とある貧乏人の生活を覗いてみましょう。底辺にいる者の幸せのかたち。
8月△日
町民劇団の公演を2回観た。チケットは昼・夜の2回共通券が200円なのだが、人に買って貰った。
1回の公演が1時間ちょっとだから、合計すると2時間以上もエアコンのある部屋に居られたことになる。幸せな時間だった。
夜は、なじみの喫茶店でコーヒーを飲む。喫茶店というと貧乏らしくないが、500円でコーヒー飲み放題だし、お店の人とも仲良くなれたので、長時間居ても恐くない。
それに、トイレも水洗だ。
良く顔を合わせるお客さんからビールをご馳走になった。これならコーヒー代も安いものだ。
ファミレスだと、ひとりで行きにくいし、小心者の僕には長時間ねばることも出来ない。それに、ビールをおごってもらえることもないだろう。
8月□日
知り合いが給料日なので、お昼は中華料理をご馳走して貰う。
陳健一に教わったという料理人がやっている中華料理店だという話だが、僕にとっては外食+タダというだけで十分においしい。
餃子は肉汁がたっぷり。麻婆豆腐はぴりっと辛いなかにも深い味わい。中華丼もうまみが詰まっているし、チャーハンはぱらっとしている。ビールまで飲ませて貰った。
贅沢といえばラーメン 350円+玉子チャーハン 350円しか知らない僕にとって、夢のような時間を過ごさせてもらえた。
8月◇日
知り合い夫婦から、夕飯におよばれ。
同居人とふたりで、980円のウイスキーを土産に夫婦宅へ。
発泡酒、ワイン、ウイスキーで心ゆくまで酔い、おいしい食事に舌鼓を打つ。とくに、リバロというウォッシュタイプチーズが絶品だった。銀座まで買い物に行ったというから、お金持ちだ。
酔っぱらったので、一晩泊めてもらう。久しぶりのシャワーに感動してしまった。こういう便利なアパートに住めたらどんなに幸せだろう。
もちろん、トイレも水洗だ。
翌朝は、朝食付き。これなら、毎日呼ばれたい。
8月×日
鬼怒川が増水し、井戸水が濁っている。
鬼怒川の水位に連動して水が濁るのはいつものことだが、今回は臭いもついている。家の水が飲めない。
中州にテントを張った初心者キャンパーが流されるなど、大雨による被害が数多く報告されているが、身近な水害がここにあるのだ。
夕飯は、弁当屋でのりミックス弁当。心が揺れ動き、ポテトサラダも追加。水が飲めないのでミニペットボトルのお茶も購入。
合計651円という、辛い出費となった。
8月○日
依然、井戸水が濁っている。ちゃんとした水道の付いたアパートが羨ましい。
午前中、知り合いの事務所を訪ね、ペットボトル2本分の水(合計4リットル)を汲ませて貰う。快く水を汲ませてくれるなんて、お金持ちだと感じた。ペットボトルも、事務所に転がっていたのを貰った。
夕飯は、貰った水道水で茹でたそうめん。流水で十分に冷やすことが出来ないため、生温いそうめんとなる。もちろん、おいしくない。
8月▲日
恵比寿ガーデンプレイス内の東京写真美術館へ写真展を観に行く。
六本木、霞ヶ関、銀座など、おおよそ僕とは縁のない街を車で走っていると、惨めな気分になるのはどうしてか。慳貪さを感じるから?
東京写真美術館のトイレが凄かった。水の制御が全自動で、紙を棄てる度に水が流れるという贅沢な設計に、水洗トイレファンの僕ですら怒りを感じた。
しかも、最後に紙を棄てて立ち上がったら今度は流れない。手動では水が流せない。確かに僕はお登りさんだが、そんな僕をどこまで苦しめれば気が済むのだ東京よ…。
この日は5,400円も使ってしまう。高い勉強代になった。麦酒記念館で生ビールを飲んだのが敗因か!?
8月■日
僕のアパートの水道水は井戸水だ。
この井戸水、いろいろな不純物を含んでいるのでお風呂はいつもじゃりじゃり。恐いので、台所の蛇口に 100円のフィルタをつけてみた。
1日使っただけで、茶色くなって水通りが悪くなり、水圧で落ちた。