タイトル写真 耐乏Press Japan.
Jul.
2000

全日本貧乏協議会


CONTENTS JUL.2000
●特集

 洗濯機の稼働率を下げよ

●連載記事

  貧乏大全第1巻
  新・貧乏物語(5)
  貧乏彩時記(3)

  ※サンキファッション通信は休載いたします

 
●投稿記事

 貧評会
 貧者の知恵
 貧乏料理
 読者の声


●特集

今月の特集 洗濯機の稼働率を下げよ

●節約術氾濫の憂鬱

 バブル崩壊後の不況も、これが日本の当たり前の姿なんじゃないのって思うくらいに定着している今、生活に関わる節約術なんてものが各種メディアを横行しています。塵も積もれば山となるわけで、やれ「飲み終わった牛乳パックに水を入れてすすぎ、その水を植木にやると栄養剤がいらない」だの「ワイシャツは乾く直前にアイロン掛けすれば、時間は2分の1でスチームいらず」だとか「お風呂には午前中に水を張っておくと、常温で水が暖まるのでガス代が節約できる」といった情報が、テレビや雑誌で紹介されています。しっかし、この程度の節約術を、マスメディアが競って取り上げる状況というのは滑稽です。

 常識でしょ、そんなの。

 現在、節約術という名の下にもてはやされているこれらの行為ですけれど、かつては常識としてやっていたことだったはずですよ。親から子へ、子から孫へと受け継がれてきた生活文化としての常識が、高度経済成長期の消費は美徳とやらで、郊外のベッドタウンの隣町あたりにウサギ小屋のような建て売り住宅やマンションを買って、核家族化が進んだために線がぷっつりときれてしまった。そこを、これぞとばかりに節約だの倹約だのってんで取り上げるテレビや雑誌。まあ、言葉尻ひとつをいつまでもねちゃねちゃとえぐって視聴率稼ぎに勤しむ程度に成り下がったマスメディアですから、なんだろうと勝手にやらせておくにしても、我々貧乏人としては、出費を抑えるどころか、金を使わないという極限の節約を、日々、行う必要があるわけです。

 と、いうわけでございまして、今月の特集は洗濯に関する節約術です。洗濯に関する節約術というと、「風呂の残り湯」とか「洗剤は適量を」なんてのがすぐに思い浮かびますが、ここまで言っておきながら常識を並び立てて特集を組むわけがありません。タイトルの通り、洗濯機の稼働率を下げることを目的とすることで、根本的なコスト削減を実現させます。

●洗濯機のデメリット

 洗濯機の役割って、なんでしょう。洗濯物を洗うことですね。水を張って、洗濯物をぶっこんで、洗剤を投入して回す。洗いが終わったら濯ぎを行って、脱水。洗って濯ぐ機械だから洗濯機なわけです。洗濯機のない時代や、洗濯機が三種の神器などと言われる高級品だったころは、もちろん手洗い。盥と洗濯板での洗濯は、とっても手間がかかります。この手間を大幅に削減してくれるのが、洗濯機という次第です。

にそうしき 手間を削減するというからには、必ずデメリットも生じます。手洗いに比べ、洗濯機は水の使用量が非常に多いです。話によると、1回の洗濯で60リットルとか。手洗いなら、盥の中で洗濯物がくるくると回るほど水を張る必要などありませんから、どう考えても1回の洗濯で60リットルも使用しません。濯ぎに的を絞ってみても、手洗いなら1枚1枚をちゃちゃっと濯ぐだけですから、少なくて済みます。洗濯機の節約術として、「注水濯ぎよりもため濯ぎを」という常識がありますが、手洗いの濯ぎなら、遙かに水の節約になります。

 洗濯に関する節約術として、「全自動VS二層式」だの、「風呂水を汲み上げるポンプを使用する」とかいった話を、テレビや雑誌がこぞって紹介しています。特に、気になるのはポンプ。水道代が月500円節約できるから、2,000円で購入しても4ヶ月で元が取れるなんて喜んでいる姿を見ると、笑うしかありません。節約のために新たな出費を生み出すことは、それ自体がナンセンスです。

 さらに、洗剤というものを考えてみましょう。はたして洗剤というものが、すべての洗濯物に必要なのでしょうか。洗濯機で洗濯する際、洗濯物を色柄物と白い物で分けますが、それ以上の分け方はせず、当たり前のように洗剤を入れて洗ってしまいます。汗を吸った程度のシャツに、洗剤が必要なのでしょうか。洗濯機というメリットは、考えることを鈍らせるというデメリットも持ち合わせているのです。

