タイトル写真 耐乏Press Japan.
12 Dec.
2000

全日本貧乏協議会


CONTENTS DEC.2000
●特集

 会長の台所

●連載記事

  西つくばファッション通信(3)
  貧乏彩時記(6)
 新連載
  発掘!!貧乏図書(1)

 
●投稿記事

 読者の声


 編集後記/次号のお知らせ


●特集

今月の特集 会長の台所
●美女よりもコシヒカリ

 人間が持つ本能的欲求の中で、第一位にあるものは食欲。なにせ、喰わなければ死んでしまうのです。眠らずにいたって死ぬではないかと言う貴方の意見もわかります。でも、雪山で遭難したときのことを思い出してください。「寝たら死ぬぞ!」って言ったはずです。人間はなぜ、雪山で遭難したときに寝ると死ぬのでしょうか。ひとつには、エネルギー不足が原因だという話を聞いたことがあります。

 人間は、目覚めるのにもエネルギーが必要らしく、極寒状態での目覚めというのは、相当にエネルギーを必要とするものらしいのです。遭難しているくらいですから、満足な食事など摂取できるはずもなく、エネルギー不足の状態で眠ってしまうと、起きられない。そう考えれば、食欲こそが第一位と言い切ってもうなずけるでしょう。

 そんな食欲を満たしてくれるのが、食事です。貧乏を楽しく生き抜くには、楽しい食事が不可欠ではないかという考えが『耐乏PressJapan.』にも反映されていることは、食べ物ネタが多いことからもおわかりいただけるかと思います。食事を楽しむと言っても、貧乏ですから焼鳥屋で一杯とか寿司屋で一杯とか赤ちょうちんで一杯なんてことは滅多に、いや、ほぼ絶望的にできません。いや違う、食事の話でした。

 貧乏人が食事を楽しむには、自分で作るしかないわけです。今月の特集「会長の台所」では、食事を作る場所、台所を取り上げます。いやあ、実のところ、ネタがないので私の台所を紹介して誤魔化そうという魂胆なのですけれど。それでは、自分の台所に自分で潜入いたします。

●調味料

 調味料は、食生活を豊かにしてくれる大切なものですけれど、高い。できるだけ自分で調味料を作ることが、貧乏生活での豊かな食生活を支えてくれます。今回の潜入時に残っていた自作調味料は、
  • ネギ油、ニンニク油
  • 冷凍だし汁
  • 鶏脂
  • 冷凍柚子
となっております。あちゃ、ぜんぜんストックが無い。

油  ネギやニンニクは、食生活を豊かにしてくれるアイテムです。刻んだネギは、みそ汁や納豆を美味しくしてくれますし、ねぎま鍋なんかは肴になります。なにしろ、ネギ、ニンニク、それにショウガは中華料理の香味として欠かせません。そんな素敵なネギやニンニクも、購入してから時間が経つと弱々しくなってきます。消費しきれないと思ったら、ネギ油、ニンニク油にしてしまいましょう。
 加熱したサラダ油(胡麻油なんてあれば最高)に、刻んだネギをざっと投入し、さっと素揚げして引き上げるなり漉すなりすれば、油はネギの香りを含んだネギ油になりますし、揚げたネギも薬味、調味料として使えます。ニンニクも、同じ要領で素敵な調味料になります。ネギやニンニクを朽ち果てさせる前に、調味料として活用しましょう。

だし汁  和食の決め手はだし汁。だけれど、だしを引くのが面倒であることは、だしの素という存在が証明しています。だしの素の手軽さを自分で再現するには、だし汁の冷凍を。
 まず、鰹だしや昆布だしなど、お好みのだしを引きます。だしが冷めたら、製氷皿に流し込み、冷凍庫で冷凍します。これで、使いたいとき、使いたいだけ使える冷凍だしのできあがり。凍っただしはビニル袋に移しておけば、製氷皿は空きます。製氷皿の代わりに卵のパックを使っても良いでしょう。

鶏脂  鶏肉版のラードです。いや、豚じゃないからラードとは呼べず、困った挙げ句に鶏脂と呼んでいます。鶏肉の皮を煮て作りました。
 近所のスーパーで、鶏むね肉2キロ398円という、貧乏人には嬉しい特売があります。肉は冷凍か塩漬けにして保存するのですけれど、鶏の皮は酸化してしまいますから綺麗に取り除いてしまいます。皮は、決して棄てたりはせず茹でてから冷凍。残ったゆで汁は一晩冷ますことで煮こごりの上にこの鶏脂が固まります。野菜炒めなどに重宝で、フライパンで加熱すると鶏肉の香りが広がります。煮こごりは、そのまま中華スープにしてしまうか、容器に入れて冷凍してしまいます。


