保存食と賞味期限
保存食。
長期に渡って保存できる食材に対して与えられる、名誉ある名称です。常温による長期保存が出来る食べ物は、いざという時に大いに役立つのです。
今の世の中、昔々では考えられなかった食材も、缶詰や瓶詰、レトルトパウチという技術によって保存食として保管できるのですから、これは相当に助かるのです。万が一、電気が止められてしまったりしても、常温保存の保存食があればとっても心強いのです。
しかし。
なんだか、最近では缶詰にも賞味期限があるじゃあないですか。しかもですよ、昔は製造年月日が刻印されていたはずなのに、いつの間にか賞味期限が刻まれるという屈辱。
缶詰の賞味期限なんて、昔はなかったのに!!
そんなわけで、今月の特集では保存食に付された不名誉、賞味期限の謎についてメスを入れてしまうのです。
しかしその、注意事項
どんな社会的背景によって保存食に賞味期限が付されるようになったのかは、まあ、なにかしらあるのでしょう。
賞味期限がある以上は、賞味期限の切れた食品を口にしたことによって引き起こされる諸問題は、喰った人自身が責任を負うことになります。
また、あなたが誰かしらに賞味期限切れの食品を、そうとは知らせずに用いた場合も、貴方は責任を追及される立場になります。
今月の特集に関しましては、あくまでも実験レポートという位置づけでもって楽しまれることを、ここに記しておきます。
98年に切れたホワイトソース
3年2ヶ月前に賞味期限が切れた、ホワイトソースを喰ってみます。
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■食品名:ホワイトソース/形態:缶詰/賞味期限:1998年2月19日/外傷:無し
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注意書きに「内容物が固まっている可能性がありますので、加熱して……」とありますが、開けたらこんな状態でした。
さて、賞味期限の切れた缶詰のチェック項目は、
- 外傷 … へこみがないか、穴があいていないか
- 変形 … 缶全体が膨らんだりしていないか
- 内部の酸化 … 外のへこみに対応した、内部の変色など
となります。
このホワイトソースに関しては、外傷、変形、参加、ともに認められず、臭いも大丈夫そうなので、喰いました。
生パスタが美味しく食べられたのでした。
缶詰の場合、チェック項目さえクリアしていれば、賞味期限なんて関係ないという持論は保たれました。
ダメな缶詰
続いて、ダメージのある缶詰の例をご覧に入れます。
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■食品名:ホールトマト/形態:缶詰/賞味期限:1996年8月5日/外傷:へこみあり
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開けてみたところ、内容物の見た目には、なんら問題は見られません。臭いも、トマトジュースの臭いです。ただ、トマトジュースの臭いというのは、酸化していたとしても嗅ぎ分けにくいのです。外傷のある缶詰の場合、賞味期限に関わらず、缶の内部に酸化がないかどうかを見る必要があるのです。
缶の内部は、外部のへこみに対応した部分が変色しています。酸化です。
缶詰は、内部に酸化防止の膜があり、内容物を保護しています。缶詰に傷・へこみが生じると、この内部の膜にもダメージが伝わり、缶の内部が酸化してしまうのです。
缶詰を購入する場合、傷・へこみのあるものは避けなければなりません。有名メーカーの缶詰が安売りされていることがありますが、そういう缶詰は、検品で廃棄処分となったはずの物が横流しされた可能性もあります。そういう商品は、傷・へこみがあることが多く、すぐに食べてしまうなら大丈夫でも、長期保存には向きません。
ちなみに、このホールトマトは腐っていたわけではありません。ただ、酸化による味の劣化が酷くて、喰えませんでした。
■錆びた缶詰
缶詰が錆びてしまうと、捨ててしまう人も居ると聞きます。
缶詰は、外側がいくら錆びても、内部に浸透していなければ問題はありません。錆よりも、傷・へこみに注意すべきです。
へこんだ部分に錆が生じると、内部の保護被膜が剥がれて錆が浸透してしまいますが、この場合、問題はへこみであって、錆ではありません。
今回の特集では、錆びた缶詰のレポートもお届けする予定だったのですが、時間切れで手が届きませんでした。
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マカロニも乾物
マカロニやスパゲティー、うどん、そば。いわゆる乾麺は、立派な乾物です。
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■食品名:マカロニ/形態:袋/賞味期限:1995年9月5日/カビ:無し/湿気:無し
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このマカロニも、けっこうな年代物です。