 かといって、洗濯機のない生活というのも困難です。何キロもの洗濯物を、一気に洗い上げる能力を持つ洗濯機も、リサイクルショップであれば2千円台で購入できてしまいます。洗濯機の、便利この上ない神器としての地位は不動でしょう。

 貧乏人にとっては、洗濯物を分類することは重要です(分類するだけの衣類を持っていればの話ですが)。色柄物だとか、そういった洗濯機寄りの分類ではなく、洗濯機を使うか使わないかという、もっと根本に立ち返った分類。これこそ、洗濯機の稼働率を下げるための第一歩なのです。

●実践・毎日の洗濯「夏の陣」

 暑い毎日、1日着た服は汗でだくだくになります。同じ服を2日続けて着る勇気は、なかなか起きないものです。これでは、いくら夏は薄着だといっても、洗濯機の稼働率は高まる一方。しかし、汗を吸った程度の服を、1回で洗濯機にかけてしまう必要があるでしょうか。

 汗の汚れなんて、お風呂に入ったときに、お湯を桶に汲んでじゃぶじゃぶっと濯げば落ちてしまいます。お風呂に入った際に、着ていたシャツ、パンツ、靴下をじゃぶっと手洗いしてしまえば、洗濯物なんてたいしてたまりません。

 不潔だと感じるかもしれませんが、夏は、太陽が味方してくれます。服に染み付いた汗の臭いは、細菌の繁殖が原因です。風呂で洗ってぎゅっと絞った洗濯物は、夜のうちは室内に干しておきます。朝、太陽が出たら、軒下にでも干しておきましょう。夏の強力な太陽が、十分に殺菌を行ってくれます。からっからに乾いた洗濯物からは、お日様の匂いがします。バスタオルだって、使ったあとに広げて干しておけば、1週間は使えます。ズボンなんかは、夏場でも何日も履けます。

 ここまでになれば、洗濯機の稼働率を10日に1日、2回も回せば十分です。服のローテーションは、次のようにしてみてはいかがでしょうか。

  10
シャツ・下着
Aセット
着る 手洗
干す
着る 手洗
干す
着る 手洗
干す
着る 手洗
干す
着る

シャツ・下着
Bセット
  着る 手洗
干す
着る 手洗
干す
着る 手洗
干す
着る  
シャツ・下着
Cセット
予備(雨の日などを考慮) 着る
ズボン
着る 手洗い・干す 着る 洗濯機
ズボン
手洗い・干す 着る 手洗い・干す 着る

 このようにすれば、10日に1回、洗濯機を回せば済むことになります。タオルなどのことを考慮しても、一人暮らしならば2回の稼働で十分でしょう。次の10日間を過ごすのに、洗濯したその日に洗濯物が乾けば、シャツ・下着のセットは3つ用意すれば済みます。次のローテーションでは、Aを予備、BとCを交互に着ることにしましょう。1日で乾かない場合を考慮するならば、4セット用意すれば大丈夫。ズボンは、2セットあれば安心でしょう。

 夏は、汗による臭いが気になる反面、太陽の殺菌力をフルに生かせる季節です。太陽の光は、無料なのです。

●バケツ、大容量の魅力

臨界は起きません  入浴ついでに洗濯をする際、役に立つのがバケツ。その大容量は、着ている物をいっぺんにじゃぶじゃぶするのに十分な水量を得られます。手洗いで洗剤を使用したい場合にも適しているでしょう。

 洗濯機を使用する際も、風呂の残り湯を洗濯槽に移すにはバケツが便利。バケツで汲み、洗濯槽にじゃばーを数回繰り返すだけ。このくらいの手間を電気に頼るためだけに、2,000円も出してポンプを買うなんてのは、笑い話でしかありません。

●ジーパン洗い

 ジーパンは、洗濯機で洗濯すると、かさばります。もし、ジーパンを洗濯機に入れなければ、洗濯機の稼働回数を減らせるという状況も出てくることでしょう。

 いっそのことジーパンを洗濯機で洗うのはやめてしまいましょう。

 ジーパンは、穿いたまま洗えます。穿いたまま風呂場へ行き、穿いたままで濡らします。洗剤を振りかけ、そのまま束子でこすり洗い。これも、全体ではなく、膝などの汚れた部分をこすれば十分です。
 こすり終わったら、そのまま裏返しになるように脱いで、じゃぶじゃぶと濯いでしまえば済んでしまいます。

