バブル崩壊後の不況も、これが日本の当たり前の姿なんじゃないのって思うくらいに定着している今、生活に関わる節約術なんてものが各種メディアを横行しています。塵も積もれば山となるわけで、やれ「飲み終わった牛乳パックに水を入れてすすぎ、その水を植木にやると栄養剤がいらない」だの「ワイシャツは乾く直前にアイロン掛けすれば、時間は2分の1でスチームいらず」だとか「お風呂には午前中に水を張っておくと、常温で水が暖まるのでガス代が節約できる」といった情報が、テレビや雑誌で紹介されています。しっかし、この程度の節約術を、マスメディアが競って取り上げる状況というのは滑稽です。
常識でしょ、そんなの。
現在、節約術という名の下にもてはやされているこれらの行為ですけれど、かつては常識としてやっていたことだったはずですよ。親から子へ、子から孫へと受け継がれてきた生活文化としての常識が、高度経済成長期の消費は美徳とやらで、郊外のベッドタウンの隣町あたりにウサギ小屋のような建て売り住宅やマンションを買って、核家族化が進んだために線がぷっつりときれてしまった。そこを、これぞとばかりに節約だの倹約だのってんで取り上げるテレビや雑誌。まあ、言葉尻ひとつをいつまでもねちゃねちゃとえぐって視聴率稼ぎに勤しむ程度に成り下がったマスメディアですから、なんだろうと勝手にやらせておくにしても、我々貧乏人としては、出費を抑えるどころか、金を使わないという極限の節約を、日々、行う必要があるわけです。
と、いうわけでございまして、今月の特集は洗濯に関する節約術です。洗濯に関する節約術というと、「風呂の残り湯」とか「洗剤は適量を」なんてのがすぐに思い浮かびますが、ここまで言っておきながら常識を並び立てて特集を組むわけがありません。タイトルの通り、洗濯機の稼働率を下げることを目的とすることで、根本的なコスト削減を実現させます。
洗濯機の役割って、なんでしょう。洗濯物を洗うことですね。水を張って、洗濯物をぶっこんで、洗剤を投入して回す。洗いが終わったら濯ぎを行って、脱水。洗って濯ぐ機械だから洗濯機なわけです。洗濯機のない時代や、洗濯機が三種の神器などと言われる高級品だったころは、もちろん手洗い。盥と洗濯板での洗濯は、とっても手間がかかります。この手間を大幅に削減してくれるのが、洗濯機という次第です。
手間を削減するというからには、必ずデメリットも生じます。手洗いに比べ、洗濯機は水の使用量が非常に多いです。話によると、1回の洗濯で60リットルとか。手洗いなら、盥の中で洗濯物がくるくると回るほど水を張る必要などありませんから、どう考えても1回の洗濯で60リットルも使用しません。濯ぎに的を絞ってみても、手洗いなら1枚1枚をちゃちゃっと濯ぐだけですから、少なくて済みます。洗濯機の節約術として、「注水濯ぎよりもため濯ぎを」という常識がありますが、手洗いの濯ぎなら、遙かに水の節約になります。
洗濯に関する節約術として、「全自動VS二層式」だの、「風呂水を汲み上げるポンプを使用する」とかいった話を、テレビや雑誌がこぞって紹介しています。特に、気になるのはポンプ。水道代が月500円節約できるから、2,000円で購入しても4ヶ月で元が取れるなんて喜んでいる姿を見ると、笑うしかありません。節約のために新たな出費を生み出すことは、それ自体がナンセンスです。
さらに、洗剤というものを考えてみましょう。はたして洗剤というものが、すべての洗濯物に必要なのでしょうか。洗濯機で洗濯する際、洗濯物を色柄物と白い物で分けますが、それ以上の分け方はせず、当たり前のように洗剤を入れて洗ってしまいます。汗を吸った程度のシャツに、洗剤が必要なのでしょうか。洗濯機というメリットは、考えることを鈍らせるというデメリットも持ち合わせているのです。
かといって、洗濯機のない生活というのも困難です。何キロもの洗濯物を、一気に洗い上げる能力を持つ洗濯機も、リサイクルショップであれば2千円台で購入できてしまいます。洗濯機の、便利この上ない神器としての地位は不動でしょう。
貧乏人にとっては、洗濯物を分類することは重要です(分類するだけの衣類を持っていればの話ですが)。色柄物だとか、そういった洗濯機寄りの分類ではなく、洗濯機を使うか使わないかという、もっと根本に立ち返った分類。これこそ、洗濯機の稼働率を下げるための第一歩なのです。
暑い毎日、1日着た服は汗でだくだくになります。同じ服を2日続けて着る勇気は、なかなか起きないものです。これでは、いくら夏は薄着だといっても、洗濯機の稼働率は高まる一方。しかし、汗を吸った程度の服を、1回で洗濯機にかけてしまう必要があるでしょうか。
汗の汚れなんて、お風呂に入ったときに、お湯を桶に汲んでじゃぶじゃぶっと濯げば落ちてしまいます。お風呂に入った際に、着ていたシャツ、パンツ、靴下をじゃぶっと手洗いしてしまえば、洗濯物なんてたいしてたまりません。
不潔だと感じるかもしれませんが、夏は、太陽が味方してくれます。服に染み付いた汗の臭いは、細菌の繁殖が原因です。風呂で洗ってぎゅっと絞った洗濯物は、夜のうちは室内に干しておきます。朝、太陽が出たら、軒下にでも干しておきましょう。夏の強力な太陽が、十分に殺菌を行ってくれます。からっからに乾いた洗濯物からは、お日様の匂いがします。バスタオルだって、使ったあとに広げて干しておけば、1週間は使えます。ズボンなんかは、夏場でも何日も履けます。
ここまでになれば、洗濯機の稼働率を10日に1日、2回も回せば十分です。服のローテーションは、次のようにしてみてはいかがでしょうか。
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シャツ・下着
Aセット
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着る |
手洗 干す |
着る |
