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し【死】これが訪れることになる要因はともかくとして、これが訪れた人間の、それ以降の評価は完全に他人にゆだねられることとなる。死んだことがない以上、詳しいことはわからないけれど、食うことも、糞をすることも必要としない、ということだけはわかっている。しあわせ【幸せ】生きていることを実感している状態、すなわち空腹の状態を、食物によって満たしてもらった際の状態。ジーパン三百円。しえん【支援】口先だけでなく、実のあるバックアップ。しおづけ【塩漬け】肉や魚の水分を排出させ、長期保存するための方法。食品の腐敗とは、食品内部の水分の腐敗であり、この水分を排出すれば腐りにくくなる。しき【四季】春には山菜やたけのこ、夏には青菜、秋には木の実やキノコ、冬には根菜というように、貧乏人が、限りある資金を駆使して安いものだけを食って暮らす際に、飽きが来ないようにしてくれる季節の移り変わり。しきべつ【識別】相手の発言内容により、自分の中での扱いを決めること。ただし、無用と判断した場合であっても、その相手が持っている鑑札(=名刺)によっては、利用できる可能性に応じて再分類が必要となる。じきゅうじそく【自給自足】貧乏人が老後にあるべき自分の姿として憧れる、庭の動植物を喰ったり、それを他の物と交換したりと、生産と消費のバランスがプラスマイナスゼロという気持ちの良い暮らし。この言葉から豊かさや暖かさを連想できない為政者が多い現在の日本では、自給率は金儲けの犠牲になっている。しきり【仕切り】同居人との間で暗黙のうちに定めた、アパート内での個人スペースを区切るための本棚などの総称。しくはっく【四苦八苦】病気・空腹・徹夜・寒さの四苦と、直接税・間接税・家賃・食費・光熱費・電話代・フィルム代・保険料の八苦のこと。貧乏の形態により、異なってくる。じこはさん【自己破産】ローン返済者が、すべての借金を放棄して楽になれると勘違いしている、法的な破産手続き。しさ【示唆】空腹であることを、それとなくほのめかすこと。じさつ【自殺】心の不安定な子供や、借金に押しつぶされてしまったマイナス生活者が選択してしまう終焉。貧乏人は借金をしない(=できない)ので、借金を苦にすることがない。そのため、自己を確立できていない子供を除いては、貧乏人には不要の行為である。じせい【自制】失敗を繰り返さないように自分を制御すること。「酒を呑むことに関しては、−など効かないものさ。おかげでまた二日酔いだよ」じせい【自省】自分が犯した過去の失敗を省みること。「二日酔いの頭で誓った節度なんて酒と共に抜けてしまうのだから、−とは言わないのだ」しそう【思想】右や左といったごく一部の極端な事例によって絶滅の危機に瀕している、メッセージの原材料。しちや【質屋】貧乏人にとって縁遠い場所になりつつある。時代が悪いのか。しちりん【七輪】主に野外での調理に使用する、秋刀魚やはんぺんを美味しく焼くことのできる和製コンロ。現在の密閉型住宅の室内で用いる場合、ある程度の覚悟が必要となる。暖をとる場合は、一斗缶の方が相応しい。しつ【質】物を購入する際、二番目に考えるものであるが、ただで貰えるとなれば気にならないもの。よい写真など撮れない人間が質のよいフィルムを求めることは、単なる無駄遣いである。書いていて、身を引き裂かれる思いがする。質というのは、価格とは比例しないのが常識であり、ブランドなど不要であることから、質という言葉には、これらの要素は含まれていない。しつけ【躾】人という動物が人間になるために施される訓練。「−のされていない子供など動物と一緒なのだから、本来はペット持ち込み禁止の場所に連れてくるべきではないのだけれど、連れてくる親までもが−など受けていないのだから、もはやどうすることもできんのだ」シニカルシャネルの財布から小銭を取り出した人間に対して、「お似合いですね」と口に出して言える人間のこと。じばら【自腹】仕方無しに、自分のお金で行動すること。最終手段。じひ【慈悲】お金持ちが、貧乏人に対して勝手に抱くステレオタイプな思い込みから来る感情により、酒や食事を振る舞うこと。じぶんさがし【自分探し】トラウマ探しへと行き着き、自分にはトラウマなど存在しないことには気がつかない。しゃかいしゅぎ【社会主義】レモンの形さえしていれば、青くても古くても一キロ三〇ズロチで買わなければならない、名詞に対して平等な主義。しゃかいふっき【社会復帰】貧乏を続ける気力の消失により、社会の枠組みの中へと寂しく戻ること。