タイトル写真 耐乏Press Japan.
Sep.
2000

全日本貧乏協議会


CONTENTS SEP.2000
●特集

 魅惑の納豆にせまる

●連載記事

  貧乏大全第1巻
  新・貧乏物語(7)
  貧乏彩時記(4)
 短期連載コラム
  うさちんのちょっと北の国から(2)
 新連載
  西つくばファッション通信(1)

 
●投稿記事

 貧評会
 貧者の知恵


 編集後記/次号のお知らせ


●特集

今月の特集 魅惑の納豆にせまる
●納豆に秘められし力

 糸引き納豆。3パック100円以下で購入できるため、茨城に住む筆者は日々、納豆と御飯、それにみそ汁という食生活になっています。茨城に住んでいるからには、毎日納豆を食べていたところで、それはあたりまえとして誤魔化すことができるのです。納豆しか買えないなどと言う事実は隠蔽可能なのです。

 そうそう、納豆といえば水戸というイメージがありますが、日本全国、納豆は食文化として根強く生き続けています。関西にだって、納豆文化は存在します。西日本の人間は納豆を食べないと思われがちですが、これは、糸引き納豆のことであると考えられます。なぜならば、古来より、納豆は日本各地で作られていたからです。日本中の貧乏人が、安売りの納豆を大量購入したって、ごく当たり前の行為として捉えられることでしょう。

 なぜ、納豆が日本全国で食されてきたのか。これは、納豆というものが、武士や合戦とともに言い伝えられてきたことで理解できるでしょう。納豆の持つ力は、合戦時に即効性のある食べ物として、武士からも愛されてきました。ほし納豆なら、持ち運びにも便利な携行食になります。平将門だろうと、武田信玄だろうと、だれでもかれでも、戦に適した、長期保存できて栄養満点の食べ物、納豆を愛していたのですから、我々貧乏人が生き抜くために利用しない手はありません。大豆は畑の牛肉です。なにも、納豆しか買えないから納豆ばかり食べているわけではないのです。

 納豆の発祥は、竪穴式住居だとされています。竪穴式住居は、床は土だし、屋根は藁ですから、納豆菌が充満していたはず。このような状況に煮豆を放置しておけば、納豆にならないはずがありません。納豆は、古来より日本人に愛されてきた食べ物のはずですから、我々貧乏人が毎日納豆を食べていたとしても、正当化できると言えます。

 古くから愛され、その栄養満点ぶりを評価されてきた納豆は、近所のスーパーで気軽に購入できます。100円以下で、3食を補えるのです。御飯に納豆、それにみそ汁があれば、十分華やかな食卓になります。この3つで不足しがちなカロチンやビタミンCは、安い旬の野菜で補いましょう。

 今月の特集は、日本古来より育まれ愛されてきた納豆を取り上げます。なお、筆者の趣味により、関西人が嫌いとされる糸引き納豆を大々的に取り上げてしまいます。以後、納豆といえば、炊き立ての御飯にはもってこいの相棒、糸引き納豆のことであると、ここで申しておきます。

 納豆で彩る、貧乏人の食卓。

●納豆と薬味の関係

 納豆を利用した料理なんてものが、世の中にはたくさん存在します。しかし、納豆は、納豆として糸を引かせ、そのまま御飯にかけて喰うのが一番だと、筆者はそのように思うわけです。納豆を加工するには、さらなるコストを発生させてしまうのです。

 ここは、下手に加工してしまっては納豆の旨味を形成する粘りと香りが損なわれてしまうという点を大々的にアピールすることで、質素な薬味で食すことを正当化させましょう。葱は定番ですし、みそ汁の具にも使えますから、常備しておきたい野菜です。冥加なんてのを貰えたりすると、箔が付きますね。紫蘇を庭で栽培しておけば、飽きてしまいがちな納豆生活にも変化球で対応できます。海苔も長期保存できますから、これを少しずつもみ砕いて加えるのも良いでしょう。傷海苔の安売りは逃さないようにしたいものです。