●応用・来るべき洗濯「冬の陣」

 冬は、太陽の光も弱いし、厚手の服を着る関係から、洗濯物が乾きにくい季節です。しかし、発汗量からすれば、夏のように1日着たら洗濯という自体は避けられますから、洗濯機は10日に1回のペースを作ることは可能です。

 洗濯物が乾きにくいことが気になるようでしたら、洗濯機の脱水だけを利用する手もあります。これも、3分も5分も回す必要はなく、15秒も使えば十分でしょう。家庭用洗濯機の脱水槽の回転数なんぞで、長時間脱水を行っても大した効果は得られません。

  10
シャツ・下着
Aセット
着る 手洗
干す
着る 手洗
干す
着る

シャツ・下着
Bセット
  着る 手洗
干す
着る  
シャツ・下着
Cセット
予備(雨の日などを考慮) 着る
ズボン
着る 手洗い・干す 着る 洗濯機
ズボン
手洗い・干す 着る 手洗い・干す 着る

 暖房されている部屋に長時間居ると、靴下なんかは2日着用するには辛い場合もあります。その場合には、靴下のローテーションは独自に作ることで、対応できるはずです。シャツやズボンなんかは、実際にはかなり長く着用できます。周りの目が気にならないのであれば、洗濯機の稼働率はさらに下げることができるでしょう。

 冬は、発汗の少なさが洗濯機の稼働率を下げてくれます。

●新しい時代の洗濯の選択

 大昔、洗濯は川で行われていました。今に比べて水がきれいだったとはいえ、トイレも川だったのですから、なんとも言えませんね。これが、やがて井戸水になり、水道水に変わり、今では川で洗濯なんて信じられない時代です。洗剤だって、昔はなかったものですが、いつのまにか石鹸で洗うようになり、洗濯洗剤なんてのが登場します。手洗いの方が、痒いところに手の届く洗濯が行えますが、人類に第2の波の絶頂が訪れると、質より量の洗濯機が誕生します。

干してます 洗濯機が三種の神器と呼ばれた時代から幾年月。今では、洗濯機と洗剤を用いて洗濯することが当たり前になりました。抗菌だの、殺菌だのが持てはやされる過剰衛生の時代、洗濯を洗剤も使わず手洗いで済ませる行為が一般に受け入れられることはないでしょうし、べつに受け入れられる必要はありません。

 ただ、我々貧乏人は、これらのまやかしに惑わされず、太陽の殺菌力という当たり前の事実を再確認する必要があります。洗剤を使って洗濯しても、生乾きのまま長時間ほおって置けば、細菌が繁殖して臭うようになるのです。なぜ洗剤が必要なのかを疑問としてとらえることは、洗濯機の稼働率を下げるきっかけとなるはずです。月に3日の洗濯機であれば、洗剤の使用量は激減するでしょう。手洗いの手間をかければ、洗濯機すらいらない生活だって可能です。昔はなかったのですから。

 21世紀は環境問題が重要視される時代。時代の波は、環境に優しい洗剤や、水の使用量が少なくて済む洗濯機、電気使用量の少ない洗濯機を産むことになるでしょう。マスメディアは、これらの商品を「21世紀の生活スタイル」として取り上げることになるんでしょうね。そんなもの、スポンサー重視のお為ごかしにしか過ぎないということを、今からわかっておきましょう。

 21世紀は環境問題が重要視される時代。環境に優しい生活を心がけているのは、我々貧乏人なのだと、胸を張って言える時代になることでしょう。

 さあ、服を着たまま風呂場へ!