冷凍柚子  最近、柚子を頂いたので、皮を削った物を冷凍しておきました。こうしておけば、長持ちします。すいとんに入れると、柚子の香りが気分を良くしてくれます。今はストックがありませんが、蜜柑の皮を刻んで天日に干すと、やはり薬味になります。
 皮を剥いた柚子の実はポン酢に。柚子の身を絞って塩、酢、醤油を加えれば、香りの良いポン酢になります。これにだし汁を加えるのも美味しいです。


●手間ごと冷凍

 冷凍は、食品を長期保存するための基本技です。しかし、残念ながら、今回の潜入時には大した物が残っていませんでした。先月の給料日に買った2キロ398円の鶏もも肉は、ただ単に皮を取り除いて冷凍しただけですし、茹でてから冷凍した鶏皮も、食べちゃいました。

ホイル巻き  仕方がないので、ひとつ、ご紹介用に冷凍食材を作りました。それが、生鮭のホイル巻き。ホイル焼きの手前で冷凍しただけのものです。本当は、レモンも欲しかったし、キノコも数種類あると美味しいのですけれど、今回は手元にあった食材のみで作りました。塩とコショウで味付けした生鮭、椎茸、バターをアルミホイルに乗せ、巻いただけです。必要なときに取り出し、凍ったまま火にかければ、鮭のホイル焼きになります。
 暇のあるときに作っておけば、忙しいときには取り出して焼くだけ。冷凍食品と一緒ですね。主婦の方などは、夜中に夫が部下を連れて帰宅してしまった時の非常食材としても利用できるでしょう。手間もストックできるという点で、冷凍庫というのはなかなかに優れた文明の利器なのです。

 これだけではなんですので、まあ、ステーキ肉なんて高級なものが手に入ったときの冷凍テクニックをご紹介しておきます。ステーキ肉は、塩・コショウをして、軽く、ほんのり軽く焼きます。これを冷ましてからラップに包み、冷凍庫へ。アルミバットがあるなら、それに乗せて冷気の吹き出るところに入れましょう。2時間くらい冷凍庫の開閉をしなければ、急速冷凍なんて機能が無くても急速冷凍されます。生のまま冷凍するよりも、味の劣化が少なくて済みます。ただ、ステーキ肉なんてものが滅多に手に入らないので、技術ばかり知っていても使う機会がありません。

 ところで、私はアルミバットなんて持っていません。けれど、アルミホイルでアルミバットを作れば、急速冷凍が可能になります。適当な大きさの紙箱をアルミバットの形に切り、アルミホイルで覆います。その上にラップを敷いて、冷凍する食材を乗せます。十分に、アルミバットの代わりになります。

●冷蔵庫の中には

 さて、次は冷蔵庫を覗いてみます。まあ、取り上げるとしたら、このくらいでしょうか。
  • 2ヶ月前の鶏もも肉
  • 1週間前の豚バラ肉ブロック
  • 研いだ米
  • 具なしみそ汁
  • 自作ふりかけ(おかか)
塩漬け肉  1週間前の豚バラ肉はともかく、2ヶ月前の鶏もも肉なんて、既に腐敗しているのではないかと考えた貴方は、
創刊号の特集をお読みではありませんね。そう、塩漬け肉です。塩漬けにした肉は、水分が抜けてしまいます。腐敗というのは、水が腐るわけです。塩漬けにしてしまうと、水が抜けますので、冷蔵庫でも長期保存が可能になるのです。
 鶏もも肉の塩漬けは、1センチくらいに切り、網でレアに焼きます。これにわさびを少し乗せて、醤油で喰うと、気分だけはささみのレア。そう、気分だけは門前仲町の焼鳥屋です。あくまでも気分だけですが、まあ、なんだか贅沢をしているように感じるのだから良いではないですか。
 豚バラの方は、1ヶ月ほど塩漬けにした後、ハムにする予定の物。冬と言えばハム作り。ハムのような加工肉は高いですから、自分で作るのが一番です。知り合いの所に桜の枝が保管されているのを知っていますから、これを分けていただいてスモークする予定です。スモークなんて一斗缶で十分ですから、お手軽なものです。

