おぞよもん暮らし
 女子のお財布が大なり小なりゆるくなるのは、おしゃれに関することだと思う。服なり髪なり化粧品なり。女子というのは、まあ何しかそれなりにお金がかかる生き物である。しかし、おしゃれにお金がかけられるのが、女子ならではの楽しみであり、いくつになっても乙女心は持っておきたいものだ。私も一応女子なので、非常に限られた予算なのだが、自分なりにおしゃれをしたいし、人前に出ずっぱりの仕事柄、身だしなみはエチケットの1つでもある。

 化粧品というは本当に様々あり、あまりの種類の多さにクラクラする。初めてOLになった10数年前は、職場のお姉様方からメイクのアドバイスを受けて、自分に合う化粧品を求めて放浪していた。石鹸・化粧水・乳液や美容液・メイク用品と単体ではそんなにお高くないものを選んでいても、揃えるとそれなりの値段になったりする。
 仕事だけに専念していたOLの頃は貧乏暮らしをしつつも、お給料のうち自分へのお小遣い枠で、気になる化粧品を買うのが楽しみの一つだった。またストレスに伴う肌荒れから、少しお値段のはる無添加の化粧品を使うていたこともあった。
 しかし、転職して仕事と学生生活との二足のわらじを履き始めたら、たちまちお小遣いなんぞは言うていられなくなった。「欲しがりません、(国家試験に)合格するまでは」がその時代の私のテーマ。節約をする上で真っ先にメスを入れたのは化粧品だ。どんどんアイテムを削っていき、再び仕事一本になった今も限られたものだけで肌の手入れをしている。

 人にはもともと修復・治癒能力があり、心身ともに健康状態を保てていれば、こちらが何か与えなくても、自身の肌細胞が必要なものを分泌してくれるらしい。最高の無添加なわけで、この考えは貧乏人にとっては強い味方である。過保護な化粧品が肌の潜在能力を奪っているのなら与えなければいい。が、すっぴんでは心もとないし、人の目も考慮して最低限はしておきたいもの。なので、私の化粧品は以下のとおりだ。

 まず白色ワセリン。単純に純度の高い油で、肌をラップで包むような働きをする。風呂上がりに小指の爪の先程度のワセリンを体温で溶かして、手の平いっぱいにのばして、その手で顔をおさえる。これだけで夜のお手入れは終了。朝は夜に比べ、もっと少なめのワセリンを顔になじませて、その上からメイクをする。

 メイクといっても、塗るのは眉墨・アイシャドウ(眉墨と兼用)・おしろい・頬紅である。眉墨は明るい茶色と濃い茶色の2色が小さなパレットに入っていて、100円均一で売られている。眉を書いたら、明るい茶色を睫毛の根本に入れて、ちょっと目を大きく見せる。眉墨の買い替えは年に1〜2回程度。
 おしろいは1袋78円のコーンスターチを使う。適量を手の甲に乗せて延ばした後に、指の腹で頬に軽くトントンとなじませると肌が1トーン明るくなるし、化粧前に塗っていたワセリンともよくなじむ。頬紅はコーンスターチに紅麹色素の液体を混ぜて乾燥させたもので、1年に2〜3回くらい作っている。おしろいをした上から少量を頬骨あたりにふんわりなじませると、自然と口角と乙女心が上がってきたりする。最近、ドラッグストアで見た流行りの頬紅はオレンジの色味で、今の手作り頬紅に梔子の色素を入れれば再現できるかと模索中だ。
 最後に唇にワセリンを塗れば、化粧は終わり。時々、春に出る桜桃色の口紅に憧れるので、色つきリップを塗ることもある。ワセリンの上からリップを塗り、最後にグロス代わりのワセリンを乗せれば、ぷるんとした唇の完成。ワセリンが多すぎると油ものをたくさん食べた人の唇になるので要注意だが。

 人から言わせれば化粧とも言えない化粧だが、するとしないではやっぱり違う。朝起きて顔を洗い、窓を開けたら畳の上でちんまりと座って、小さな鏡を見ながら顔を彩っていく。そうすることで、その日一日のエンジンを自然とかけているような気がする。ささやかなこだわりが私を私らしくして、自己満足だがちょっとうれしくなるのである。風も色づいて見えるこの季節、顔もほんのり桜色に彩って外に出てみよう。

化粧品 〜おまけ〜
現在使うている化粧セットと値段。

ワセリン:348円(1本のチューブを使い切るのに1年と少しかかりました。顔の他に、身体や髪、火傷や褥瘡のケアにも使います。靴や鞄のワックス代わりに使うことも。)

眉墨:105円

コーンスターチ:78円(これを使いきるには2年はかかると思います) 紅麹色素:420円(この中でいちばん高いです。頬紅作り用なので買うのは1年に1度くらい。寒天の着色に使う食紅でもいいんですが、色は紅麹のほうが好みなのです。)

ウォーターリップ:320円(色が気に入って、ドラッグストアで衝動買いしました。) 化粧ブラシやタッパーなど:各105円(眉書いたり、頬紅をぼかしたり)

筆者紹介:今井うさ
1979年生まれ。衣笠山のふもとで過ごした学生時代から、始末の精神と清貧生活にめざめる。
現在も京都のかたすみで、下駄をつっかけ、自転車をのりまわしながら、つつましく生息中。

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今井うさ おぞよもん暮らし 耐乏PressJapan.
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