乾麺の場合、チェックする点は
です。カビが認められる場合は、素直にあきらめましょう。湿っていたりする場合も、注意が必要です。
さて、このマカロニには、カビは認められません。茹でて喰ってみたところ、味と食感に多少の劣化は認められますが、十分に喰えました。
乾麺の場合、ほとんどは袋詰めで売られています。賞味期限=美味しさを保てる期間ということになります。
レトルトパウチと粉物
現代、常温保存食としての缶詰の地位を揺るがしているのが、レトルトパウチです。
賞味期限の切れたレトルトカレーを試すことになりましたが、今の私には米がありません。
そこで、やはり賞味期限の切れたパンミックスを用い、ナン風のパンを無理矢理焼いて合わせてみました。
レトルト食品は、
をチェックします。また、開封後、臭い、色もチェックしましょう。このカレーは、賞味期限が切れてからそれほど経っておりませんので、まったく問題ありませんでした。
粉のチェック項目は、
です。保存状態の悪い粉は、賞味期限内であってもカビが出ますし、臭いも付きやすいです。
どこがナンなんだという不格好なパンになりましたが、味の劣化はそれほど無いと感じました。パンミックスなんて使ったことがないので、比較のしようがないのですけれど。
カレーは、もう、ばっちりカレーでした。なんと、牛肉が入っているのです。肉が喰える喜びは、賞味期限など吹き飛ばしてしまうのです。
調味料
醤油、味噌、塩、砂糖、みりん、酒などなど、調味料というのは長期保存できる物ばかりです。実際、砂糖などには賞味期限は記されていない物もあります。
塩などは、湿気を含んでしまったら、フライパンでから煎りするとさらさらに戻ります。
油も、長期保存できます。
今回は、賞味期限の切れたソースをもらいました。
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■食品名:中濃ソース/形態:プラスチック容器/賞味期限:1999年10月24日
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これは、もらってすぐに使っていますが、味の劣化なんてまったくありません。
味、臭い、見た目など、明らかに異常が見られなければ、私は使います。
ワカメの味噌汁
出所は言えませんが、某所で賞味期限の切れたインスタント味噌汁を大量にもらいました。要はだし入り味噌で、具は入っていません。そこで、賞味期限の切れた乾燥ワカメと合わせてみました。
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■食品名:インスタント味噌汁/形態:小袋/賞味期限:不明 ■食品名:乾燥ワカメ/形態:袋/賞味期限:1998年2月15日
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お椀に、味噌と乾燥ワカメを入れ、お湯を注ぐだけで味噌汁に。米がないので、味噌汁だけを寂しく飲むと言うことになりますが。
味噌は、まったく問題ありません。賞味期限内でも賞味期限切れ後でも、不味いというのは共通しています。
ワカメは、色が淡くなっていまして、味も劣化しています。ただ、カビは生えていませんから、問題無しです。乾燥ワカメも立派な乾物。賞味期限=味の保証期間ということでしょう。
不安なら、喰うな
さて、まだまだ色々と賞味期限食材はあるのですが、時間の都合で中途半端に羅列するだけで終わるというおそまつな特集になってしまいました。情けないやら悔しいやらで、なんとも不満は続出なのですけれど、6月中に発刊するために、また、自分への戒めのために、中途半端なままで終わることにします。
保存食なのに賞味期限がある……これは、多くの場合が「風味を保てる期間」であるようです。缶詰などは、チェック項目さえクリアしていれば、問題はありません。1988年製造のコンビーフやサバの味噌煮を喰ったこともありますが、サバの味噌煮などは、新しい物よりも旨かったです。
ただし、ちょっとでも不安を感じたなら、絶対に食べないことです。
人間というのは、繊細な生き物です。篠原勝之が仲間3人でカビの生えた干し椎茸を喰ったとき、彼は平気だったのに、残りのふたりは食中毒で2〜3日、倒れたそうです。怪しいと思いながら食べると、不安が病気を生みます。実際には大丈夫な食品でも、不安を感じながら食べると、お腹を壊してしまうことはあるのです。
ある種、キノコ刈りに似ているかもしれません。素人判断でキノコ刈りをするのは危険です。それと同じで、経験の浅い者が賞味期限切れ食材に手を出すことは、不幸な結果を招く場合もあると思われます。
まあ、喰わなければ結局、死んでしまいます。貧乏をやっていると、喰うにも不自由することがあります。そう言うときは、部屋の隅に転がっている缶詰を、賞味期限など気にせずに喰ってしまうのもありでしょう。
危険と隣り合わせだなんて、なんだか格好が良い……わけはないか。