貧乏大全 第二巻
貧乏大辞典第二版
全日本貧乏協議会
や行

 
やえい【野営】
ビニルシートなどにくるまり、野外で一夜を明かすこと。
やかん【薬缶】
お湯を沸かすのであれば、鍋の方が汎用性があるために新規に購入するとなれば後手に回りがちであるが、熱効率の良さはストーブや火鉢での使用に適しており、お湯を注ぐという点においても使い勝手が良く、夏の夜に薬缶から直接飲む水の旨さも格別であることから、なんとしても手に入れておきたい道具だと言える。
やきあみ【焼き網】
野菜や、時には魚などを七輪で焼くときに用いられる網。
やきにく【焼き肉】
肉、できれば牛肉を炭火であぶり焼きにすること、または焼いた肉。貴重な食材である肉は、焼くよりも煮た方が栄養を余すことなく煮汁やスープに閉じこめられるし、胃にも優しいことから、体調と財布の状況がすこぶる良いときの贅沢と考えたい。
やく【焼く】
食材を火で直接・間接に加熱すること。フライパンや鉄板、焼き網などを用いたり、焚き火や炭火のそばでじっくり炙ったり、時には火の中へ直接放り込んだりする。秋刀魚などは、炭火で焼くことで、加熱と同時にスモークの効果もあるため、まことに旨い。おそらく、人類が火を手にしてから最初に用いた調理法であろう。栄養や旨味が燃えてしまうこともあり、貧乏人にとっては贅沢な調理方法とも言える。
やくしょ【役所】
能率とは無縁の世界。民間企業の反面教師。督促状の送り主のひとつ。
やくぶそく【役不足】
割り当てられた役目が軽すぎて、能力を十分に発揮する必要が無く不満なこと。「ビール一本じゃあ私には−と言うものですよ。もっと奢りなさい、中里君」
やすい【安い】
底値ではないけれど、買っても良いかなと思わせるような価格。「旬の野菜は−からといっても、こうも毎日続くと肉が喰いたくなるものだ」
やすかろうわるかろう【安かろう悪かろう】
百円ショップの商品なんて、結局は使い捨てに近いところからもわかるように、価格は安いが品質も最悪ということ。
やすっぽい【安っぽい】
世の中の評判通りの品質には感じられない。「こんなアクリル製の−財布が二万八千円もするなんて、僕には信じられない」
やせる【痩せる】
貧乏生活による食生活の変化により、俗世で体についた余分な脂肪が消費されて正常な体重に至ること。
やそう【野草】
自然界に勝手に生えている、喰える草。
やちぐさ【八千草】
草むしりを怠った庭を見て言い放つ一言。
やつ【奴】
二本の触覚を生やし、しゃかしゃかと部屋中を徘徊する、決して人に媚びることのない扁平の虫。隙間の多い家に暮らしている場合、ホウ酸団子は必須である。
やぼう【野望】
今の自分と夢とを結ぶ一本道に数多く設けられた関所。
やらせ
現在のテレビジョン番組作成における基本で、ちょっとした演出と呼ばれている。
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ゆいごん【遺言】
死んだ後のことまで自分の思い通りにしようという試み。「祖父の−により、世界一の金持ち犬・カメが誕生した」
ゆうが【優雅】
貧乏の反対語ではないし、金持ちの同義語でもない。
ゆうきゅう【有休】
有給休暇の略として使われることが多い。会社員に与えられる、仕事を休んでもその分の給料が貰えるというささやかな特典。
ゆうきゅうしせつ【遊休施設】
各地方自治体によって全国各地に建設された各種施設の総称。
ゆうしきしゃ【有識者】
専門に関する知識が深いだけで終わるような了見の狭い者とは違い、他の分野についてもある程度の知識を有し、それらを関連づけさせていくことで物事の大局を見られ、指導のできる人。
ゆうじゅうふだん【優柔不断】
自分の進みたい道と、現状への未練との間で揺れ動き、どっちつかずになる人。
ゆうたい【優待】
消費者に、自分は特別だという錯覚を起こさせ、お得感を擦り込むことより利益を得る方法。
ゆうびんはいたつ【郵便配達】
各種公共料金の振込伝票や督促状、最終催告書などの見たくもない書類をわざわざ届けてくれるサービス。現金書留などの嬉しい届け物もするらしいが、今のところは無縁でいるので事実関係は明らかではない。
ゆうゆうじてき【悠々自適】
自分の過去の業績により、現在を働かずして生きていける生活。「−の印税生活」
ゆうりょう【有料】
できる限り利用したくない、お金を取られるサービス。「京都を抜けるとき、夜だったので看板に気がつかずに迷い込んだ場所は、琵琶湖を渡る−道路の料金所だった。Uターンもできそうになかったから、泣く泣く百円払ったよ」
ゆうれい【幽霊】
死者の霊が現れたものとされている。もちろん、唯物論者には見えないはずである。
ゆうわく【誘惑】