しゃっきん【借金】貧乏をする勇気のない人間が、それまでの生活レベルを維持しようとして、人間としての自由を放棄する際に手に入れる、鎖の代用品。もちろん、手に入れた人間の首につながれることになる。しゃないれんあい【社内恋愛】遊びに発見を見いだせないために、私生活において異性との出会いがない会社員同士が行う、近親相姦。じゆう【自由】世界中、様々な形態が確認されているが、日本では、資本主義のそれ、共産主義のそれ、貧乏人のそれとに分かれている。じゆうしゅぎ【自由主義】「アメリカは平和よりも自由を重視する。しかも、その自由は企業活動の自由を根幹とする」 …… 第33代米大統領 ハリー・トルーマンしゅちにくひん【酒池肉貧】つまみのない状態で日本酒一升を呑み尽くすこと。二日酔いのおまけが伴う。しゅっぱんぶつ【出版物】著者が書いたり、録音されたインタビューから起こされた原稿を、編集者の思い描く売れるかたちに整形して印刷したもの。しょうかふりょう【消化不良】摂取した食物の栄養素を体内に取り入れることなく排泄する結果となる、胃腸の機能低下。しょうじんりょうり【精進料理】世に蔓延る貧乏料理など粉砕してしまうほどの、究極のレシピ。しょうばい【商売】お客様の財布の中にいらっしゃるお金に対して頭を下げること。「いらっしゃいませ」の後には「金持ってきたか」、「ありがとうございました」の後には「また、銭もってこいよ」という言葉が続くのであるが、これを口に出すと色々と問題があるため、ほとんどの商売人は省略する。しようまっせつ【枝葉末節】新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどのいわゆるマスメディアから流れてくる、本筋から離れたところでの小競り合いの模様。しょくあん【職安】ハローワークなどとも呼ばれる、職業安定所の略。雇用保険に加入していた人間が退職した際、簡単な手続きと少しの忍耐で、雇用保険の失業給付生活を与えてくれる。しょさい【書斎】机、本棚、電気スタンド、喫煙具などにより構成された、創作とうたた寝のための一角、もしくは一室。じょせいせんりょうしゃりょう【女性専用車両】座席のわずかな隙間であっても、見つけようものなら無理矢理にでも座り込むおばさんを隔離するためのサービス。しん〜【新〜】見た目が微調整されたことを意味する。しんせい【新生】ゴールデンバットと同様の両切り煙草であるが、値段とタールが高い。好みと財布の状態により選択される。しんせいき【新世紀】やがて訪れる二十二世紀。世紀などと言う単位を用いるのは人類だけであるから、訪れない可能性もある。じんせいそうだん【人生相談】相談を持ちかけた側が薄々と気がついているけれど踏み出せずにいる解決の方法を、相談を受ける側が言い回しを変えて再確認させること。所詮は他人事という投げ遣りな態度が、相談を持ちかけた側には力強い即答に感じられるものらしい。しんぱい【心配】米の備蓄が少なくなってきたときの、心の動き。じんみゃく【人脈】自分では到底買えないワインや肉を味わったり、トースターをタダで手に入れたり、よそ行きの服をそろえたりする際に重要となる。米沢牛の味噌漬けとか、前沢牛とか、一九七三年のグランクリュとかを喰ったり呑んだり出来たのも、これのおかげである。 |
すあし【素足】足袋や靴下をはいていない足。靴下をはくと、靴下が臭くなるし、洗濯も面倒だからといって、素足のまま靴を履くと、靴がもっと臭くなる。これを饐足と呼ぶ。靴下は一足六九円で買えるのが一般的であるが、靴を一〇〇円で買える機会は非常に希であるため、靴下をはくべきである。すいがら【吸いがら】煙草を吸った残りかす。フィルタ付きの煙草の吸いがらは、キセルを用いることでさらに吸うことができる。すいきょう【酔狂】貧乏人は金持ちを、金持ちは貧乏人を、こう呼ぶ。すいさん【推参】自分のほうから押しかけて、一宿一飯を乞うことの謙譲語。すいじ【炊事】台所にて行われる、日々の煮炊き。すいじゃく【衰弱】水だけの生活が三日も続くと、神も仏も信じないのに垂迹を期待してしまうような状況。ただし、この状況を救ってくれるのは、ほとんどの場合において、神でも仏でもない。ずいじゅう【随従】おごってくれそうな人に付き従うこと。すいとん戦中、戦後のものがない時代によく食べられたことから、終戦記念日にはこれを食べ、戦争を二度と繰り返さないようにと願うようになった。貧乏人は、終戦記念日に限らず頻繁に願っている。すいま【睡魔】写真の本を読んでいると、遠くのほうから泳いでやってくる魔物。気が付くと、五時間ほど倒れ込んでいたりする。