タイトル写真 耐乏Press Japan.
全日本貧乏協議会
11 Nov.
2001

目次
特集

 トリスを楽しむ

連載記事

  シゲ君の嗚呼、高校三年間(7)
  貧乏彩時記(8)

  投稿記事

 貧評会
 貧者の知恵


 編集後記/次号のお知らせ

特集
特集タイトル
酔えば極楽
貧乏と酒は切っても切り離せない、友のような間柄。芸術や文学といったものは酒との友情によって生まれるのだと勘違いしてしまうほど、切り離せない朋友です。安酒と言えば、トリス。トリスを楽しむための晩酌考をどうぞ。
特集タイトル写真
●貧乏と酒

今ではハワイには行けない 貧乏には、酒がよく似合います。

 ましてや、こんな不景気な世の中では余計に似合ってしまうのです。失業率が5%を超えちゃいましたけれど、なんら対策のないまま年末を迎えようとしているという状況を肴に、ちびちびと家で呑む酒なんてやつは、これ最高です。
 貧乏人があれやこれやと心配したところで、世の中なんて変わりゃしません。あーあ、大変だなあとつぶやきながら、しみしみと酒を呑む。良いですなあ。

 いやその、なんだかんだと理由を付けて、ただ単に酒が呑みたいだけだと言われればそれまでなのでありますけれど、でも、サラリーマンだっておいそれと居酒屋に立ち寄れないくらいに寒い世の中ですから、こうなると、晩酌なんて言葉が、グッと来るではありませんか。
 来年あたりは主婦向け雑誌でも晩酌についての特集とかが組まれちゃうと思うんですよ。不景気なわけだし、そうなると夫もまっすぐ帰ってくる。ヘタをすると、失業しちゃって一日中家でごろごろかもしれません。そんな状況で夫婦円満を築くには、なんてったって晩酌なのです。
 貧乏人としては、ここで流行の最先端ってやつをまねてみて、うーむ、晩酌というのはなんともあれだね、などと、風呂上がりの一杯を楽しみたいところではありませんか。

 酒なんてものは、貰い物があれば言うことはありません。純米酒なんかを貰った日には、いそいそと鰯なんぞを買ってしまって七輪様の出動になるのですけれど、家に一滴の酒もないときだってあります。そんなときは、やっぱり自分で買うしかない。酒屋は儲かるし、税金も納めてしまうのですから、これはもう立派な経済活動なのです。貧乏人だって、ときには胸を張って酒を呑んでしまうのです。

 昔から、国民の酒と言えば焼酎ですけれど、やはり21世紀型の晩酌としては、洋酒が似合いそうな気分です。そう、ウイスキーなのです。昔は高嶺の花だったウイスキーも、サッチャーさんのおかげで今では安くなりました。だったらウイスキーなんぞをちびりとやりながら、旨い肴をちょびちょびとつまみたい気分なのです。

 安いウイスキーと言えば、トリス。
 トリスは、安いのが取り柄です。

 トリスなら、ポケット瓶が260円ほどで手にはいるのです。明らかに安普請なプラスチック製ショットグラスにも、なんだかグッと来てしまいます。たとえ手ぶら状態であっても、遠足気分でストレートをちびちびと呑めてしまうのです。小銭をかき集めて酒屋へと走れば、チープな酔いを堪能できるのです。ポケット瓶180ミリリットルを一晩で呑み干せば、酒には多少自信のある人でも不意に二日酔いに見舞われるという、嬉しすぎるほど安上がりなウイスキーです。

 今月の特集は、このトリスを楽しむ方法について、あれやこれやとやってみるのです。

●トリスで晩酌の基本形

 まあ、安酒なわけです。

 だからといって肴を疎かにしてしまっては、晩酌という厳かな響きに申し訳が立ちませんから、肴には財布の許す範囲でこだわりを見せたいところです。

蜂の子だったりする 基本としては、塩辛、めざし、佃煮の三品があれば、晩酌としての体裁は整うと思われます。

 塩辛は、刺身用のイカが安い時期に買ってきて自分で作るのが安くて旨いわけです。
 作り方は簡単ですから、不精者の男でも、ちょっとのやる気で市販の塩辛なんか不味くて喰えないと言い放てるくらいのものがつくれます。

 イカを裁いて、身と足は適度に切る。それを内臓、酒、塩で和えて瓶に詰め、冷蔵庫に入れておけば良いだけです。
 塩が馴染むまでは一日一回はかき混ぜる必要がありますが、3日も経てば、ほったらかしでも大丈夫。早めに食べてしまうのであれば、塩はそれほど入れずに済みますけれど、長い間楽しむのであれば、塩はきつめに。