 人から、納豆に加えるべき薬味として、自分が購入できないような高級食材の名前を出されたときは、即座に否定しましょう。粘りを損なうとか、風味を失わせるとか、そんなことを適当に並べ、貧乏な自分の食べ方こそが、納豆の王道であることをアピールすることで、納豆文化を貧乏の手の届く場所にとどめておくことが可能になります。金持ちに、「私も、たまには納豆なんてものを食べてみようかしら」なんて言わるくらいになりたいものです。

 納豆を食すにあたり、なによりも基本となるのが、醤油、辛子、それに空気でしょう。大抵は、納豆のたれと辛子が付いてきます。納豆は基本的に無添加ですけれど、付属されてくるたれや辛子には、調味料その他が含まれています。たれを使わず、醤油を使うといったことも、お好みで選べば良いでしょうし、醤油が勿体なければ付属のたれで良いでしょう。辛子も、好みの問題です。本物を手に入れるのも大変ですから、ここは、気にせずにビニルの小袋に入った辛子を使いましょう。

 さて、空気。納豆の魅力のひとつに、空気すらも旨さに取り入れるという点が挙げられます。納豆を混ぜ、糸を引かせるという行為は、納豆に空気を絡めさせるという行為です。この、攪拌の度合いによって、ひとそれぞれに好みの納豆として仕上げることになります。自分なりの納豆を完成させるには試行錯誤が必要ですが、一番最後まで調整が必要なのは、空気との関係になることでしょう。ちなみに、筆者の場合には右200回転、辛子・薬味投入、左50回転、たれ投入、右20回転というのが基本の攪拌数となっています。

 納豆に美学を求めることは、美食という名の芸術でもあるのです。決して、米が炊けるまでの間にやることがないからこれくらいしかこだわるところがないなんて言ってはいけません。日々、芸術を追い求めようではありませんか。納豆で。

●納豆の購入戦略

 一日3食を家で食べるというのも、仕事を持っていては難しい話です。3個パックを2つ購入すれば、1日2食なら3日間、1日1食で6日間というペースになります。納豆の見かけ上の賞味期限は1週間前後のようですから、1回の買い物で3個パックを2つ購入するのが、基本となると考えます。

 もし、いつも120円する高級納豆が98円で売られていたりしたら、これは、多めに購入してもかまわないでしょう。賞味期限なんて、気にするから腹をこわすという説もあります。筆者は、今のところは生きています。色々な納豆を食べ比べましたが、やはり、値段と味にはそれなりの関係がありそうだというのが、現時点での結論となっています。特売のまとめ買いを行ったときは、消費戦略の修正も忘れずに行いましょう。

 葱は、納豆の薬味以外にも色々と使い道のある野菜です。白髪葱を作って、熱した胡麻油をかけるだけで、酒の肴になります。1月号の特集で紹介したように、ぬたにするのも良いです。消費する前に傷んできたら、刻んで冷凍してしまえば、みそ汁の薬味として使えます。1日1食6日間ペースなら、一緒に葱を購入することになるでしょう。

 高級食材のイメージが強い卵も、攪拌した納豆に溶き卵にして入れると旨い。10個100円以下の特売があったなら、一緒に購入することをお勧めします。ゆで卵にすればお腹も満足させられますし、オムレツなどは、雑炊に並んで野菜くずを美味しく食べる手段として有効です。

 卵を安く入手できたなら、一度、卵の黄身だけを納豆に加えてみてください。何とも言えない濃厚な粘りを経験できます。これは、日本酒にぴったりです。もちろん、白身の方はみそ汁へ雲のように浮かべるなどしましょう。無駄にしてはいけません。

●趣味の納豆作り

 納豆は、自分で作ることもできます。しかし、大豆を買ってきて水に浸して煮て発酵させることにかかるコストは、納豆を購入することを大きく上回ります。

 だからといって、これを否定することはありません。人間、だれしも趣味というものが必要です。自分で作った納豆を炊き立ての御飯に乗せて食べるなんてことは、十分に満足できる、実益をかねた趣味として認定できるでしょう。