すいみん【睡眠】人間に必要とされている、体を休める行為。人生の三分の一をこの形態で過ごすとされているが、人によっては五分の一だったり、二分の三だったりするかもしれない。時給七五〇円のアルバイトをしている場合、一ヶ月の労働時間が一二〇時間とすると、一時間に使える金額は一二五円となる{稼ぎ(時給×労働時間)÷一ヶ月の時間(二四時間×三〇日)}。睡眠をとる時間が多いほど、睡眠時間×一二五円を起きている時間帯に割り当てられるため、良いことだと勘違いされることが多いのだけれど、実際は飲まず食わずで最低限の明かりを灯し、本でも読んでいる方がよほど自分のためになる。すきっぱら【空きっ腹】缶ビールを一本飲めば気持ちよくなれる、効率の良い状態。ずさん【杜撰】かけるべき手間を惜しんだり、使うべき部品をコスト削減のために間引いたり、手を抜くどころか行程そのものをごっそりと抜き取ってしまうか盗用で済ませてしまい、とうてい使用に耐えられないものを製品として成立させていることがうっかりとばれてしまった際に用いられる言葉。スタンダード流行という薄っぺらな気まぐれとは一線を画した、伝統に裏付けられた形式。すてる【捨てる】過去の恥ずかしい散財の日々を、白木の箱に入れて地中深くへと閉じこめること。ストーブ冬の寒さを、若干、和らげてくれるもの。石炭、薪、灯油など、使用する燃料により種類がある。電気ストーブは、お湯が沸かせないし餅も焼けないため、ストーブとしては魅力が薄い。すのこ【簀の子】押入内に設置することで、布団などを湿気から守ることができる。また、足をつけることで、テーブルにすることもできる。スノッブ自分の実力以上の地位や名誉に憧れ、努力ではなくモノマネによって自己を満足させようとする俗物。スマイル見返りを期待した営業用の微笑みで、女神のそれとは異なる。すみ【炭】乾電池の別称。すみのえんげい【隅の園芸】狭い庭の隅っこに菜園を作ること。スランプ言い訳。すり【掏摸】人のポケットの中から、若干の金銭と今日の食事を奪う犯罪行為。分相応な格好をしていれば、狙われることもないと考えられる。するめ【鯣】猫に大量に与えると、腰が抜けて面白い。もったいないので、やらないように。スレンダー貧乏生活者は自然とスレンダーボディになれる。腰にくびれができる。若くて可愛くてきれいで利発な女性がいたら、ぜひ見せてあげたい。 |
せいい【誠意】念書と現金。せいかリレー【聖火リレー】一九三六年の第一一回ベルリンオリンピックから始まった、アテネで採火された聖火をオリンピック会場までリレーによって運ぶイベント。ドイツ・ナチス参謀本部がギリシャ侵攻の予行演習として考案したものだが、敵国内部を偵察するには、これほど低コストで、これほどの大義名分はなかなか無いくらいに優れたイベントであったため、現在まで廃止されずにいる。せいき【世紀】紀元前一年の次がゼロでなく紀元後一年であるため、切りの悪いことを承知で世界の多くが用いる西暦における百年単位の区切り。せいこううどく【晴耕雨読】似て非なるものの大量生産大量消費に毒された世間の煩わしさを離れ、のびのびと自由に暮らすことのたとえ。セイタカアワダチソウ元は観賞用に渡来した帰化植物で、昭和三十年代の石炭不況と共に日本全国に広がり閉山草の名で忌み嫌われたキク科の多年草。秋の枯れゆく景色を鮮やかな黄で埋め尽くす様は、遠目で見る分には良いのだけれど、これが庭に群生すると鬱陶しいことこの上ない。一見、喰えないように思えるが、これを煮て食いつないでいた貧乏落語家も存在することが確認されている。ぜいたく【贅沢】他人の発想と手間と時間に対してお金を使うことが、一番の贅沢である。お金持ちが贅沢をする際、隣に座っていることができれば、出費なしに贅沢を味わえる。贅沢は素敵だ。せいひんのしそう【清貧の思想】貧乏思想に憧れを持つ金持ちがもちいる言葉。せいじか【政治家】無能な国民の代表者であるため、やはり無能であるのは仕方がない。せいめいほけん【生命保険】何十年も先の死後の心配のために、現在の通貨価値が維持されているかどうかもわからない状況で、支払い時に存続しているかどうかもわからない組織に、今を犠牲にしてまで毎月いくらかの金銭を奪い取られる行為。せきにん【責任】時代の移り変わりと共に果たすものから回避するものへと移り変わった、発生した問題の後始末。せきひん【赤貧】何ら所有物がなく、ものに束縛されたり、ものを守るために煩わしい思いをせずにすむ、きわめて自由な生活を送ること。せけん【世間】人が集まることにより形成される、一般とされる世界。