世間の風習に負けてしまう貴男へ
バレンタインデーなんて風習は、はっきり言って迷惑です。いや、別にもらうのはかまわないのですけれど、本来の目的を大きく離れ、ホワイトデー(考えてみれば、なんなんでしょうか、白い日だなんて)には3倍返しなどと訳のわからない情報が流布しているじゃあないですか。まったくもって、返す側からすれば迷惑な日なのです。
私は、ホワイトデーのお返しなんて絶対にしないことを明言していますし、私を知っている女性陣も十分に理解してくれています。不意に予想外の方面からもらったとしても、もらったときの「ありがとう」の一言をもってお礼のお返しとしていますから、ホワイトデーなんぞは無関係なのですけれど、世の男性すべてがそういうわけにもいかないでしょう。
最近、不況のおかげでバレンタインも手作りのお菓子が幅を利かせているらしいですから、男だって手作りで済ませても良いのではないでしょうか。そんな思いを込めまして、今月の特集では、小麦粉で簡単に作れるお菓子の代表格・クッキーをちょっとだけ紹介いたします。
道具・材料は簡単です
菓子やデザートというのは、料理のなかでも最も難しいジャンルです。道具を知り、素材を知り、気候を知らなければ、作れない物なのです。しかしまあ、それはプロの世界の話ですし、ホワイトデーは目前なわけですから、ここでは失敗しないホームメイドクッキーを紹介します。菓子づくりなんて不慣れな男性向けレシピですから、細かいところも解説してあります。書いてあるとおりにやれば、まず成功するはずです。
必要な道具は、以下の通りです。
- ボール
- ざる
- 包丁
- 計量カップ
- 計量スプーン(大さじ)
- 普通のカレーを食べるようなスプーン(無くても可)
- オーブントースター
持ってますか? 持っていなければ、誰かに借りてきましょう。今回必要な道具は、トースター以外は100円ショップで入手できるものばかりですが、これくらいの基本アイテムを持っていない貴男なら、買っても使わないでしょうし、借りて済ませることが賢明です。ちなみに、筆者のオーブントースターは借り物です。電子レンジよりも役に立ちます。
次に、必要な材料は以下の通りです。小さめのクッキーが14個作れる分量です。
- 小麦粉(薄力粉) 100グラム(計量カップ1杯分)
- バター 60グラム(バターの包装におおよその目安があります)
- 砂糖 30グラム(大さじ3杯分)
- バニラエッセンス(無くても可)
これらの材料は、安いときなら小麦粉は1キログラムで98円。バターは200グラムで188円。砂糖なんて、買ったらしばらくは買わないでも済むようなものですから、コスト面では考慮の必要すら無いという気がします。市販のクッキーを買うより安いってのは、言うまでもありませんね。
バターを練り、砂糖を加えます
バターは、クッキーづくりの数時間前に常温に戻しておくと練りやすいです。まあ、冷蔵庫から出してすぐでも、手で練るのであればすぐにやわらかくなりますけれど。バターの使用量は、60グラムです。
さて、バター60グラムをどうやって切るかといいますと、市販されている四角のバターなら、大抵は包装紙に10グラムずつの目安が印刷されています。これを、6目盛り分切れば、60グラムになります。クッキングスケールなんて無くても平気です。
では、バターを練りましょう。べたべたするのが嫌でしたら、常温に戻したものを大きめのスプーンで押しつぶしたりこねたりして行けば、かたいクリーム状になってくれます。手でこねれば、手の熱で早めにやわらかくなります。今回は、写真を撮りながらのクッキーづくりでしたから、スプーンを使いました。
バターがクリーム状になったら、砂糖30グラムを加えます。これは、大さじすりきり3杯分です。すりきりというのは、計量スプーンから飛びでないということです。計量スプーンのくぼみより上の砂糖は、つまようじでもなんでも構いませんので、すり落とします。バターに砂糖を加えたら、均一に混ざるように練ります。滑らかになるまで混ぜましょう。ちょっと常温に放置したアイスクリーム程度の堅さまで練れば十分です。
バニラエッセンスを持っている場合は、ここで加えます。絶対に入れすぎないようにしましょう。ひと振りか、ふた振りすれば十分です。入れすぎては駄目です。
今回のクッキーづくりで、しっかりと練るのはこの行程までです。これ以降は、練りすぎは厳禁になります。
粉をふるい入れる
さて、いよいよバターに小麦粉を加えますが、ここから先の行程を間違えると、失敗します。石より硬いクッキーにしたくなければ、必ずレシピを守ってください。
写真のようなざるでかまいませんので、小麦粉は必ずふるい入れます。粉はふるって使うのが原則です。「別にふるわなくても大丈夫」とか、「面倒だからいいや」とか呟きながらそのままどっと入れてしまおうとしている貴男、その時点で失敗は確定します。必ずふるいましょう。
計量カップの200ccの線まで小麦粉を入れれば、それが100グラムです。計量した小麦粉を、ボールの上に持ってきたざるにあけて静かに振れば、小麦粉がさらさらと小雪のようにバターの上に降ります。ね、ふるわないのとふるったのと、小麦粉が全然違うでしょ!? 絶対にふるって入れるのが肝心なのです。
生地をまとめる(練らない!!)