大豆と藁  納豆を作るには、大豆と納豆菌が必要です。大豆が高い。まあ、これをなんとか入手したら、あとは納豆菌です。これは、今の時期なら稲刈りの終わった田圃にいっぱいあります。藁を拾ってきて、2分ほど煮沸消毒すれば、雑菌は死滅しても納豆菌は残ります。拾った藁に抵抗のあるという都会派の貧乏人には、市販の納豆を混ぜるという方法もあります。6月号の貧乏料理に投稿されていますので、そちらをご参照ください。

水に浸す  大豆は、一晩水に浸けておきます。一晩経つと、水を吸ってぱんとした大豆になります。これを、鍋で柔らかくなるまで煮ることになります。普通に煮ると、5時間はかかるそうです。魔法瓶を利用すれば、少し似たものを熱湯ごと魔法瓶に入れて一晩も置いておけば、ふっくらとした煮豆に変わっています。

容器に入れる  こうして柔らかくなった大豆は、また鍋で少し煮て、温度を上げます。あつあつの大豆には、消毒した藁を。発酵には酸素が必要ですから、空気穴を用意するか、大きめの容器を使うかする必要があるようです。これを、40度を保ちながら2〜3日放置すれば、納豆になる……はずです。完成が発刊までに間に合わなかったので、本当にできるかどうかは、後日談として語ることになります。

 ここまで時間をかけて作った納豆なら、感動という調味料によって美味しく食べられるはず。あ〜、早くできないかな。

●よく噛んで食べる

 誰しも、「よく噛んで食べなさい」なんて、子供の頃に注意された記憶があるのではないでしょうか。少なくとも、筆者には経験があります。そんな注意など聞く耳持たず、社会人になったときに食事時間を十分に取ることができない仕事に就いてしまったため、早食いが身に付いてしまいました。貧乏生活ではこれが仇となり、今になって、よく噛んで食べることがいかに重要であるかを、しみじみと感じられるようになりました。

 ゴマ煎餅。これを食べた翌日、トイレで「あちゃ〜」という思いをしたことのある方もいらっしゃるかと思います。筆者には経験があります。これと同じことが、納豆でも起こりうる可能性があります。

 卵の安売りに遭遇し、生卵入りの納豆に喜んでぞぞっと一気にかき込んだりすると、その翌日には、外出先のトイレでそのままの姿に出会う可能性があります。消化不良です。貧乏人の食生活は、偏りがあって当たり前の世界。そのような状態で日々の生活を営んでおりますと、気温の変化などで胃腸が弱ることなどは日常茶飯事です。柔らかくなっているとはいえ、納豆も豆です。弱った胃腸に、よく噛まずにかき込んでしまうと、結果として消化不良を起こしてしまいます。消化不良とは、その食物の栄養素を吸収することなく、みすみす排出してしまうことになるのです。

 少ない金銭をやりくりして、やっと手に入れた栄養源。これを、栄養にすることなく、そのまま排泄してしまうことは、まったくの無駄です。日頃から、十分な咀嚼を身につけることこそ、食材を無駄にしないことにつながります。

 胃腸が弱っていると感じたら、納豆は包丁で叩いてひき割り風納豆に変身させましょう。ひき割り納豆は買うと高いですが、あんなものは少しの手間でそれらしく加工できます。また、御飯にかけるとき、一気にどどっと乗っけるのではなく、さじなどで少量ずつ乗せ、これを、一口ずつゆっくりと食べるというのも、消化不良を防ぐには良い手です。

 ゆっくり食べた方が、満腹も早く訪れます。

●こだわりの食生活

 今月は、筆者の食生活を支えてくれている納豆を取り上げました。なんだか、金がないから納豆しか喰えないという肉への憧れがそうさせたのかどうかは別にしても、自分が食べているものへのこだわりが、食という、生きることへの大前提を盛り上げてくれるように思えます。

 「体調が悪くて他に思い浮かばなかったんだろう」とか「楽しようとして身近な話題を取り上げようとして失敗した良い見本になる」とかいう雑音も聞こえてきそうですけれど、そもそも貧乏生活というのは自分のためにやっているのですから、自己の食生活について見つめ直すというのは素敵なことなんだと開き直りたいところです。