 大きめの皿に、これら三品を少しずつ並べると、それだけで、なんだか贅沢な晩酌を味わえるのです。

●寒さに勝つためのトリス

アサリ鍋 寒い冬、トリスで晩酌となれば、なんといってもお湯割り。

 肴は、鍋が似合うでしょう。

 アツアツの鍋をはふはふ言いながら喰うというのは、冬の醍醐味です。冬なんて、寒いし灯油は必要だしペンを持つ手は震えるしで、散々な季節なわけですけれど、湯気の立ち上る鍋をつっつくという贅沢を味わえる唯一の季節でもあるわけです。

 アサリ鍋に、トリスのお湯割り。

 考えただけでも、頭の中にはふたつの湯気がゆらゆらと。
 お湯割りにすれば、トリスの味も誤魔化せるのですから、一石二鳥なわけです。

 ここで、さらにおすすめなのがカラメル。
 水と砂糖をフライパンで加熱し、色が変わり始めたらすぐに火を止めます。あまり煮詰めてしまうと常温でもかちかちになってしまうので要注意。このカラメルを、グラスにひとさじ、そこにトリスとお湯を注ぎ、軽く攪拌。
 カラメルの甘さが、意外にもトリスの香りを引き立ててくれるのです。

 鍋のほうは、砂を吐かせたアサリをさっと茹で、殻を取ります。これを、先ほどの煮汁に戻し、あり合わせの野菜を投入して出来上がり。冬の鍋にはポン酢が似合います。
 アサリの出汁が十分にきいていて旨いので、鍋自体に味付けをするなら塩を少々でよろしいでしょう。溶き卵をふわふわと浮かべるのもおつです。

 晩酌を堪能した後は、残った汁での雑炊が格別です。

●春は草とトリス

タンポポ 寒さの冬が終われば、喰える草の季節。
 春のトリスは、水割りでしょう。
 セリのおひたしに鰹節をはらはらと乗せて喰うなんてのは最高の肴ですけれど、都会の貧乏人にはセリなんて高級品。そこで、おそらく日本全国津々浦々、どこにでも生えてくる草をおひたしにして、トリスの水割りを楽しんでみましょう。

 春、トリスの水割りには、タンポポのおひたし。

 多少クセのあるタンポポの葉っぱは、トリスとの相性も抜群です。

 近所に自然の残っている地域にお住まいの貧乏人には、コゴミがおすすめです。

●噴きだす汗にはハイボール

冷や奴 夏といえばビールか、せめて発泡酒となるのが普通ですけれど、夏だってトリスは楽しめます。

 夏は、ちょっと贅沢にハイボールと冷や奴なんてのが最高です。

 トリスを炭酸水で割り、冬の間に干しておいた蜜柑の皮を浮かべれば、これはもうお客様に出しても恥ずかしくないハイボールに仕上がります。
 冷や奴にハイボール。開け放った窓からスウッと夏の夜風が入り込み、風鈴が涼しげに鳴る。
 晩酌の前には、ぜひとも風呂に入っておきたいところです。

 夏バテしていて食欲のない場合には、冷や奴にニンニクとショウガの擦ったやつを乗せて、醤油の他にゴマ油をたらり。そいつを肴にハイボールというのは、涼を楽しむのに最適です。

 トリスみたいなお酒は苦手という女性に限っては、ハイボールに砂糖を入れることが許されます。貧乏人の宴会に招かれたなら、懐にそっと、角砂糖を忍ばせていきましょう。

●虫の音を聞きながらのオンザロック

七輪で焼くと旨い 秋と言えば、味覚の秋と言うくらいですから、肴も豊富に出そろいます。

 ここはちょいと奮発して、シイタケを仕入れてきましょう。
 原木を手に入れて育てるのも一興です。

 シイタケの石づきをむしり取ったら、これと野菜クズをみじん切りにして油で炒めます。味噌と醤油で味を付けたら、これをどんこに詰め、酒をたらします。
 こいつを、出来るなら炭火でジワジワとあぶって喰うのがよろしいわけですが、なければガスコンロ+焼き網でも構いません。弱火で、焦げないようにじっくりとあぶりましょう。
 詰め物がじくじくと言ってきたら出来上がり。裏返しては駄目です。

 秋の味覚、シイタケを肴にオンザロック。
 氷の音色が、虫の音と解け合う秋の夜長の晩酌。
 生きているって、酒が呑めるって、素晴らしいなあ。

●懐かしのトリスバーを家で再現

Tハイもしくはトリハイ 昭和30年代、トリスを呑ませる店が大流行しました。トリスバーです。
 トリスバーにはサラリーマンや大学生が足を運び、お洒落な雰囲気の中でハイボールを呑みながら話に花を咲かせていたのです。