手洗 干す |
着る |
手洗 干す |
着る |
手洗 干す |
着る |
洗 濯 機 |
シャツ・下着
Bセット
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着る |
手洗 干す |
着る |
手洗 干す |
着る |
手洗 干す |
着る |
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シャツ・下着
Cセット
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予備(雨の日などを考慮) |
着る |
ズボン
A
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着る |
手洗い・干す |
着る |
洗濯機 |
ズボン
B
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手洗い・干す |
着る |
手洗い・干す |
着る |
このようにすれば、10日に1回、洗濯機を回せば済むことになります。タオルなどのことを考慮しても、一人暮らしならば2回の稼働で十分でしょう。次の10日間を過ごすのに、洗濯したその日に洗濯物が乾けば、シャツ・下着のセットは3つ用意すれば済みます。次のローテーションでは、Aを予備、BとCを交互に着ることにしましょう。1日で乾かない場合を考慮するならば、4セット用意すれば大丈夫。ズボンは、2セットあれば安心でしょう。
夏は、汗による臭いが気になる反面、太陽の殺菌力をフルに生かせる季節です。太陽の光は、無料なのです。
冬は、太陽の光も弱いし、厚手の服を着る関係から、洗濯物が乾きにくい季節です。しかし、発汗量からすれば、夏のように1日着たら洗濯という自体は避けられますから、洗濯機は10日に1回のペースを作ることは可能です。
洗濯物が乾きにくいことが気になるようでしたら、洗濯機の脱水だけを利用する手もあります。これも、3分も5分も回す必要はなく、15秒も使えば十分でしょう。家庭用洗濯機の脱水槽の回転数なんぞで、長時間脱水を行っても大した効果は得られません。
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シャツ・下着
Aセット
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着る |
手洗 干す |
着る |
手洗 干す |
着る |
洗 濯 機 |
シャツ・下着
Bセット
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着る |
手洗 干す |
着る |
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シャツ・下着
Cセット
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予備(雨の日などを考慮) |
着る |
ズボン
A
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着る |
手洗い・干す |
着る |
洗濯機 |
ズボン
B
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手洗い・干す |
着る |
手洗い・干す |
着る |
暖房されている部屋に長時間居ると、靴下なんかは2日着用するには辛い場合もあります。その場合には、靴下のローテーションは独自に作ることで、対応できるはずです。シャツやズボンなんかは、実際にはかなり長く着用できます。周りの目が気にならないのであれば、洗濯機の稼働率はさらに下げることができるでしょう。
冬は、発汗の少なさが洗濯機の稼働率を下げてくれます。
大昔、洗濯は川で行われていました。今に比べて水がきれいだったとはいえ、トイレも川だったのですから、なんとも言えませんね。これが、やがて井戸水になり、水道水に変わり、今では川で洗濯なんて信じられない時代です。洗剤だって、昔はなかったものですが、いつのまにか石鹸で洗うようになり、洗濯洗剤なんてのが登場します。手洗いの方が、痒いところに手の届く洗濯が行えますが、人類に第2の波の絶頂が訪れると、質より量の洗濯機が誕生します。
洗濯機が三種の神器と呼ばれた時代から幾年月。今では、洗濯機と洗剤を用いて洗濯することが当たり前になりました。抗菌だの、殺菌だのが持てはやされる過剰衛生の時代、洗濯を洗剤も使わず手洗いで済ませる行為が一般に受け入れられることはないでしょうし、べつに受け入れられる必要はありません。
ただ、我々貧乏人は、これらのまやかしに惑わされず、太陽の殺菌力という当たり前の事実を再確認する必要があります。洗剤を使って洗濯しても、生乾きのまま長時間ほおって置けば、細菌が繁殖して臭うようになるのです。なぜ洗剤が必要なのかを疑問としてとらえることは、洗濯機の稼働率を下げるきっかけとなるはずです。月に3日の洗濯機であれば、洗剤の使用量は激減するでしょう。手洗いの手間をかければ、洗濯機すらいらない生活だって可能です。昔はなかったのですから。
21世紀は環境問題が重要視される時代。時代の波は、環境に優しい洗剤や、水の使用量が少なくて済む洗濯機、電気使用量の少ない洗濯機を産むことになるでしょう。マスメディアは、これらの商品を「21世紀の生活スタイル」として取り上げることになるんでしょうね。そんなもの、スポンサー重視のお為ごかしにしか過ぎないということを、今からわかっておきましょう。
21世紀は環境問題が重要視される時代。環境に優しい生活を心がけているのは、我々貧乏人なのだと、胸を張って言える時代になることでしょう。
さあ、服を着たまま風呂場へ!