米  なぜ、研いだ米が冷蔵庫に保管されているのか。不思議ですね。実はこれ、米を美味しく炊くための工夫なのです。
 米を研いだら、ざるで30分ほど水気を切ります。これを、ビニル袋に入れて一晩おくと、米に残った水分が米に浸透します。こうして手間をかけられた米を炊くと、古米だって驚くほど美味しく食べられます。チャーハンにするときは、サラダ油を少しだけ加えて炊くと、家庭でもぱらっとしたチャーハンになります。中華料理屋のような火力を家庭で再現するのは難しいですが、こうした工夫だけは真似できます。美味しいものが食べたければ、自分でなんとかするしかない貧乏人。だったら、手間というコストをかけて美味しいものを食べましょう。

具なしみそ汁  具のないみそ汁なんて、ずいぶんと貧相な……などとお考えの貴方。みそ汁の具なんて、ぐつぐつ加熱しなくても十分に食べられる物が多いと思いませんか。ネギでもワカメでも豆腐でも、熱した具のないみそ汁をかけるだけで、十分ではないでしょうか。それに、加熱しすぎると具がへたって美味しくなくなります。例えば、ファミリーレストランの飲み放題のスープ。中に入っているワカメの哀れなことと言ったらないじゃありませんか。ずっと加熱されているから、あんな根性のないワカメになってしまうのです。
 みそ汁は、具が入っていなければ長い間持ちます。鍋いっぱいに作っておいて、具も刻んでおけば、いつでもみそ汁が飲めるのです。寒い季節、外から帰ってきたら、とりあえずは熱いみそ汁を一杯。体を温めれば、暖房だって弱めでも十分に過ごせます。なお、冬場なら特に冷蔵庫に入れる必要もないのですけれど、がらがらなものですから入れています。

ふりかけ  このふりかけは、だしをとった鰹節を醤油とみりんのタレで味付けし、水分がなくなるまでフライパンで煎ったものです。仕上げにいりゴマを加えれば、風味も豊かに。市販の物のようにからからにするのは無理なのですけれど、それでも、2ヶ月は保存可能です。
 フライパンで加熱する際、あまりやりすぎると焦げてしまいます。もし失敗してしまっても、めげずに頑張ってください。みりんが無い場合は、日本酒に砂糖を混ぜて煮るとそれらしい物ができます。日本酒がなければ、焼酎でも可能です。

●台所から生まれる豊かな食生活

 貧乏人だって、美味しいものが食べたいはずです。人々は、美味しいものを求めて行列の店に並んだりしていますが、並んでいる暇と、お店に払うお金があれば、自分で美味しいものを作ることが十分に可能です。台所は、豊かな食生活を創り出すためのスペースなのです。

 今回の特集、できれば食材のストックが多いときに行うべきだったのですが、まあ、美味しいネタは取っておくのも後々のためになります。第2弾、第3弾と、続けられれば続くかもしれません。貧乏人にとって、食材のストックは重要です。安いときに大量に購入し、それを長期保存できるように手間を加えれば、しばらくはそれを使うことができます。暇のあるときに手間をかけ、保存しておくことで、忙しいときや、風邪で寝込んでしまったときに、手間の恩恵を受けられます。冷凍庫を使った手間の冷凍については、機会があれば別な特集にしたいと考えています。

 新世紀、世の中の混乱は続きそうですけれど、そんなことはとりあえず、台所には持ち込みたくありません。台所は、貧乏人の小さな創作スペースです。


●連載記事

西つくばファッション通信 第3回:アクリルシャツで放電
冬も本番。重ね着の季節です。何枚あっても困らないのがシャツ。今回は、サンキで購入したアクリルの長袖シャツをご紹介します。

ばちばち
長袖シャツ/アクリル100%/¥490/ファッション市場サンキ
寒さを防ぐには、重ね着。まずはTシャツを着て、その上にタートルネックのシャツを着ることで首は守られます。その上に、今回のアクリルシャツと、貰い物のフリースを着込めば、暖かい空気を貯めることができます。最後に貰い物のパーカーを羽織れば、風からも守られ、暖かい空気を逃がさずに済みます。これが、私の基本スタイル。重ね着でもこもこしていますが、寒さから身を守るのにごちゃごちゃ言ってはいられません。
アクリルは、洗濯した後の乾きが早いのが嬉しい特徴。晴れた日ならば、冬であっても1時間で乾いてくれますから、2着あればローテーションできます。洗濯回数が減らせるのが嬉しいですね。これを考えれば、アクリル特有の静電気などは苦にしてはいけません。あきらめが肝心です。
なお、精密機器を分解する際は、アクリルを着るのはやめましょう。ベンジンを扱うときなども、注意が必要です。