 そんな雰囲気を味わいたいなら、つまみはバターピーナッツ。

 フライパンにバターを少量溶かし、強火でピーナッツを炒めます。ピーナッツがしんなりしてきたら塩を適量ふり、紙の上にあけて冷ます。これだけで、市販のバタピーよりはぜんぜん旨いものが出来上がります。

 書斎での作業には、ハイボールとバタピーというのが似合いです。
 スタンドで光る裸電球の弱い光。この薄暗さが、バーの雰囲気に似ているような気もします。
 ただし、目の前には真っ白な原稿用紙。
 ああ、今夜も作業は滞り気味。

●貧乏に乾杯

 というわけで、今月の特集はトリスを取り上げてみました。

 実際の所、他のウイスキーに比べるとトリスなんてのは安いだけが取り柄なのですけれど、酔っぱらってしまえば何を呑もうが関係なくなってくるわけですし、大切なのは雰囲気作りなのです。

 これだけの晩酌メニューであれば、不意の来客にも対応できます。
 塩辛もめざしも佃煮も、保存が利きます。寄せ鍋なんて、余り物冷凍物をぶち込むだけだし、タンポポなんて庭に生えているし、豆腐というのは、温度管理さえしっかりしていれば一ヶ月は余裕で保存できるし、シイタケは、原木を風呂場に吊しておけば食い放題。バターピーナッツなんて、すぐに作れます。バターは、5グラムくらいずつに切った物を冷凍しておけば良いのです。

 長期保存の出来る肴と安い酒があれば、いつでも気軽に晩酌を楽しめる。
 貧乏人だって、知恵ひとつで贅沢を味わえるのです。
 晩酌を楽しんだあとは、しっかりと御飯を喰うのも忘れないようにしましょう。
 貧乏人には酒がよく似合いますけれど、栄養不足になりがちな食生活の人間が深酒をすると、しんどいことになります。晩酌は、食前酒の拡張版としてほろ酔いを楽しむのがお洒落なのです。

 今回ご紹介した晩酌の肴は、バターピーナッツ以外は御飯のおかずにもなるというのが、最大のポイントなのです。

 一石二鳥の晩酌。酒を友とし、貧乏を楽しく過ごしましょう。


連載記事
嗚呼、高校三年間 第7回 ”箱根・湯河原弾丸ツアー”の巻

 こんにちは、シゲであります。

 今月は、結核病棟での生活を書くはずだったのでありますが、話が多くて書けませんでした。
 こういうときは、会長と違って予備の原稿がストックしてありますので、話は高校時代に戻るのであります。

 というわけで、季節はずれではありますが卒業旅行の思い出を書きます。

 この卒業旅行、ゆっくりのんびりが目的だったはずなのに、無計画きわまりないおバカな仲間に恵まれたおかげでとんでもない結果になってしまった旅行だったのであります。
 そもそも計画の段階から、おバカ同士の話し合いでした。

 「やっぱり、卒業と言えば旅行。おれらも卒業旅行するべ!!」

 1月中旬頃、誰かがそんなことを言い出し、その言はすぐに採用決定。
 計画当初は、参加人数十数名、二泊三日の「伊豆・箱根たまにはのんびりするべツアー」という、ゴーカケンラン旅行計画だったのですが、みんな都合が合わず。
 結局は、参加人数四名、一泊二日という予定に落ち着き、全員がバイクで出発ということになったのであります。

 参加者は、僕(88' GSX-R 400)、先月紹介した門井(KATANA 750 I型、3ヶ月かけて直した)、菱井ちゃん(88' NSR 250、本田の研究所に就職内定)、鈴木くん(RGV 250γ)の四名。
 今、冷静に考えてみると、十分に不安要素を抱え込んだ危ないメンバーだったのです。

 朝5時、集合場所から出発。新国道4号から国道16号へ入る、というときに、門井が暴走。
 ん?おかしいぞ! と思った僕たち3人はその場に停止しました。
 地図を見ると、16号なんてとっくに通り過ぎていたのです。
 10分後、やっと事の重大さに気がついたのか戻ってきた門井に教育的指導を行った後、再出発。

 今回の旅行、門井がなにかやらかすのは暗黙の了解として覚悟はあったのですが、こんなに早くやらかしてくれるというのは、考えが甘かったようなのであります。

 八王子や厚木の渋滞を、熱ダレしそうになりながらすり抜け、国道1号のマックで腹ごしらえをし(学生さんは、金がないのであります)、第一目標である箱根ターンパイクを上った。

 終点の大観山ドライブインで、一人ずつ乗機と記念撮影をしました。こういうところは、微笑ましいくらいに卒業旅行していたのであります。
 あまりにも微笑ましくて、この数分後に起こる悲劇など、誰も予想していなかったのです。