●連載記事

新・貧乏物語

 いやはや、梅雨も明けまして、暑さの夏が全開にて押し寄せる毎日、皆様にあらせられましては夏バテなど大丈夫でしょうか。私が全日本貧乏協議会の会長を勝手に務めている川上卓也です。夏バテの真っ最中です。
 「会長ぉ〜」
 まあまあ、相も変わらぬこの声は、最近アルバイトをしたくないなどといって貯金を減らし続けているシゲ君ではありませんか。
 「それでも、まだ会長よりは貯金多いよ」
 ふん。貯金のない人間との相対関係においては、1円でも貯金があればそんな台詞も吐けるのですよ。
 「(ごにょごにょ……)」
 くっ、相変わらず癪にさわる迷彩服ですね。その調子だと、シゲ君には夏バテなんて言葉は無関係ですね。
 「おかあちゃんがちゃんとしたものを食わせてくれっからよ」
 それ、遠回しに私がちゃんとした物を食べていないって言ってますね。
 「それ以外のように聞こえたの」
 ……夏バテで力の出ないときにまで癪にさわりますね、君。まあ、今に始まったことではありませんし、仕方のないことですけれど。
 「会長も、寝てばかり居ないでさ、精の付く物を食べればいいんだよ」
 私だって、喰えるもんなら鰻なんぞを食してみたいですよ。でもねシゲ君。鰻屋なんてものには到底、行けませんし、スーパーで売られている鰻だって手が出せないのですよ。私には、鰻を捕ってくる能力は備わっていませんから、調達も不可能と来たものです。
 「おごり以外の方法で鰻を食べたかったら、買ってくる方が手っ取り早いものな」
 そうです。鰻を気軽に捕ってきて、背から裂こうか、腹から行こうかなんて考えながらさばいて串を刺して焼いてタレをつけてまた焼いてなんて、なかなかできるもんじゃありません。だから、あんなに高いんですよ、まったく。ああ、鰻が食べたくなってしまった。
 「スーパーで売られている鰻には、手間と技術に対する料金も含まれているんだな」
 そうやって、いつも本編の前に核心に触れるのは、わざとですね、君の場合。
 「え、もしかして今月は、商品の値段を分析した場合における……」
 わっ、わっ、さっさと本編に行きますから、黙ってなさい。

第2部 『時間という商品』
第2章 『世の商品の値段』

 世の中の商品には、値段がついています。
 「あたりまえじゃん」
 では、この値段というのは、どうやって決まるのでしょう。
 「材料費、人件費、利益」
コンビニ 素っ気なく答えるところがむかつきますね。では、まず最初に身近なところで、コンビニエンスストアについて、考えてみましょう。
 「世の中のゴミを寄せ集めた店舗経営」
 なんだか、辛辣ですね。いつから冷笑家の仲間入りをしたんです、シゲ君。まあ、いい。コンビニエンスストアの名前の由来ですが、convenienceは便利な場所、都合の良い場所という意味です。長時間、もしくは24時間営業しているスーパーマーケットってことになります。
 「英語、苦手なくせによく頑張ったね」
 私だって、辞書くらいは持っていますよ。コホン。コンビニは、商品を定価販売しています。どう考えたって、街のスーパーの方が安いのに、今や日本中、コンビニのない場所は無いってなくらいにコンビニが栄えています。
 「ダーツの旅には便利だどな」
 はい。定価販売なのに、利用者が多い。これは、コンビニが提供する長時間営業というサービスに対して、お金を払っているということになります。他の店が閉まっている時間でも、物が買える。つまり、営業時間をコストとして商品に上乗せしているわけです。
 「間違ってはいないよね」
 なんだか、棘のある言い方ですね。どうしたんですか、シゲ君。最近、ただの癪にさわる高校生だけでは飽き足らないのですか。
 「もう、3年生だしね。一歩前進しないと」
 その年でシニック路線に走るというのも、苦労が多いでしょうに。
 「根拠があれば、負けないでしょ」
 ……。さすが、原付で本州最西端を目指しているだけのことはありますね。話を戻しますよ。つぎに、飲食店。フランス料理なんて、私には無縁の分野を選んでみましょうか。
先割れスプーン 「先割れスプーンが出てくる店のことけ」
 話を逸らさないでください。フランス料理って、高いですよね。材料費、備品の値段、土地の価格など、料理に上乗せされているコストは色々ありますけれど、特に考えたいのが、ソースを作るのに費やす時間と、シェフの人件費ですね。
 「フランス料理って、どうしようもない素材をいかにソースで食わせるかってやつだからね」
 なかなか面白い乗りになってきましたね、シゲ君。たしかに、フレンチのソース作りは素人じゃなかなか難しいです。何と言っても、まともに作るには時間がかかりすぎます。
 「一日中、寸胴につき合うのも楽じゃないよね」
 そうですね。しかし、それよりもさらに考えたいのが、シェフの人件費です。
 「技術料ってやつかな」
 技術料と言っても差し支えは無いのかもしれませんけれど、それだけの料理を作れるようになるまでに、シェフが費やした時間。フランス料理で生活していくための修行ですから、修業時代のコストまで、今作っている料理に上乗せされてしまうのも、やむを得ない話だと思いますよ。
 「なるほど。じゃあ会長も、今の貧乏生活の代償を、将来にはぼったくる気で居るんだな」
 嫌な言い方をしますね、君。私のことは、そっとしておいてください。コホン。最後に、ディスカウントストアについて考えてみましょう。
 「ジェーソンはなぜ、緑のたぬきを69円で売れるのか」
 企業名まで出さなくてもいいですよ。まったく。ディスカウントストアの安さは、大量仕入れにあることは有名ですね。卸す側だって、一度に数がさばけるなら、しかも現金で買い取ってくれるとあっては、安く卸せるわけです。少量を、こつこつ売るよりも手間がかかりませんからね。
時は金なり 「そりゃ、そうだ」
 ここで言う手間というのは、人件費ですよね。人は時間を売っているわけですから、人件費というのは時間になるわけです。つまり、手間とは時間のことですね。
 「手間ってのは、労力と時間のことだからね。あ、労力ってのは、働きと時間のことだどな」
 そういうことです。つまり……
 「時間とは、商品である、か」
 美味しいところを持って行くんじゃありませんよ。相変わらず癪にさわりますね、君。

