくれます。体を心底から暖かくしてくれます。冬のストーブにはぴったりなのです。やはり、お粥さんと呼ぶべきなのです。
さて、石油ストーブならば、餅などを焼くこともできます。
そのまま直に餅を置いてしまうとくっついてしまいます。ストーブで食パンをあぶると余分な水分がとんで美味しく焼き上がるのですが、やはり直に置きますとすぐに焦げてしまうので難しいのです。ところが、焼き網を一枚、乗せてあげるだけで、これらをスムーズに焼くことができるようになります。
でも、焼き物でしたら、ストーブよりも、もっと有能な暖房器具が存在するのです。
焼くのは任せろ、火鉢
冬は、火鉢があると違った過ごし方ができます。
10月の終わりとか11月の初めなどの、夜になるとちょっと冷えるなあ、という時にストーブを出せるほど潤ってはいない貧乏人でも、火鉢で豆炭を燃やすだけで、ほんのりと暖まることができます。
真冬だって、部屋で火鉢を使っていれば、ストーブの火力を弱めても部屋はそれなりに暖まりますし、お日様の出ている暖かな時間帯なら、ストーブを使わなくても、火鉢だけで充分に暖まることができるのです。
火鉢も炭代がかかりますけれど、豆炭だったら12キログラムが900円ほどで買えます。これだったら、ちょっぴり暖かさが欲しいときにも気軽に使えますね。
火鉢を手に入れたい方は、周りの人間、特に地方出身者に声をかけておけば、納屋に眠っている火鉢を入手できるかもしれません。頑張って手に入れてください。
さて、火鉢は鉢の中で炭を燃やして暖まることができます。これに五徳、焼き網をプラスすれば、焼き物を楽しむことができるのです。
ただし、汁がたれるような物を焼いてしまうと灰が駄目になってしまいますので適しません。鯣とか餅などを炙って喰うのが王道です。最中を貰ったら、ぜひとも火鉢で軽く炙ってから頂きましょう。ストーブで沸かしたお湯でお茶を煎れて呑めば、糖分が体を元気にしてくれるし、お茶で体も温まります。
もうすぐお正月です。餅を火鉢で焼いて喰うなんてのは正月ならではの贅沢ですけれど、餅もけっこう高いですし、自分で作るにも大がかりです。そこで、炊いた御飯を使って餅を作ることもできます。
炊いた御飯をドンブリなどで半殺しにして、手でこねながら切り餅状にします。これを、両面に焼き色が付くまで焼けば、おもちの気分が味わえます。
半殺しのままで、餅よりももっと薄く整形し、焼いては醤油を薄く塗り、を繰り返せば、煎餅にもなります。きりたんぽを作るのにも適しています。焼き色が付いたら串を抜いて手頃な大きさに切り、冷凍保存をしておけば、いつでもきりたんぽ鍋が楽しめてしまうのです。
火鉢とストーブの組み合わせがあれば、昔ながらの囲炉裏なみの使い方ができます。
ただし、換気には充分にお気をつけください。
灯油も豆炭も尽きたら、寝る
不況と叫ばれて長い長い月日が経っています。
その月日に比べれば、ひと冬なんて短いのですけれど、そんなことを言ってもそれとこれとは話は違うって事で、冬というのは長く感じられます。そんな長い冬の間には、灯油が買えないこともあります。
火鉢で必死に暖をとるのも、真冬の寒さでは厳しいものがあります。いくら服を着込んでも、手袋をはめてしまっては本を読むのも困難です。
そんなときには、諦めて眠ってしまいましょう。
ただ、この季節は布団が冷たくて、そんな冷たい布団をえいっとかぶっても、隅の方から冷気が入り込んできたりして、嫌ですね。
布団に入っている自分自身が放つ熱も、できれば閉じこめて効率よく使いたい物です。
そんなときは、寝袋です。
布団の中で、寝袋に入って寝ます。寝袋なら、空気の出口は1箇所だけですから、布団よりもより効果的に自分の熱を閉じこめておくことができます。それに、寝ている間も動きを制限されるので布団から暖かい空気が出ていくことも防げるのです。
寝袋が無ければ、替えの布団シーツなどでくるまるのも手です。
また、畳の下から冷気がじわっと伝わってくるのを防ぐために、敷き布団の下には段ボールと新聞紙を敷いておきましょう。
貧乏人ですと、新聞なんて取っていないでしょうから、知り合いから貰ってきましょう。貰う相手が居なければ、無料のタウンペーパーをごっそりと貰ってくればよいのです。
湯たんぽも欲しいですね。翌朝、湯たんぽの中の水で顔を洗うというのも、やはり基本技でしょうか。
春は必ずやってくるさ
梅が咲き、南の方からは桜の便りが聞かれるようになれば、ホッとすることができます。
今年は、去年に比べて幾分か灯油が安いので助かりますけれど、それでも痛い出費には変わりありません。
出費を痛いままに終わらせるのではなく、そんな出費によって得られたストーブの熱を楽しむことができれば、それはそれで冬もなかなかいいなあ、と感じられるようになります。
でも、できれば早く終わって欲しいんですよね、冬。