 「あのへたくそなイラストがない」とか「コラムがあったはずじゃなかったのか」とか、そういった意見の飛び交う中、ひっそりと、最後にひとこと。

 納豆の粘りを、人生の粘りに加えましょう。


●連載記事

西つくばファッション通信
夏も去り、秋真っ直中となりました。暑い日もありますけれど、陽光も夏とは違ってぽかぽかとしています。夜になると、坊主頭ではちょっと寒い。そんなとき、気軽に頭に巻くことで防寒できるのが、バンダナ。これには、異を唱える豆絞り派もいらっしゃることでしょうが、洋服にはバンダナが似合うこともあります。

バンダナ
バンダナ/素材不明/1枚¥19/ジェーソン石下店
今回ご紹介するバンダナは、1枚19円。全2色をそろえても、38円にしかなりません。当協議会で確認した、バンダナ界の底値です。うし(?)や有刺鉄線(?)やカウボーイ(?)を連想させる絵柄が薄手の布地に映え、手軽な気分を演出しています。ハンカチ代わりにポケットにしまい込むには最適の絵柄も、19円なら納得できます。どうせなら、無地にすれば良かったのにと生産者に意見することも、19円では叶いません。

これよりも安いバンダナ情報を握っている方は、ぜひ当協議会までご連絡ください。

今月のお値段:¥38


新・貧乏物語

 9月に入り、なんとなく暑さも和らいできました。美味しいものの便りもちらほら耳にはいるようになりましたところ、私が全日本貧乏協議会の会長を勝手に務めている川上卓也です。まだ、秋刀魚は買えません。
 「会長ぉ〜」
 その声は、教習所にさえ行けばすぐに卒業できたはずなのに面倒がって行かず、最後の3時間に1ヶ月もかけてやっとこさ自動二輪免許を取得したシゲ君ではありませんか。
 「20歳のとき、教官の態度が気に入らないからって教習所の期限を切らして、24歳で他の教習所に通ってやっと普通免許を取得した会長には言われたくないよ」
いけてない…… まったくもって事実なだけに、癪にさわるのですよ、君。
 「2つの教習所で、50万円を越える出費だったんでしょ」
 ……会社員の頃は、私の金銭の感覚は異常でしたからね。なんであれだけの収入がありながら、貯金しておかなかったんでしょう。
 「狸を皮まで喰っちゃったあとに、その皮の価値を考えたってなんにも産まれないよ」
 鋭いですね、相変わらず。まあ、私も会社員だった頃は、大量生産・大量消費の世の中に踊らされて、大量廃棄をしていた口ですからね。
 「今頃は、過去の稼ぎも夢の島。我泣き濡れて、あ〜寝っちゃうべ」
 歌なんか詠んでいる場合ですか、まったく。でも確かに、給料を貰ったら、めいっぱいものを買っていました。貧乏生活に入って、つくづく思いましたよ。当時に買ったものの大半が、今ではゴミでしかなかったと。
 「気がついただけ、マシなんじゃないの。そんなの、気がついてない人がいっぱいいるもの」
 そうですね。そういった、気がつかない人たちの出費が経済を動かし、私のような貧乏人が暮らせる世の中を支えてくださっているのです。
 「会長、相変わらず顔がにやけてっと」
 ふふ。まあ、この話を聞いている人たちにだけは、商品という名のゴミについてコッソリとお話しするとしましょう。 

