ようかんのちょっとひとくち
 はねもんが好きである。はねもんとは、食べ物の端っこや、きっちりとした商品にするために「はねた」部分のことをいう。多少、形がわるくても味が変わるわけやなし、むしろ味がつまっているようで私はかなり重宝している。

 例えば、野菜の皮やしっぽ、根菜の葉っぱ、お湯葉の端、かつぶしの端っこ、またはしなびる直前の底値野菜、パンの耳、お煎餅の割れたん。これらをどんな風に料るか、日々の生活の楽しみにするかに、人の豊かさが表れるような気がしている。私のおすすめは、湯葉の端と干し椎茸、あるいは菜っ葉の炊いたんや、野菜のしっぽの即席づけ、皮のきんぴら。材料は安くても新鮮なうちに使い切るので、味はなかなかのものと自負している。周りからは、もっとええもん食べえなとか、しみったれてるなどと言われることもある。そのときは、そうですなぁとふんわり笑ってごまかすが、心の中では、うちにとってはこれが一番おいしいのんえと思って、ひそかに満足していたりする。

 ただ、年がら年中、はねもんばかりでは胃袋が飽きてしまうので、そんなときはちょっと気張って良い材料にしてみる。これからの寒い時期においしくなる聖護院かぶら。錦(市場)でええのを仕入れたら、よく洗って、皮をわざと厚くむく。身は葉っぱと一緒に炊いたり、柚子の皮をちらしたあんをかけていただく。厚くむいた皮は、塩こぶと一緒に即席漬けにして、熱い京番茶でお茶漬けにする。京の底冷えの冬、これを食べると身も心もぬくくなって、胃袋も喜ばはるのだ。

 根が貧乏性でスケールの小さい人間のせいか、「はねる」とか「端」などを聞くと、それだけでなぜか共感してしまう。そんな私の幼い頃のお供はちびた鉛筆。鉛筆差しに入れ、長くして使った。
 それでもたくさん書くせいか、私の鉛筆差しは中指があたる部分だけメッキがとれて変色していた。
 今はほとんどパソコンを使い、筆記用具はどこからかせしめたボールペン1本をさらしに巻いているので、ちびた鉛筆もない。だが、今も変わらず、はねもんが好きで、見つけたときは、その日一日がうまくゆきそうな気がするのだ。

筆者紹介:今井うさ
1979年生まれ。衣笠山のふもとで過ごした学生時代から、始末の精神と清貧生活にめざめる。
現在も京都のかたすみで、下駄をつっかけ、自転車をのりまわしながら、つつましく生息中。

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