相手が最も満たしたがっている欲望に対しての、金さえ出せば満たしてあげられるというプレゼンテーションの一種。
ゆきがっせん【雪合戦】
主に昭和三十年代後半〜四十年代前半生まれの人々が行う、相手の話を聞きもせずに続けられる不毛な会話の婉曲表現。
ゆたか【豊か】
物質的な満足などでは得られようはずもない、生活のどんな場面にもはりを感じられる充実した心の状態。「財産と−さは必ずしも比例しないのだよ、シゲ君」
ゆでる【茹でる】
野菜や生地を沸騰した湯で加熱する調理方法。真夏に冷たく冷やした手打ちうどんなどというのはまことに嬉しいが、麺打ちと、湯を沸かす段階で大量の発汗を生じるため、店で人が茹でた冷たい麺を喰えるというのは金を取られるだけの理由があるのだなあと感じたりする。
ゆとり
生活を支えるための労働のほかにも、自分の生きる意味を謳歌できる自由な時間、体力、精神力があること。
ゆとりきょういく【ゆとり教育】
学校の教師に浪費のための時間を与え、子供には学習塾へ通う時間を与えるために、授業内容の簡略化、時短を目指すこと。
ゆにょうかん【輸尿管】
腎臓から膀胱に尿を送る管。直径は一ミリメートルほどで、そんな狭いところを直径二ミリメートルの腎臓結石が下りてくる痛みは想像を絶する。石による暴行だ。
ゆびき【湯引き】
冷凍焼けした肉の臭みをとる方法のひとつ。さっと湯をかける、もしくはさっと湯をくぐらせる。
ゆめ【夢】
全てをかけてでも叶えるべき自分の存在意義であるが、多くの人々が心に閉じこめたまま棺桶まで持っていってしまうもの。
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よいごしのぜにはもたない【宵越しの銭は持たない】
ただし、札は宵越しすること。明日の生活を考えた、節度のある泥酔を。
よいどれ【酔いどれ】
体の隅々まで行き渡ったアルコールによって身体の制御能力が失調し、思考の崩壊を招き、まともな事を言う素面の人間を迷惑だと考えつつ、その素面に迷惑をかけたりもしているらしい状態。
ようきゅう【要求】
動機と目的。
ようちく【養畜】
家畜を飼うこと。「アルバイトを−する」「我が社もこの不況下ではリストラしなけりゃならんな。君、−するに値しない社員を千人ほどリストアップしてくれたまえ」
ようとうくにく【羊頭狗肉】
羊の脳味噌料理の後は、赤犬料理。
ようふくのタグ【洋服のタグ】
洋服に縫いつけられた、どこの製品であるかとか、素材は何であるかなどの情報を示す認識票。買ってきたらすぐに切り取ってしまうと、アクリル製の安物であることが判りにくくなる。
ようりょう【容量】
入れ物などの中に入れられる分量。これを気にする人間ほど、ゴミを大量に抱え込む傾向にある。
よきん【預金】
泥棒に入られる可能性よりも、銀行などの金融機関が破綻する可能性の方が少ないとの判断で、それらにお金を預けること。
よく【欲】
貧乏人にとっては生きるために必要な物を欲することであるが、これをダラダラと満たせる状態にある者にとっては浪費の引き金でしかない。
よくあつ【抑圧】
たとえば、絶望の空腹を抱えたときであっても街のネオンが放つ誘惑に屈することなく財布の平和を守り抜くといったような感じ。
よくじょう【欲情】
丁寧に折り畳まれた霜降り牛肉の艶やかさや、グラスの中で氷と共に揺れ誘う琥珀色の酒を目の当たりにしたときに強烈に沸き起こる、自分の物にしたい、喰ってしまいたいと思う抑えがたい感情。
よくばる【欲張る】
卵の掴み取りで、制限時間がないのを良いことに片手で七個ほど掴もうとすること。
よくぼう【欲望】
目標のより強い表現。
よっきゅうふまん【欲求不満】
両手に物を抱えた状態で、手がもう一本欲しいという願いが叶わないこと。
よさん【予算】
あらかじめ必要と思われる費用を見積もること。見積もられた費用が財布の中身以上である場合、好景気であれば気軽に借金し、不景気であれば、藁をもすがる思いで借金する。
よにげ【夜逃げ】
人生はやり直せると信じて疑わないマイナス生活者が、間違った方向でやり直そうとした結果。
よらばたいじゅのかげ【寄らば大樹の陰】
雷が落ちなければよいが。
よろこび【喜び】
自分の能力によって育てた(=創った)ものを収穫(=換金)したときに得られる、努力の報われたことに対する自分自身への心からのよくやったコール。「奢ってもらうというのは、日頃の根回しや巧みな話術、相手の話にうなずく際の表情ひとつとっても難しい物なのだ。それが実ったときに−・ばずして何を−・べるというのだ」
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