第3部 『時間を得る貧乏生活』
第1章 『気がつけばゴミの部屋』

 通勤電車の中で漫画雑誌を読む会社員というのは、かつて私も通勤電車に乗っていた頃によく見かけました。
 「会長だってそうだったらしいどな」
 コホン。週に2冊の漫画雑誌を購入したとすると、1ヶ月の出費というのもわりと大きくなります。2,000円弱でしょうかね。
 「都合の悪い話を聞き流す技を身につけたらしいな」
 君のような高校生とこのような会話を繰り広げていれば、そのくらいは覚えますよ。まあ、いい。漫画雑誌というのは、一度買ってしまうと、次が気になって読まずにいられなくなります。しかし、今の漫画雑誌なんか、買う価値がないと早く気がつくべきでしょう。
 「漫画家の創作力が枯渇しているって言いたいのけ」
 それもありますけれど、所詮は企業が利益を求めて発刊している雑誌です。どう考えても、編集の側に立つ人間にコントロールされていますよ、あれは。登場するキャラクターやストーリーを粗筋にした場合、どれも同じ格好の骨が出てきます。
 「読者に受け入れられやすい展開という型にはまっているわけだな」
 はめさせられているんでしょう。せめて、そう思いたいものです。まあ、どれも同じということにさえ気がつけば、読む気など起きなくなります。一度読んでしまった漫画雑誌なんて、収集癖のある人でもなければ、捨ててしまうでしょう。それならば、読む気のない漫画雑誌も、ゴミでしかないですよね。
 「相変わらず、無理のある展開だな」
 さては君、この物語を骨組みにまで簡略化して弱点を探していますね。
 「そこまでしなくても、粗だらけじゃん」
 まったくもって癪にさわる高校生ですね、君。まあ、今に始まったことではありませんし。次は、機械の話にしましょう。
 「いよっ、工業高校卒業」
 君だって工業高校でしょうに。まあ、いい。音楽装置、映像機器にこだわるなんて人もいるでしょう。何十万円、何百万円もする機械を買い込んで、映画を観たり、音楽を聴いたり。残念ながら、こういった行為はゴミを買っているだけだと気付く日が訪れます。
 「その瞬間に、うん百万円がゴミの山」
 突き詰めていくと、音に関してだけでも2,000万円は最低でもかかります。6畳間で最高の音響を求めたって、無理です。それだけの環境をそろえても、環境に見合ったソフトが見つかればよいですけれどね。
 「お金持ちの趣味だね、完全に」
 趣味というのは、なにかをつくり出すことを言います。ただ音楽を聴くだけの行為で終わってしまうことを、趣味とは言いません。車に何百万円もかけてみても、時速200キロ出る車で200キロ出しても、それだけの話です。
 「想像も創造も無い世の中だからね、今」
 だからこそ、テレビゲームがこれだけ普及したのでしょうね。テレビゲームという閉ざされた世界には、本物の感動などありはしません。お金だけでなく、時間もふんだんに浪費するだけの代物です。
 「映画並の制作費をつぎ込むゲームソフトもあるけどね」
 残念ですけれど、クリエイターの創作力が枯渇しています。漫画と同様に、売れるための型も存在するでしょう。
 「機械といえば、高級多機能一眼レフカメラなんてのもあっとな」
 カメラというのは、写真を生み出すための道具です。今までの話のなかで、比較するならば車になるでしょうね。AF、AEがなければ難しい撮影もありますけれど、それは、どういった写真を撮るかによって選択すればよい話です。
 「会長は、買えないから使わないだけなの」
 一台くらい、オートの一眼レフも持っておきたいですけれど、現時点での写真家活動には必要を感じていませんから、優先順位としてはとっても低いですよ。
 「車も、軽自動車で十分だと」
 法定速度は十分に出せますし、茨城−姫路を1週間で往復できた実績もあります。もう少し広いと車中泊も楽でしょうけれど、若さでカバーできます。私が時速200キロ出せる車を持っても、何も生み出せません。道具としては、不要な面が多すぎますね。
 「おら、原付は限界感じてっど」
 原付で茨城から青森まで行ってしまうような高校生が、道具としての原付に限界を感じたなら、お金を貯めて大きなバイクを買ってもいいでしょう。250ccの性能を必要に感じているわけですから。
 「まあ、もらってくる予定だけれどね」
 どうして、私の周りにはそんな人ばかりなんでしょう。