いよいよ、バターと小麦粉を混ぜて生地にします。ここからは、手が汚れるから嫌だ! なんてことは言わずに、素手で生地をまとめます。右手でも左手でも構いませんので、片手だけを使って混ぜましょう。決して、強く押したりこねたりしてはいけません。練ってしまうと、石より硬いクッキーができあがります。さっくりほろほろのクッキーを焼き上げるためには、慎重に、粉とバターが混ざって生地になっていくまで気長に混ぜます。最初は、「こんなの、混ざらないよ。レシピが間違ってるんじゃないの!?」と言いたくなるくらいに混ざりにくいですが、レシピ通りならば必ずまとまります!
だんだん、小さなかたまりが出来始めたら、それらをくっつけていく感じで生地をまとめていきます。強く押さないことが肝心。ましてや、練るなんて厳禁です。軽く指で混ぜながら、小さなかたまりを大きなかたまりにくっつけて吸収させていくような感じでまとめていってください。
ほら、辛抱が実れば、ひとつの大きな生地になります。不安定で、ちょっと強く触ると割れてしまうようなかたまりになれば成功です。不安だからといって、練っては駄目。ここでほろほろと割れやすいと言うことは、焼き上がりは囓った途端にさっくりほろほろするような優しいクッキーになってくれるという証拠なのです。
ちぎってまとめて並べます
さて、優しい気持ちでまとめた生地を、クッキーの形にしていきます。まず、アルミホイルでクッキーを並べる皿を作ります。オーブントースターに入る大きさにしなければなりませんので、現場あわせで作ってください。
生地は、適量をちぎってとり、500円硬貨よりちょっと大きめで厚さは5ミリくらいの円形にします。厚すぎると、生焼けの原因になりますので注意してください。形は、見た目にこだわらない方が良いでしょう。多少のでこぼこがあったほうが、手作りを感じさせてくれます。
形成した生地は、作ったアルミ皿に並べられるだけ並べます。焼くときにクッキー同士がくっつかないよう、必ず間隔をあけるようにしてください。一度に全部を並べられないときは、数回に分けて焼きましょう。
ここでも、生地に力を加えないように注意してください。せっかく優しくまとめた生地も、形成の時に力を込めて丸めてしまっては台無し。石より硬いクッキーになってしまいます。
焼きます
さあ、いよいよ生地を焼きます。ここで必ず守ることは、オーブントースターは事前に暖めておくと言うこと。620Wのオーブンなら、焼き時間は5〜6分です。ダイヤルを焼き時間より2分余計に回し、2分経過してから生地を入れましょう。さて、貴男のオーブントースターでの焼き時間の割り出し方ですが、本体にクッキーの焼き時間が記載されていれば、それの通りに。記載がなければ、トースターのワット数を調べ、620W前後ならば5〜6分。ワット数が不明か、620Wから大きくかけ離れた数値の場合でしたら、トーストがきつね色になるのと同じくらいの時間が目安です。初めて焼くときは、オーブントースターから離れないようにしましょう。
ちょっと焼き色が着いたくらいが焼き上がりです。オーブントースターを開けると、バターの良い香りがします。ここでも注意事項があります。焼きたてはやわらかいのです。これを冷ますと、サクッとしたクッキーになるのです。「なんだ、まだやわらかいじゃん。もうちょっと焼こっと」などとやってしまいますと、石より硬いクッキーになる可能性があります。焼き目が着いたら、完成なのです。バターの油分がじゅぶじゅぶ言っているはずです。それだけ熱いわけですから、形成の段階で分厚くしていない限りは火も通っています。心配な貴男、もしも電子レンジがあれば、軽く加熱すれば安心です。
焼きたてのふにゃっとしたクッキーを、そっと丁寧にアルミ皿からはがして、紙の上に置いて冷まします。紙が余計な油分を吸い込んでくれますし、湿気も逃げますから、サクッとしたクッキーになります。10分ほど冷ますと、あら熱が取れてちゃんと固まります。ホームメイドクッキーの完成です。
サクッと完成です
さあ、貴男の焼いたクッキーはどんな味がするでしょう。さっそく、ひとつ試食してみましょう。囓った途端にサクッとして、ほろほろと崩れるような、それでいて中はしっとりとしたクッキーになっていれば、大成功です。たとえ多少の難があったとしても、貴男が満足できるならば成功です。バレンタインデーにチョコレートをくれた人に、貴男の手作りクッキーをお返ししましょう。
プレゼントですから、包装にも気を使わなければなりません。そこは、貴男の個性で思い思いの包装を用意してください。クッキー2〜3個を和紙にくるんでテープでとめるだけだって、立派な包装です。なにかの拍子にしまい込んでおいた包装紙を利用しても良いでしょう。アルミホイルにくるんで渡すのも、男らしさの表現としては良い演出でしょう。こういう演出なら、クッキーの形はワザとでこぼこにするくらいの工夫も良いですね。
さあ、ホワイトデーは安上がりな手作りクッキーでさっさと済ませてしまいましょう。