 時間というのは商品です。人は、労働という名の「時間の切り売り」で生計を立てます。世の中の商品には、時間に関するコストが含まれています。このコストは、製造にも、販売にも含まれるという、とても大きなコストです。
 「どこもオートメーション化したがるのは、人件費削減だもんな」
 はい。何百万円もする機械を導入してでも、時間というコストを削減した方が、長期的に見れば有利という考え方ですね。
 「これって、笑っちゃう話だよね」
 どうしてです。
 「時間っていうコストを削減するために導入した機械には、やっぱり時間のコストが含まれているわけでしょ。機械のメンテナンスだって、時間というコストを発生させっとな」
 君、学校で友達少ないでしょ。
 「馬鹿は相手にしないよ」
 ……。まあ、いい。世の中から、時間というコストを全廃させることができたなら、一億総失業時代が訪れてしまいます。時間を売る場所があるから、生計が成り立つのですよ。
 「どうせ売るなら、高く売りつけたいなあ」
 良いコメントですね。来月は、その話題に触れる予定なのですよ。
 「なるほど、そうすると……」
 わっわっ、シゲ君が余計なことを言わないうちに、今月はお開きにしましょう。

 では、会長は帰るぞ

第2章 完
文責:全日本貧乏協議会会長 川上卓也


貧乏彩時記  〜第3回:皆既月食に我、思う

7月16日 きのと い
月食  正直なところを告白するならば、皆既月食があると聞いたときには、あまり興味を持たなかった。ただ月が欠けて戻るだけの話ではないか。そう思ったのだ。かつては、人々の畏怖の存在であった月食も、現代の世の中では理屈がわかってしまっている。小学校で習う程度の話ではないか。そう思ったのだ。
 しかしながら、タダで酒が呑めるのではなかろうかという目論見があり、花より団子ならぬ『月よりワイン』とばかりに、月食を観るために集まっている仲間の元へと足を運んだ。到着するなり、疲れもあったのだけれど、風が気持ちよく、ワインの酔いも手伝って、寝椅子に横たわりながらうとうととしてしまった。意識が戻ったのは、「月が出た」という仲間の声を耳にしたとき。小一時間ほどは眠ってしまったらしい。
 実際に、満月などというものを目の当たりにしてしまうと、ぐっと見入ってしまう。そういう魅力が、満月からぽわっとながらも確実に発せられているのを、心が感じてしまったらしい。まもなく月食が始まるという頃になると、ワインのことなどすっかり忘れていた。天気予報では雨が降るはずだったらしいけれど、天空の祭典を目前に、雲はどんどん薄れていく。いよいよ、月が欠けた。
 こんなに静かに、月を眺めるのも久しぶりならば、皆既月食を正面から堂々と観てやるということになると、初めてだった。ゆっくりと欠ける月。欠けた部分も、ほんのりと赤く残っているのが確認できる。やがて、月の表面は地球にのまれるのだけれど、赤くひそやかな月の球形が弱くも存在感を持続させている。古代人にとって畏怖の存在であった月食。理屈などいうものは、無粋なだけである。
 CHIANTI CLASSICOをもっと呑んでおけばよかったと後悔したのは、帰り道でのこと。月は戻りつつあった。