 限られたスペースで語るには、大きなテーマでしたのでわかりづらい内容になりましたけれど、道具になり得ないものはゴミであるし、必要以上の道具も、やはりゴミでしかないという話でした。
 「結局のところ、衣・食・住以外の部分は大いにゴミになり得るわけだな」
 ところが、衣・食・住に関する部分でさえ、大量生産の似て非なるものが大いに蔓延っているわけです。
 「ブランド商品、コンビニ弁当、欠陥住宅ってなところけ」
 マスメディアによって作られたブランドってのは、流感という気がします。どうも貧乏くさいですね。高級ブランドにしてみても、庶民がやっとの思いで手に入れてみても、それに見合う生活などできないわけですから、貧乏くさくなるんですね、これが。
 「小銭を出したり、電車に乗ったり、ファーストフードに寄ったり」
 着る物なんて、警察のお世話にならない程度、かつ、暑さ寒さに対応できるものであれば十分なのですから。コンビニ弁当なんてのも、最初からゴミとして作られているわけですし。
 「時間が来れば、廃棄処分だものな」
 家にしても、一生のローンを背負ってまで買うことが当たり前になっていますけれど、怖いことですよ。本来なら、買えないはずのものを、会社組織に属しているというあやふやな信用だけで、前借りするのですから。
 「山一証券が潰れるなんて、経済学者は思ってなかっただろうし」
 四大証券は生き残るだろう……書いてありましたね、経済の本に。個人の信用だと思っていたものは、所詮、属している会社の信用をまとっているに過ぎません。そんな信用を使ってローンを利用して、ゴミを手に入れている現代。今の内に抜け出さなければ、そこに待つのは阿鼻叫喚でしょう。
 「ところで、会長は借金を嫌うけれどさ、税金未納ってのは借金にあたらないのかなあ」
 ごほっ。い、いいのですよ、この際。国自体が、借金大好きなんですから。
   では、会長は帰るぞ

第1章 完
文責:全日本貧乏協議会会長 川上卓也


貧乏彩時記  〜第4回:秋刀魚七輪星見酒

9月23日
七輪で秋刀魚  秋といえば、秋刀魚である。スーパーの鮮魚コーナー特設売場では、ぴちぴちの生秋刀魚が氷水の中でぷっかりどっぷりと大々的に売られている。これを見せつけられてしまっては、もう、値下がりを待つという自制心を振り払うことが決定的に難しくなる。秋刀魚の、脂の燃える音が「じゅっ」と浮かぶ。大根をおろす軽快な音が離れなくなる。頬にあてていた右手でぽんと膝を叩き、購入を決意。なるべく大きなヤツを選んで手前の水槽に移し、その中から購入すべき秋刀魚を更に選ぶ。大量に陳列されている秋刀魚も、よく見れば大小様々。慎重にならざるを得ない。孤独な戦いの末、満足のいく1尾をビニル袋に。

 秋刀魚といえば、大根おろしは欠かせない。人の流れに逆らって青果売場へと向かう僕の瞳には、やがて白い肌をした秋刀魚の友が映し出される。葉が切り落とされていることに腹を立てつつ大根を買い物かごに入れかけて、ふと我に返る。まだ値段を見ていないではないか。黄色いポップには、赤字で「¥198」と記されている。高い。高いではないか。なぜ、僕が秋刀魚を買うときに限ってそのような高値で売られているのであろうか! 主役は秋刀魚である。助演男優賞確実の実力派とはいえ、脇役が主役を上回るというのは許し難い。そこまでの金がない! 結局、秋刀魚を満足に食すには絶対不可欠の大根は、二分の一に切って売られている、秋刀魚より一回り高い128円のものを購入する結論に至った。割高ではあるが、現在の持ち金を考慮した苦渋の決断である。その横で、どこかの主婦が198円の大根を流れるような動作で買い物かごに入れていったことは、今でも忘れられずにいる。

大根は鬼おろしで さて、材料は揃った。せっかくの秋刀魚であるからには、一番旨い喰い方をしなければならない。三軒長屋の真ん中、両隣は空き家であるから、もう、煙をもわあんとさせながら焼いてしまうのである。七輪を持ち出して炭に火をおこし、そこでずぶっと焼き始める。オレンジ色の視界の中、脂がじぶじぶと音を立てる。そうか、今年はじぶじぶだったか。貰った日本酒でいい気持ちになりつつ七輪からの一筋の煙を追うと、星が出始めていた。煙が目にしみたのであろうか、涙が頬を伝った。