今月のお値段:¥490


貧乏彩時記  〜第6回:初めてのお歳暮に感嘆す

12月22日
すき焼き  お歳暮という単語は、もちろん私には無縁であった。もらえるような立場にはなく、贈るだけの経済力もない。そんなお歳暮ではあるけれど、今では無縁だったときのことを懐かしむかのように語ることができる。今年の冬、私のもとにお歳暮が届いたのだ。
 12月中旬、当協議会の会員であるUさんから「何か送りたい」と連絡をいただいてはいたものの、今まで無縁とされていたお歳暮という形で贈られてくるとは考えてもいなかった。ふたつも届いた荷物のうちひとつ、小さな発泡スチロールを優しく包んでいるピンク色の包装紙に視線が釘付けになった。視線の先にあるピンクの包装紙に白抜きされた漢字3文字が脳で理解できたときは、「ひえぇ〜!!」などと叫んでしまったものだ。驚愕の事実というやつだ。こんなことが許されるのかというような衝撃の事実が、ピンクの包装紙の白抜きの漢字3文字によって明かされたのだから無理もない。『前沢牛』の来臨であった。
 狂喜乱舞する心を落ち着かせ、包装紙を優しく脱がし、発泡スチロールを恭しく開いた私は、絶世の美女と対面することとなる。折り畳まれた霜降りの牛肉、しかも、ブランド牛。6年連続グランドチャンピオンという肉質日本一を誇る前沢牛。胸が震える思いとは、こういうことなのだろう。給料日には2キロ398円の鶏もも肉を買って大切に食べている私が、想像しえなかった感動にひたっている。こういうとき、人はありふれた思いを抱くものらしい。「夢ならさめずにいて」。
 夢ではない証拠に、私はこの前沢牛を食べてしまった。綺麗に折り畳まれた夢のような存在のしゃぶしゃぶ用前沢牛であったけれど、すき焼きにしてしまった。すき焼きと言っても、私が本当にすき焼きだと考えているすき焼きである。そこには、野菜が買えなかったという事情もあったかも知れない。とにかく、鉄の揚げ鍋にスーパーから持ってきた牛の脂を溶かし、そこへ砂糖を初雪のように薄く降らせる。砂糖の香りがたつ鍋の中に、丁寧に、慎重に、丁重に、前沢牛をくつろがせる。牛肉の芳香が砂糖と出会って生まれる空間で満ち足りた気持ちを楽しみつつ肉を溶き卵に絡め、口元へと運ぶ。牛肉と砂糖の相性が良いことが、鼻先をくすぐる香りで確認できる。一口で、あつあつの前沢牛が、霜降りの美女が、私の口に。ああ、うう、ふはぁ。感涙にむせび、やはりお歳暮として届いた日本酒を流し込む。究極の香り残る鍋にふたたび初雪を降らせ、前沢牛を広げる。小さな酒池肉林は、夜遅くまで続いた。
 今となっては、前沢牛も、すき焼きも、記憶の中だけの存在になってしまった。やわらかだけれど確かな存在感のある前沢牛の食感は、今でも鮮明に残っている。濃厚な牛の味を優しく包む砂糖の甘さ。両者が醸し出す香りのハーモニー。時が流れて記憶が薄れても、仮に夢だったとしても、あのときの私は幸せだった。