●投稿記事

貧評会

スープ
今でも貧乏だけど、もっと貧乏だったとき。

友達とコンビニに弁当をもらいに行っても相手にされず、ごみ箱をあさってもなかったので、家でソースとめんつゆを薄めて飲んだ。

おいしかった。

投稿:ドラマー


貧者の知恵

花も恥じらう時期

私が学生だった頃の寒さのしのぎかた。

暖房費など払えないので、なるべくたくさん着込み、誰かが泊りにくる時用の、臭い寝袋を胸のあたりまで着、料理用の安いワインを飲みながら勉強しました。あまり頭に入りませんでした。

ちなみに私は女の子です。

ひーとん


貧乏料理

西瓜を喰らわば皮まで
今回ご紹介の料理は私のお気に入りで、一度はまると病みつきになってしまいます。
題して!(別に題さなくてもよいですが・・)「西瓜の浅漬け」です。
  1. 西瓜を赤い部分を少々残し食べる。
  2. 食べ終わった西瓜の外の皮を剥き、一口大に切り分ける。
  3. お好みの量塩を振りかけ、ビニール袋又は浅漬け用の漬け物作製器に入れる。
  4. 一晩寝かせて、翌日醤油をかけて食す。
この漬け物美味しいですが、使用できる西瓜が自分の食した物又は家族の物等、自分が許容できる範囲の方が食したものに限定されるという難点があります。お客様には、スプーンで食して頂くのが宜しいでしょう(笑)

追伸
 同じく、メロンを代用することも可能です。頂き物で西瓜やメロンが入手できたらお試しください。

投稿:終日のたり


読者の声

いまは、そんなこともなくなりましたが、かつて、財布の小銭が10円足りずに、自販機の飲料水が買えない・・なんて日々でした。
あったとしても、5円玉2枚じゃ使えない。あぁぁ割れてる、なんて。

投稿:gucchi

自動販売機って、おそらくは製造コストの問題から、1円と5円は使えないようにしているのでしょうけれど、消費税によってこれら硬貨が氾濫しているわけですから、なんとか考え直してもらいたいですね。

もし、自販機で1円や5円硬貨を使えるようになれば、消費税の税率が変わる度に、10円単位で値上げされる根拠がなくなります。……そう考えると、自販機で1円・5円硬貨が使用可能になることって、なさそうですね。

自販機なんて、ずっとご無沙汰な編集者

 本日は七夕なり。

 先日、スーパーに飾ってあった七夕飾りを何気なく見ていた。その短冊の中にひとつ、子供のたどたどしい字で

「な ん で も い い か ら ほ し い 。」
の一言。

 ・・・これは、単に欲張りな子供なのか、それとも、七夕とクリスマスをなにか勘違いしているのか、はたまた何か深い事情があって、純粋に何かを欲しているのか。。。。私には今だにわからないが、とりあえず今日は七夕である。

投稿:節約倶楽部 うさちん

検証してみましょう。まず、クリスマス勘違い説ですが、日本人の多くがクリスマス自体を勘違いしていますから、どうってことありません。つづいて、単に欲張りな子供であるならば、短冊にぎっしりと欲しい物を羅列するでしょう。例として、編集者の子供時代があげられます。よって、編集者の希望としては、深い事情説を強く推します。

「なんでもいいから」と「ほしい」の間には、子供ながらに人目を阻んで記すことのできなかった「何か」がある……。ぽっかぽかのネタになりそうな話ですね。

645でもいいから欲しい編集者


●編集後記/次号のお知らせ

編集後記

■暑い日が続いております。おごりで呑むビールの旨さが、なんとも言えない季節です。■ビールといえば、枝豆。水洗いして塩を擦り込み、茹でたら冷ます。これだけで、ビールにとっては無二の親友。■アルバイト先では、生ビールがよく売れています。人のために、自分ではちょっと手のでない生ビールを注ぐというのは、なかなかに苦痛な作業です。間違っても、居酒屋でアルバイトはできそうにありません。■そう考えると、早くビールの似合わない季節が来た方が、精神の安定にはよろしいのかもしれません。(か)
次号のお知らせ
耐乏Press Japan. 2000年8月号 8月中旬発刊予定
1周年記念特大号
●特集

 テレビジョンの時代は終わった

●連載記事

 サンキファッション通信(6)
 新・貧乏物語(6)
 貧乏彩時記(4)

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●投稿記事

耐乏PressJapan.では、皆様からの投稿をお待ちしております。詳しくはトップページをご覧ください。



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