うさちんのちょっと北の国から だい2かい
りんごの思い出
 幼少時代、親戚一同で旅行に行った際、おば様がりんごを
数個、ゴロンと持参したのだが包丁がないことに気づいた。

 ―皮がむけない・・・・―

 どうしようかとオロオロしている間に、気がきくイトコのK君
(当時小学生)がそのりんごの皮を全てむいてくれていた。

歯で。

筆者紹介:うさちん

 節約術集積サイト『節約倶楽部』の主催者として、今ではすっかり有名人となっている。節約倶楽部のアクセス数は、とっくに当協議会のトップページのアクセス数を越えており、その人気ぶりがうかがえる。

 当協議会へのアクセスの内、節約倶楽部のリンクからのものがかなりの割合を占めている。今後もあやかりたいものである。


●投稿記事

貧評会

カタカナのビンボー
こんにちは。
めちゃくちゃビンボーしてます。

なぜ、こんな事になったのか・・・・
そう、あれは去年の夏でした。

僕は、友人と落ち武者の霊が出ると(一部で?)有名な八王子城址に真夜中昇ったのです。

それからです。
トラックにいきなりひき逃げされました。犯人は捕まっていません。このような事故は社会保険はきかないので、実費で全部。
雨の日、いきなり車がスリップして、ガードレールに刺さって全損。ちなみに60キロくらいでした。
車新しくして(ローン組んで)、夜駐車場に止めておいたらガラス割られて車の部品盗まれました。
おかげさまで、貯金使い果たし、ローンも増え、毎日漬物とご飯(実家から貰ってる)もしくはパン(仕事がパン屋)ばかり食べてます。

この前、栄養失調にかかりました。やばいですね。

でも、毎日楽しく生きてます。貧乏なんて、へっちゃらさ!!
みんなも楽しく生きようぜ!人間お金じゃないぜ!!←負け惜しみ?

投稿:うにぃ

時価……よっぽど羨ましい
いつも会長の日記の中でタダ飯・タダ酒の話題をうらやましく思っていたのですが、この前、超豪華タダ飯・タダ酒をついに経験してきました!『割烹料理』です。メニューには「時価」の文字が(!)まだ動く刺身、蟹、海老、上品な純米酒等、あれは夢だったのでしょうか‥‥?

「貧乏を公言するとよい」とは本当ですね。
う〜〜ん、先輩の知合いに感謝☆

投稿:MYU


貧者の知恵

除草
雑草の処理に、除草剤を使うのもいいですが、菜っ葉や、いろいろな物のゆで汁(アツアツのもの)を、雑草が生い茂っているところにまいてしまいましょう。草の根が煮えて、雑草は枯れてしまいます。除草剤をまくより安全ですし経済的です。

投稿:草に悩む者


●編集後記/次号のお知らせ

編集後記

■朝夕は、めっきり涼しさを感じるようになりました……などと、1年前も同じようなことを書いております。■秋といえば読書などというのも、1年前と同じ内容ではありますが、いくら1冊100円の古本とはいえ、購入するのも辛くなってきました。■やはり、借りるという姿勢が大切であるとの認識を強め、最近では借りてばかり。読まなければならない本が、書斎に山となっています。■自分の読みたい本を持っている友人を探すのも大変ですが、まったく趣味の合わない人から、予想外の本を借りるというのも楽しいものです。■こうして、またひとつ歳をとる読書の秋。納豆で力を蓄え、冬に挑まなければ。(か)
次号のお知らせ
耐乏Press Japan. 2000年10月号 10月中旬発刊予定

●特集

 未定

●連載記事

 西つくばファッション通信(2)
 新・貧乏物語(8)
 貧乏彩時記(5)
 うさちんのちょっと北の国から(3)

 
●投稿記事

耐乏PressJapan.では、皆様からの投稿をお待ちしております。詳しくはトップページをご覧ください。



耐乏Press 耐乏Press Japan. 発行:全日本貧乏協議会(taku3@jh.net) 発行部数:18682 冊
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