発掘!!貧乏図書1冊目:ワルシャワ貧乏物語

本
著者   工藤久代(くどうひさよ)
初版発行 1979年8月15日
発行所  鎌倉書房
※文春文庫からも文庫版が発行されていたようです。
月からはじまる新コーナーでは、貧乏に関する書籍をご紹介してまいります。『発掘!!』などとたいそうなタイトルがついておりますが、単に古本屋を渡り歩いて探していることを大げさにしただけのはなしであります。前置きばかり長くてもつまらないでしょうし、本文が面白いかどうかは棚上げいたしまして、1冊目となるワルシャワ貧乏物語をご紹介いたします。
ルシャワ貧乏物語は、著者の工藤久代さんが夫と共にポーランドの首都であるワルシャワで暮らした7年間の物語です。この7年というのが、なかなかの7年なのです。1967年から1974年の7年間、日本は高度経済成長により経済大国としてのし上がった華やかな時期です。同じ時期、著者の工藤さんは、社会主義国で物不足を痛感させられながら、家と夫を支えていたのです。
藤久代さんの夫、工藤幸雄氏は、ワルシャワ大学に日本語講師として迎えられます。講師の月給は、三千六百ズロチ。その当時、十円が一ズロチ、つまり三万六千円ほどで、ドルに換算すると四十ドルとのことです。久代さん自身も、通信社の通信員をすることで毎月四十五ドルを得ていたそうですが、夫婦揃っても百ドル程度。これでも、ポーランド人に比べれば恵まれた収入だったそうです。
ルシャワの人々の暮らしは衣食住について大まかに、時には事細かに知ることができますし、著者が言葉の違いを克服していく過程も面白い。私がこんなことを言うのも失礼な話ですけれど、全体を通して、とても楽しめる本に仕上がっておりまして、ただただ感心する出来事ばかりなのですが、なんといってもおすすめしたいのが、あらゆる所に出てくる工夫の数々。日本の食材など入ってこない国です。たとえ入ってきても、月百ドルの収入では気軽に買うわけにも行かない状況で、日本食を作っていく創意と工夫。これは、私たち現代の、日本の貧乏人にとっても必読といえます。
豆、味噌、豆腐、生麩、モヤシ、梅干しなどなど、物の少ない、日本の食材など入ってこないワルシャワで作っていくパワーは、日本食が食べたいという欲求が原動力です。梅干しが作りたければ、梅の木を探すのです。大豆だって、日本のように簡単には手に入りません。豆腐を作るのに必要なニガリは薬局で購入したそうです。整形用のギプスがニガリであるとは、著者も驚いたと書いています。うどんやそばを打つなんて当たり前なら、ラーメンだって作ってしまいます。麺から打つ。カンスイだって、化学記号を頼りに薬局で入手。干物だって塩漬けだって、煎餅でもキナコでも、餃子だって皮から作るのです。
の日本には、物があふれています。ピーマンだけ刻めば、中華料理を作れてしまう世の中です。ワルシャワ貧乏物語には、貧乏生活における生活の知恵が濃厚に漂っています。私も、貧乏であることは事実ながら、そこは消費物資が氾濫する日本で生活している身です。著者がワルシャワでの不自由な生活で生み出した数々の『豊かさ』が、まぶしく思えます。無い物は、お金で解決する前に自分で作るという貧乏生活の基本を、布団の中でパラパラとめくる本から思い出させてもらうこともしばしばあります。工藤夫婦の著作は、その後、ポーランドで生活する日本人のバイブルとなったらしいことが、サーチエンジンで書名を検索することで知ることができます。現代の貧乏人にとってのバイブルとしても十分にその役目を果たせるだけの内容が詰まっていると、読んでいただければ納得していただけることでしょう。
者は、序文で『題名から見て、ワルシャワが貧しいととらないでください』と述べていますが、ワルシャワ貧乏物語を読み終われば、著者の思いは杞憂だと言えるでしょう。携帯電話すらも普及しているという今のワルシャワの話を聞くと、ワルシャワ貧乏物語当時の、ワルシャワの人々が育んでいた豊かさが失われていないことを願ってしまいます。

書評 全日本貧乏協議会会長 川上卓也


このコーナーでは、貧乏図書に関する紹介を広く募集しています。投稿記事と違い、必ず採用するかどうかはお約束できませんが、「あの本こそ紹介すべきだ。俺が(私が)書いてやる」という方がいらっしゃいましたら、お気軽にメールをください。


●投稿記事

読者の声

金が無くなり散髪代が支払えないので、自分で髪を切るようになりました。
でも自分では切りにくい部分があるんです。
それにどうしてもおかしくなってしまうのです。

投稿:秘密小僧

編集者は、電動バリカンで坊主頭にしています。自分で散髪するのに、これほど都合のよい髪型はありません。
ただ、勤めている場合などは坊主頭も色々と難しいかも知れませんね。切りにくい後ろ髪などは、知り合いに切って貰わないと難しいでしょうけれど、安心して任せられる知り合いを見つけるのも難しいですよね。
美容師見習いのためのカットモデルに志願するなどして、なるべく安くあげるしかないかもしれません。

直後に風邪を引いた編集者


●編集後記/次号のお知らせ

編集後記

■今世紀も残すところわずかとなりました。今世紀最後の耐乏PressJapan.はいかがでしたか。■年末と言えば、忘年会の季節でもあります。私の忘年会は、おそらく、大晦日に突如としてはじまる予感あり。もちろん、タダ酒をねらっています。■私にとって、今年は忘年するには勿体ない年です。来年への展望もあります。鬱勃としております。■どうか、新世紀にあってもご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。(か)
次号のお知らせ
耐乏Press Japan. 2001年月号 1月中旬発刊予定

●特集

 未定

●連載記事

 西つくばファッション通信(4)
 貧乏彩時記(7)
 発掘!!貧乏図書(2)

 
●投稿記事

耐乏PressJapan.では、皆様からの投稿をお待ちしております。詳しくはトップページをご覧ください。



耐乏Press 耐乏Press Japan. 発行:全日本貧乏協議会(taku3@jh.net) 発行部数:21687 冊
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