おぞよもん暮らし
友人が4月から一人暮らしを始めた。悩み事といえば、ワンルームの寮で収納が狭いこと。そこで実家をトランクルーム代わりにし、かさばる冬物などは季節の変わり目に送ってもらうことにしたという。私は親元を離れて以来、衣替えをしたことがない。ふと思いついて、自分の衣類を数えてみた。Tシャツ6、長袖Tシャツ3、厚手と薄手のパーカー・春秋用コート・防寒用ウィンドブレーカーが1つずつ、ジーパン2本、半パン2本。スーツと喪服が1つずつと、下着類。あと、阪神タイガースの黄色ジャージが1つ。

今みたいに暑くなれば、Tシャツだけ、寒くなればその下に長袖Tシャツを着て、もっと寒くなればパーカーやウィンドブレーカーを羽織る。職場では制服なので、私服を着る時間は職場までの往復20分と家にいる時だけだ。休みで出かけるとしてもドレスコードが必要なところとは縁がないので、これで事足りている。もっと少なくできないものかと思っているが、どれもヘビーローテーションしており今のところ、これ以上減らせない。

最近、私の周りの一人暮らし事情を見てみると、裸一貫からのスタートは少なくなった。電化製品もあらかじめ揃い、実家の後ろ盾ありきなパターンが多い。まぁ、それはそれで恵まれているような気がするけれど、何もないところからスタートするのもまた一興だと思う。例えば、炊飯器。米は鍋ひとつあれば十分炊ける。最初は鍋で炊いてみて、何度も失敗しコツをつかんだ上で、それでもやっぱり自分の生活には炊飯器が入り用なら購入すればいい。その他の電化製品や日用品にしても然り。最初からあるとそれが当然になってしまう。アパートだって最初からトイレや風呂があったりすると、ありがたみが薄れてしまうので、若くて身体が元気なうちは鍵がかかり、そこそこ崩れない程度の格安物件でちょうどいいような気がしている。

私はというと、この10数年のうちに入り用になるものが少しずつ増えた。4畳半の部屋、パソコン、冷蔵庫、フライパンは昔からあった。それから、台所、トイレと風呂が順に追加され、鍋が2つ、まな板も増えた。4年前くらいにレンジをもらった。ご飯炊きで1口のIHヒーターがふさがっていても、おかずをもう1品作れるようになった。最近では掃除機、炊飯器をもらった。仕事や学業に追われる時間が増えるにつれて、追加されていった感じだ。洗濯機はいまだに持ってなくて、たらいでゴシゴシしているが、例えば家族に介護が必要になったら洗濯物もえらいことになるし、必要になるかもしれない。でも、その時はその時で考えればいい。

物はあるが、時々私は昔の生活と同じようにしてみる。お茶を作ったときは茶殻をしぼって畳にばらまいて箒で掃いたり。この箒は棕櫚で出来ていて、買うてから10年たつのだが、いまだに現役。お腹をこわしたときは、鍋でコトコトおかいさんを炊いたり。その時々に合わせて、方法を選べるのも幸せの一つかもしれない。

今のご時世、いつ何が起こるかわからない。リストラされるかもしれないし、身体をくずすかもしれないし、地震で何もかもがなくなるかもしれない。大切な人だって、いつまでもいてくれるとは限らない。だからこそ、自分が守りたい小さな暮らしを日々コツコツ積み上げていきたいなと思う。万が一、全部をなくしてしまったとしてもその積み上げが、きっとまた生きるきっかけになると信じているから。

筆者紹介:今井うさ
1979年生まれ。衣笠山のふもとで過ごした学生時代から、始末の精神と清貧生活にめざめる。
現在も京都のかたすみで、下駄をつっかけ、自転車をのりまわしながら、つつましく生息中。

ホームへ戻る このコンテンツのホームへ このページのトップへ
---
今井うさ おぞよもん暮らし 耐乏PressJapan.
発行:全日本貧乏協議会
COPYRIGHT © Takuya Kawakami. ALL RIGHTS RESERVED.
掲載されている写真・文章等の無断転載は硬くお断り致します
takuya.kawakami@gmail.com