自分のやりたいことに夢中になるほど、これとの接点が狭くなっていき、結果として変人と呼ばれるに至る。これを世間離れと呼ぶ。「−一般の常識として、お前もいつまでもフラフラしていないで真面目に職に就いたらどうだ」せこい【世故い】私よりも収入が多い、もしくは時給が高いのに、奢ってくれない人の精神構造。せっけん【石鹸】手洗い、洗顔、体洗い、洗髪など、体を洗うという行為のほとんどをまかなうことができる衛生用品。歯磨きに使用すると、嘔吐感を伴う。せつでん【節電】街のネオンのために、一般家庭がこまめにコンセントを抜いて待機電力の消費を防いだりすること。せつやく【節約】これ以上、節約のしようはない。せんたくき【洗濯機】衣類などを洗濯する際に用いられる機械。洗濯・すすぎを行う洗濯槽と、脱水を行う脱水槽の二層式になっている。昔は、機械的なダイヤルでこれら作業の時間を設定していたが、最近では電子式になってしまったため、三分・五分・七分などという、大まかな時間設定しかできなくなった。戦後の高度経済成長期において、三種の神器のひとつとされていたが、今では二千円台後半より購入できるし、人からもらうことも可能になっている。ぜんにっぽんびんぼうきょうぎかい【全日本貧乏協議会】一九九九年に発足された、貧乏を明るく生きる人々を応援するための協議会。会長は川上卓也という貧乏人で、偶然にも当辞典の編集主幹である。主な活動は、インターネット上でのウェブ会報誌「耐乏PressJapan.」の発行であるが、主な活動以外の活動は無いに等しい。本部は茨城県結城郡石下町で、この街は平将門、長塚節の里として、ちっとも有名ではないのが残念である。 |
そあく【粗悪】質の悪い、似て非なるもの。外見だけそれらしくつくられた、大量生産のゴミであることが多い。見てくれだけ考えて……いや、考えているかどうかもわからない、ひどいものばかり。すぐに使えなくなるのが特徴。ソーイングセットとれたボタンの修復から始まり、果ては衣服自体を創り出すことのできる裁縫で使用する、針と糸。ぞう【雑】あらゆる必要なもの。そうあん【草庵】今にも倒壊しそうなオンボロ長屋に、素敵な印象を与えるための言葉。そういくふう【創意工夫】一人前のミートソースを十倍に増やそうという考え、行程、食後の満腹の総称。ぞうすい【雑炊】残り物の御飯と野菜の切れ端を煮て作る、まさに増水により満腹を得る手段。そうちょう【早朝】眠りにつく時間帯。そこびえ【底冷え】冬の、灯油が底をついた夜の寒さ。そくとう【即答】「一杯、呑むかい」、「呑む」。そこね【底値】どうしても必要なら、買っても良い値段。そしゃく【咀嚼】消化不良を防ぐために、よく咬んで食べること。また、物事を本質で捉え、的確に理解すること。いずれも、貧乏人にとっては重要。そしゅ【粗酒】消毒に用いられるエチルアルコールを水で割ったもの。あまり薦められない。そそる食べたい感情がおこる。「しょう油のこげる匂いに−・られる」そだつ【育つ】食える状態になること。そっけつ【即決】「おごってやるよ」、「ごちそうさま」。ぞっか【俗化】大量生産・大量消費の似て非なる世の中に埋没すること。そつぎょうあるばむ【卒業アルバム】学校という単位の学業課程を終えた際に配られる、学校側の都合に沿って編集されたアルバム。そでごい【袖乞い】欲しいもののうち、他の家庭で余っていそうなものを言い触らして歩くこと。そなえ【備え】保存食の備蓄や、熱源・燃料に関する知識。そのうち【その内】いくら待ったところで、なにもないことが多い。「その内、なんかおごるよ」と言われたほうは、いつまでも憶えているのに対し、言ったほうは、言った直後には忘れてしまう。「昔、『まあ、−に牛丼でも奢ってやるよ』って言っておきながらぜんぜん奢ってくれない奴が居たから、勝手に喰って領収書を渡してやったことがあったなあ」ソムリエ知ったかぶりの意。どんなに頑張ったって、ぶどうの品種は当てられても、そのぶどうがどこの国で生産されたかなど、わかりもしない。そらよろこび【空喜び】いつもおごってくれる人に会えたと思ったら、何事もなかったかのように、先に帰られてしまうこと。そん【損】自分の財布の中身を用いてゴミを手に入れることにより、減った財布の中身。そんとくかんじょう【損得勘定】風邪をひいているときにビールのお誘いがあった際、タダでビールを飲むことを選ぶか、体を気遣うことを選ぶか、悩むこと。そんぴ【尊卑】思想と矜持を持つ貧乏人と、卑しき成金。そんぼう【存亡】米の保有量にかかっている。 |
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