つづく
シゲ


貧乏彩時記 〜第8回:新米の喜びを噛みしめる
11月23日
ドンブリ飯  前日、米櫃から最後の米を出し切り、使い切ってしまった。いつもであれば、落胆と焦燥、やるせなさやらせつなさやらを総動員して悲しむべき事態である。その日、僕は米櫃の米があと一回で終わることを知っていた。最後の、僅かに一合にとどかない米を見つめた僕から出た言葉は、「嗚呼」でも「くそぅ」でもなく、「いままでありがとう」であった。貧乏人の生活を支えてくれた頂き物の米に対する、心を込めた一言。米を切らして困り果てていた僕を救ってくれた救援米、その米に対しての最大の謝辞。悲しみは存在しなかった。
 そう、僕の家の押入には、一俵半の玄米が眠っているのであった。貧乏人の押入に、これほどの米が保管されているというのは信じがたい話であるけれど、紛れもなく事実なのだ。陽の光に当たることすら滅多にないという文弱な僕にとっては過酷という一言では語り尽くせないほどの肉体労働の報酬が、一俵半の米。労働の内容は、そのままズバリ、稲刈りだった。今時、農家でも機械で刈り入れて終わりという稲刈りを手で行ったのだ。農家の老夫婦だって「こんなことすんのは二〇年ぶりですがね」と言ってしまうほどに珍しい行為によって得られた米だけに、これを喰うとなればそれだけで特別な記念になる。そんな日が、とうとう訪れたのだ。
 翌日、僕は充電という機能を失ったポンコツ車に玄米三十キロを乗せ、無人精米所で七分に精米した。石下町の米は美味しいということを、僕は既に知っている。それに加えて自分の手で刈った米であるからには、僕の中では格別の米である。はっきり言ってちょっぴり涙が出てしまったくらい過酷な稲刈りを思い出すだけで、いつでも泣ける。そんな経験によって得られた米。精米所でちょっぴり涙したことは秘密である。
 勤労感謝の日に、自分の勤労に感謝して新米を喰えるというだけでも幸せであったけれど、土鍋で炊きあげた新米は、驚くほどに美味しかった。艶やかで、箸からも新鮮さが伝わってきた。噛みしめるとほのかに甘い。やっぱり、米って最高だと感じた。ここでもちょびっと涙腺が緩んだことは、言うまでもなく秘密なのだ。

投稿記事
貧評会

開かずのカーテン
東京に引っ越したとき。持っているカーテンが窓に合わなかったので横にして画鋲でとめました。

それっきりカーテンを開けたことがないので、部屋で陽の光を浴びたことがありませんし、外から僕の部屋を見ると窓にカーテンが張り付いているように見えるので、変です。

投稿:Ryu


貧者の知恵

湯たんぽこたつ
最近寒いですね。

管理人さんは、寒さをしのぐために火鉢をつかっていましたが、それよりもっといいものがあります。
それも名づけて、「湯たんぽこたつ」
発泡スチロールの箱を用意して、その中に湯たんぽを入れて足を入れて下半身を厚い大き目の毛布でくるむだけです。ほりごたつのような感じです。
一酸化炭素中毒にもならず、燃料代もほとんどかからず、移動も可能です。
もちろん、ふつうの電気こたつの中に湯たんぽを入れても、電気のときとあたたかさはほとんど変わりません。
電気化のなかですっかり忘れ去られていた「湯たんぽ」もう一度みなおしてみてはいかがでしょうか。

投稿:のぶよ


編集後記/次号のお知らせ
編集後記
なんとか11月中に仮発刊した本号ですが、写真が載っていないというお粗末ぶりでした。12月になって、ようやく写真を掲載することが出来ました。この編集後記も、12月に書き直したりしています。書籍では絶対に出来ない技ですけれど、これもWeb会報誌ならでは。今は、12月号を12月中に発刊できるかどうかという問題に直面しております。冬と言えばインフルエンザが怖いのですけれど、この冬は、Re:でおなじみのコンピュータのウイルスが流行ってしまいました。どうやら落ち着いたようですけれど、私も30件ほど受信しました。体だけでなく、パソコンの健康管理にも気をつけなければならないなんて、まだまだコンピュータは旧世紀のようです。(か)
次号のお知らせ
耐乏Press Japan. 2001年12月号 12月中旬発刊予定

特集

  未定

連載記事

  シゲ君の嗚呼、高校三年間(8)

  投稿記事

耐乏PressJapan.では、皆様からの投稿をお待ちしております。詳しくはトップページをご覧ください。

>>インデックスに戻る

耐乏Press 耐乏Press Japan. 発行:全日本貧乏協議会(taku3@jh.net) 発行部数:5760 冊
COPYRIGHT (c) 2001 Takuya Kawakami. ALL RIGHTS RESERVED.